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中国語の可能補語「得・不」の作り方と使い分け
中国語の可能補語は、動詞と補語の間に得(de)または不(bu)を挟むだけで「〜できる/できない」という能力や客観的条件による実現可能性を表す文法です。
助動詞の能(néng)や可以(kěyǐ)が意志や許可を含め幅広く使われるのに対し、可能補語は「行為の結果に到達できるか」という成否の限界に焦点を当てる点が決定的に異なります。
- 動詞と補語の間に「得/不」を挟み、動作の結果が実現できるかを表します
- 助動詞「能」「可以」と違い、結果に到達できるかという成否の限界を示します
- 日常会話では「听不懂」のように限界を表す否定形が非常によく使われます
先に読むと分かりやすい: 中国語の結果補語の基礎とよく使う動詞中国語の方向補語(単純・複合)
可能補語の基本構造と作り方
可能補語は、すでに学習した「結果補語」や「方向補語」の組み合わせをそのまま土台にして作ります。動詞と補語の間に得(de・〜できる)を挟むと肯定形になり、不(bu・〜できない)を挟むと否定形になります。
- 肯定形:動詞 + 得 + 補語(〜できる)
- 否定形:動詞 + 不 + 補語(〜できない)
例えば、「見る」を意味する動詞看(kàn)と、「理解する」という結果補語懂(dǒng)を組み合わせると、次のように変化します。
看得懂(kàn de dǒng/見て理解できる)
我看得懂中文报纸。(Wǒ kàn de dǒng Zhōngwén bàozhǐ.)
私は中国語の新聞を読んで理解できます。
听不懂(tīng bu dǒng/聞いて理解できない)
他说得太快,我听不懂。(Tā shuō de tài kuài, wǒ tīng bu dǒng.)
彼の話すスピードが速すぎて、私は聞いて理解できません。
日常会話では、肯定形よりも「どうしても〜できない」という限界を表す否定形(听不懂、做不到など)のほうが圧倒的に高い頻度で使われます。
我看得懂中文报纸。私は中国語の新聞を読んで理解できます。
動詞と補語の間に「得」または「不」を挟んで可能・不可能を表します。
よく使う結果補語・方向補語の組み合わせ
可能補語を作る補語には、結果補語と方向補語の代表的なものが使われます。よく使われる組み合わせを押さえると、表現の幅が一気に広がります。
| 補語 | 肯定形(ピンイン/意味) | 否定形(ピンイン/意味) |
|---|---|---|
| 懂(理解する) | 看得懂(kàn de dǒng/見て分かる) | 看不懂(kàn bu dǒng/見て分からない) |
| 完(終える) | 吃得完(chī de wán/食べきれる) | 吃不完(chī bu wán/食べきれない) |
| 到(到達する) | 买得到(mǎi de dào/手に入る・買える) | 买不到(mǎi bu dào/手に入らない・買えない) |
| 见(知覚する) | 听得见(tīng de jiàn/聞こえる) | 听不见(tīng bu jiàn/聞こえない) |
| 来(近づく) | 赶得来(gǎn de lái/間に合う) | 赶不来(gǎn bu lái/間に合わない) |
| 去(離れる) | 进得去(jìn de qù/入れる) | 进不去(jìn bu qù/入れない) |
客観的な条件(量が多い、距離が遠い、障害があるなど)によって、その動作の結果が達成可能かどうかを的確に表せます。
吃得完(chī de wán/食べきれる)
菜太多了,我们两个人吃不完。(Cài tài duō le, wǒmen liǎng gè rén chī bu wán.)
料理が多すぎて、私たち2人では食べきれません。
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可能補語の疑問文を作る3つのパターン
可能補語を用いた疑問文には、主に3つの形式があります。状況や親しさによって使い分けられますが、意味はいずれも「〜できますか」となります。
1. 文末に「吗」を付ける形式
肯定形または否定形の文末に吗(ma)を添える最も標準的な聞き方です。
你明天起得来吗?(Nǐ míngtiān qǐ de lái ma?)
あなたは明日起きられますか。
2. 反復疑問文(肯定形+否定形)
会話で非常によく使われるのが、肯定形と否定形を並べる反復疑問の形です。
你一个人搬得动搬不动?(Nǐ yí gè rén bān de dòng bān bu dòng?)
あなた1人でこれを動かせますか、動かせませんか。
3. 文末に「没有」を添える形式
動作が完了可能かどうかを尋ねるニュアンスを含みますが、可能補語では「〜吗」や反復疑問文が基本となります。
なお、可能補語を使った疑問文に対して「できます」「できません」と単独で答える場合も、看得懂(分かります)や看不懂(分かりません)のように動詞+補語のセットで答えるのが自然です。
文末に「吗」
- 肯定/否定形+吗
- 你明天起得来吗?
反復疑問文
- 肯定形+否定形
- 搬得动搬不动?
文末に「没有」
- 完了可能かを尋ねる
可能補語を使った疑問文は主に3つのパターンで作られます。
助動詞「能」「可以」との使い分け基準
日本人学習者が最もつまずきやすいのが、助動詞能(néng)や可以(kěyǐ)との使い分けです。どちらも日本語では「〜できる」と訳されますが、焦点を当てる視点が異なります。
| 表現 | 焦点・ニュアンス | よく使われる場面 |
|---|---|---|
| 可能補語 | 動作の結果が実現可能かどうか(成否の限界) | 客観的な状況下で最後までやり遂げられるか |
| 能 | 主体の能力・客観的な条件が整っているか | 能力の有無、病気・都合などの外的条件 |
| 可以 | 許可・道理・提案(〜しても差し支えない) | 規則上の許可、相手への提案や勧め |
例えば、「風邪を引いたので行けない」という条件の不備は不能去(bù néng qù)を用います。一方、「用事があって時間的にどうしても辿り着けない・間に合わない」という結果の未達には去不了(qù bu liǎo)を使います。
また、「この部屋に入ってもいいですか」という許可を求める場合は可以进去吗?(Kěyǐ jìnqu ma?)を用い、「鍵が壊れていて中に入れない」という物理的限界には进不去(jìn bu qù)を用います。
丸暗記で使える可能補語の重要慣用表現一覧
可能補語の中には、本来の補語の意味から派生して特定のイディオムとして定着しているものが多数あります。これらは日常会話で頻出するため、ひとかたまりで覚えるのが効果的です。
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| 表現 | ピンイン | 日本語訳 | ニュアンス・解説 |
|---|---|---|---|
| 来得及 | lái de jí | 間に合う | 時間的に余裕がある |
| 来不及 | lái bu jí | 間に合わない | 時間が足りず遅刻・未達になる |
| 吃得消 | chī de xiāo | 耐えられる・平気だ | 体力・精神的な負荷に耐えうる |
| 吃不消 | chī bu xiāo | 耐えられない・参る | 過労やストレスで限界を迎える |
| 受得了 | shòu de liǎo | 我慢できる | 苦痛や不快感に耐えられる |
| 受不了 | shòu bu liǎo | 耐えられない・我慢ならない | 我慢の限界を超えている |
| 顾得上 | gù de shàng | 構っていられる | 周囲に気を配る余裕がある |
| 顾不上 | gù bu shàng | 構っていられない | 忙しくて手が回らない |
| 看不起 | kàn bu qǐ | 見下す・侮る | 相手を評価に値しないとみなす |
| 对得起 | duì de qǐ | 顔向けできる・申し訳が立つ | 期待や恩義に背かない |
来不及(lái bu jí/間に合わない)
快走吧,要不然就来不及了。(Kuài zǒu ba, yàobùrán jiù lái bu jí le.)
早く行きましょう、そうでないと間に合いません。
受不了(shòu bu liǎo/耐えられない)
这里的夏天太热了,我真受不了。(Zhèli de xiàtiān tài rè le, wǒ zhēn shòu bu liǎo.)
ここの夏は暑すぎて、私は本当に耐えられません。
「了(liǎo)」を使う可能補語の特別な役割
漢字の「了」は完了を表す助詞(le)として有名ですが、可能補語の位置に入ると了(liǎo)と発音し、「完了する・尽きる」という意味を持ちます。動詞の直後に得了(de liǎo)または不了(bu liǎo)を置くことで、「その動作を行うことができる/できない」という全体の成否を表します。
去得了(qù de liǎo/行ける)
你明天去得了吗?(Nǐ míngtiān qù de liǎo ma?)
あなたは明日行けますか。
去不了(qù bu liǎo/行けない)
对不起,我明天有事去不了。(Duìbuqǐ, wǒ míngtiān yǒu shì qù bu liǎo.)
すみません、明日は用事があって行けません。
この形式は、特定の結果補語(懂や完など)が思い浮かばない場合でも、動作自体の実行可能性を端的に否定・肯定できるため、会話で非常に重宝されます。特に忘不了(wàng bu liǎo/忘れられない)、做不了(zuò bu liǎo/できない)などは頻出表現です。
完了の助詞「le」ではなく「liǎo(完了する・尽きる)」と読む
動詞の直後に置き、その動作を行うことができる/できないを表す
去不了(行けない)、忘不了(忘れられない)、做不了(できない)
「得了/不了」で動作自体の実行可能性を端的に表せます。
可能補語を使うときの注意点とまとめ
可能補語を正しく運用するために、間違いやすい文法規則を2点整理しておきます。
1. 目的語の置く位置
目的語は通常、可能補語の直後に置きます。ただし、目的語を文頭に出して主題化(〜について言えば)することも可能です。
我吃不完这碗面。(Wǒ chī bu wán zhè wǎn miàn.)
私はこのラーメンを食べきれません。
这碗面,我吃不完。(Zhè wǎn miàn, wǒ chī bu wán.)
このラーメンは、私には食べきれません。
2. 把構文・受身文では使えない
処置を表す把(bǎ)構文や受身を表す被(bèi)構文の中では、原則として可能補語を使えません。「その結果をもたらすことができる」という可能表現を把構文で表したい場合は、助動詞能(néng)を把の前に置いて表現します。
可能補語は「動詞+得/不+補語」という基本パターンさえ身体に染み込ませれば、中国語らしい生き生きとした表現ができる強力なツールです。まずは日常でよく口にする听不懂や来不及から声に出して使ってみてください。
中国語における全6種の補語体系と可能補語の位置づけ
中国語の補語は全部で6種類に分類されます。その中で可能補語は、結果補語と方向補語を直接の土台として派生するグループです。結果補語や方向補語が「動作の結果どうなったか」という既成の事実を述べるのに対し、可能補語は動詞と補語の間に得(de・〜できる)または不(bu・〜できない)を挟むことで、「その結果に至る可能性があるかないか」という潜在的な実現能力を表します。
| 補語の種類 | 主な役割 | 基本の文の形 | 可能補語への派生例 |
|---|---|---|---|
| 結果補語 | 動作による結果・状態の変化を表す | 看懂(kàn dǒng/見て理解する) | 看得懂 / 看不懂 |
| 方向補語 | 動作が向かう空間的な方向を表す | 出来(chū lái/出てくる) | 出得来 / 出不来 |
| 可能補語 | 動作の結果が実現可能かどうかを表す | 做得到(zuò de dào/やり遂げられる) | 派生の土台そのもの |
| 様態補語 | 動作の様子や状態を評価・描写する | 跑得快(pǎo de kuài/走るのが速い) | 可能補語とは別構造 |
| 程度補語 | 状態や感情の程度が極点にあることを表す | 热死了(rè sǐ le/暑くてたまらない) | 可能補語には派生しない |
| 数量補語 | 動作の回数や所要時間を表す | 去过三次(qù guo sān cì/3回行った) | 可能補語には派生しない |
補語体系の全体像を把握しておくと、なぜ可能補語に結果補語や方向補語の語彙がそのまま流用されるのかという仕組みが納得でき、丸暗記に頼らず論理的に文を組み立てられるようになります。
「听不懂」と「没听懂」の違いと可能否定・完了否定の使い分け
日本人学習者が最も迷いやすい代表例が、听不懂(tīng bu dǒng・聞いて理解できない)と没听懂(méi tīng dǒng・聞いて理解できなかった)の使い分けです。前者は「話すスピードが速すぎる」「語彙を知らない」といった理由で理解する能力や条件が成立しない可能否定です。後者は「聞いたけれど結果として理解に至らなかった」という過去や完了の事実を打ち消す結果否定を表します。
また、方向補語を用いた文でも「可能否定」「意志否定」「事実否定」の3つを明確に区別する必要があります。
| 表現 | ピンイン | 日本語訳 | ニュアンスと視点 |
|---|---|---|---|
| 出不去 | chū bu qù | 出られない | ドアが故障している等の理由で外に出られない(可能否定) |
| 不出去 | bù chū qù | 出ない | 自分の意志で外に出ることを拒否している(意志否定) |
| 没出去 | méi chū qù | 出なかった | 過去の事実として外に出なかった(事実否定・過去否定) |
| 想不起来 | xiǎng bu qǐ lái | 思い出せない | 記憶を引き出そうとしても頭に浮かばない(可能否定) |
| 没想到 | méi xiǎng dào | 思いも寄らなかった | 事前に予想していなかったという結果の否定(事実否定) |
検定試験や日常会話で判断に迷った際は、「客観的な限界や成否を述べるのか(可能補語)」それとも「過去の事実として発生しなかったのか(没+動詞+補語)」を意識すると自然に使い分けられます。
日本人が間違えやすい可能補語の誤用と実践会話例文
日本人学習者が起こしやすい代表的な誤用は、過去の出来事に対して可能補語の後ろに完了の了(le)を付けてしまうケースです。可能補語は動作の完了ではなく「〜できる・できない」という状態や可能性を述べる表現であるため、文末に完了の了を重ねることは文法上できません。過去に実現しなかった事実は、可能補語ではなく没(méi・〜しなかった)を用いて表現します。
実際の会話文脈でどのように可能補語が口から出るか、自然な対話例で感覚を掴みましょう。
A: 这份报告你今天看得完吗?(Zhè fèn bàogào nǐ jīntiān kàn de wán ma?/このレポート、あなたは今日中に読み切れますか。)
B: 内容太多了,我今天看不完。(Nèiróng tài duō le, wǒ jīntiān kàn bu wán./内容が多すぎて、私は今日中に読み切れません。)
A: 老师刚才说的话,你听懂了吗?(Lǎoshī gāngcái shuō de huà, nǐ tīng dǒng le ma?/先生がさっき言った言葉、理解できましたか。)
B: 语速太快了,我没听懂。(Yǔsù tài kuài le, wǒ méi tīng dǒng./話すスピードが速すぎて、理解できませんでした。)
相手が「可能」を尋ねているのか「完了」を尋ねているのかを聞き分け、的確に補語を選べるように練習しましょう。
このテーマのよくある疑問
確認問題(5問)
「料理が多すぎて食べきれない」と言いたいとき、空所に入る適切なものはどれですか。 菜太多了,我们两个人( )。
答えと解説
正解: 吃不完
可能補語の否定形は「動詞+不+補語」で作るため、「吃不完(食べきれない)」が正解です。本文の説明に合致する「去不了」の意味と「了」の発音の組み合わせはどれですか。
答えと解説
正解: 行けない(発音:liǎo)
可能補語の位置に入る「了」は liǎo と発音し、「去不了」で「行けない」という意味になります。次のうち、文法的に誤っている文はどれですか。
答えと解説
正解: 把那本书我看得懂。
可能補語は処置を表す把構文や受身の被構文の中では原則として使うことができません。「鍵が壊れていて中に入れない」という物理的限界を表すのに最も適切な中国語はどれですか。
答えと解説
正解: 进不去
物理的限界や行為の結果に到達できない成否を表す場合は、可能補語「进不去」を用います。「ここの夏は暑すぎて本当に耐えられない」を表す文の空所に入る慣用表現はどれですか。 这里的夏天太热了,我真( )。
答えと解説
正解: 受不了
「受不了」は「耐えられない・我慢ならない」という意味の重要慣用表現です。
よくある質問
- Q. 可能補語の肯定形はあまり使われませんか?
- はい、肯定形(看得懂など)は質問に対する返答や「きっとできる」と条件を強調する場面に限られる傾向があります。日常会話では「どうしてもできない」という客観的な障害を伝える否定形(看不懂など)のほうが圧倒的に多く使われます。
- Q. 「不能吃」と「吃不了」の違いは何ですか?
- 「不能吃」はアレルギーや医師の指示、道徳的・規則的理由で食べる行為自体が禁止・制限されているニュアンスです。一方「吃不了」は満腹や体調不良、量が多すぎるといった客観的限界により食べきれない・口にできないことを表します。
- Q. 可能補語の文に「很」などの程度副詞は付けられますか?
- 可能補語そのものに「很」や「非常」は付けられません。「とてもよく分かる」と言いたい場合は、様態補語を用いて「看得很清楚」とするか、「非常能理解」のように助動詞を使う文に切り替える必要があります。
- Q. 過去に「〜できなかった」と言いたい場合、可能補語に「了」を付けられますか?
- 可能補語に完了を表す「了」を付けることはできません。可能補語は動作の完了ではなく潜在的な可能性や成否の限界を表すため、過去に実現しなかった事実を述べる際は「没听懂(聞いて理解できなかった)」のように「没+動詞+結果補語」を用います。
- Q. 「出不去」「不出去」「没出去」はどう使い分ければよいですか?
- 「出不去」は鍵がかかっているなど物理的・客観的制約で外に出られない可能否定、「不出去」は自分の意志で外に出ないと決めている意志否定、「没出去」は過去に外に出なかったという単なる事実の否定を表します。
2026年10月12日更新・モチタン辞典編集部
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