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スペイン語の不可算名詞一覧と使い分け
スペイン語の不可算名詞(nombres incontables)は、原則として単数形のみで用いられ、不定冠詞(un / una)を付けません。
水や肉のような物質だけでなく、時間や愛といった抽象概念も含まれます。主語に置く際は定冠詞が必要になり、目的語で不特定の量を指すときは無冠詞になるなど、冠詞の使い分けに明確な規則があります。
不可算名詞の定義とネイティブの感覚
スペイン語の名詞は、1つ、2つと輪郭を持って数えられる「可算名詞(nombres contables:ノンブレス・コンタぶレス)」と、境目がなくそのままでは数えられない「不可算名詞(nombres incontables:ノンブレス・インコンタぶレス)」の2つに分かれます。
可算名詞と不可算名詞を見分ける本質的な基準
不可算名詞を理解する鍵は、単語の暗記ではなく「切り分けても同じ性質を保つかどうか」というネイティブスピーカーの捉え方にあります。
- 可算名詞(個体):本(libro:リブロ)やリンゴ(manzana:マンサナ)のように、決まった輪郭や形状があります。これを半分に切ると「2つの本」にはならず、壊れた状態になります。
- 不可算名詞(素材・集合・概念):水(agua:アグア)やパン(pan:パン)、金(oro:オロ)のように、形が定まっていない物質です。水を半分に分けても、どちらも同じ「水」のまま性質が変わりません。
感情や状態(amor:アモール=愛、tiempo:ティエンポ=時間、paciencia:パシエンシア=忍耐)などの抽象概念も、物質と同様に明確な輪郭がないため、不可算名詞として扱われます。
可算名詞(個体)
- 本やリンゴなど決まった輪郭がある
- 半分に切ると壊れて元の物ではなくなる
- 1つ、2つと数えられる名詞
不可算名詞(素材・概念)
- 水やパンなど形が定まっていない物質
- 半分に分けても同じ性質のまま変わらない
- 愛や時間などの抽象概念も含まれる
半分に切り分けたときに性質を保つかどうかで見分けます。
次の疑問数えられない名詞の輪郭がつかめたら、数えられるものも含めたスペイン語の基本名詞一覧で名詞全体の土台を整理しておくと安心です。
スペイン語の不可算名詞一覧表
スペイン語学習で頻出する不可算名詞を、意味ジャンル別に分類しました。冠詞を伴う際の定冠詞(性別)と、実際の会話で分量を表す定番の単位表現を併記しています。
液体・気体・自然物
| 単語(定冠詞+名詞) | 日本語訳 | 定番の単位表現 |
|---|---|---|
| el agua(エル・アグア) | 水(女性名詞) | un vaso de agua(コップ1杯の水) |
| el vino(エル・ビノ) | ワイン | una botella de vino(ワイン1本) |
| la leche(ラ・レチェ) | 牛乳 | un cartón de leche(牛乳1パック) |
| el café(エル・カフェ) | コーヒー | una taza de café(コーヒー1杯) |
| el té(エル・テ) | お茶、紅茶 | una taza de té(お茶1杯) |
| la cerveza(ラ・セルベサ) | ビール | una jarra de cerveza(ビールジョッキ1杯) |
| el aceite(エル・アセイテ) | 油、オリーブオイル | una cucharada de aceite(大さじ1杯の油) |
| la sangre(ラ・サングレ) | 血液 | una gota de sangre(血の1滴) |
| el aire(エル・アイレ) | 空気 | — |
| el viento(エル・ビエント) | 風 | — |
| la lluvia(ラ・ジュビア) | 雨 | — |
| la nieve(ラ・ニエベ) | 雪 | un copo de nieve(雪のひとひら) |
※agua(水)は女性名詞ですが、強勢のある a- で始まるため、単数形の定冠詞は el を用います(形容詞は el agua fría のように女性形が続きます)。
食品・物質・材料
| 単語(定冠詞+名詞) | 日本語訳 | 定番の単位表現 |
|---|---|---|
| el pan(エル・パン) | パン | una barra de pan(フランスパン1本) |
| la carne(ラ・カルネ) | 肉 | un trozo de carne(肉の1切れ) |
| el pescado(エル・ペスカド) | 魚肉、鮮魚 | un filete de pescado(魚の切り身1枚) |
| el arroz(エル・アロス) | 米、ご飯 | un plato de arroz(ご飯1皿) |
| el azúcar(エル・アスカル) | 砂糖 | una cucharadita de azúcar(小さじ1杯の砂糖) |
| la sal(ラ・サル) | 塩 | una pizca de sal(塩ひとつまみ) |
| la mantequilla(ラ・マンテキージャ) | バター | una pastilla de mantequilla(バター1塊) |
| el queso(エル・ケソ) | チーズ | una loncha de queso(スライスチーズ1枚) |
| el oro(エル・オロ) | 金 | un gramo de oro(金1グラム) |
| la plata(ラ・プラタ) | 銀 | — |
| la madera(ラ・マデラ) | 木材 | una tabla de madera(木板1枚) |
| el papel(エル・パペル) | 紙 | una hoja de papel(紙1枚) |
抽象概念・感情・状態
| 単語(定冠詞+名詞) | 日本語訳 | 定番の組み合わせ表現 |
|---|---|---|
| el dinero(エル・ディネロ) | お金 | una cantidad de dinero(一定額のお金) |
| el tiempo(エル・ティエンポ) | 時間、天気 | un poco de tiempo(少しの時間) |
| la información(ラ・インフォルマシオン) | 情報 | una pieza de información(1件の情報) |
| el amor(エル・アモール) | 愛 | — |
| el miedo(エル・ミエド) | 恐怖 | tener miedo(恐れる) |
| la paciencia(ラ・パシエンシア) | 忍耐 | tener paciencia(辛抱する) |
| el calor(エル・カロール) | 暑さ、熱 | hace calor(暑い) |
| el frío(エル・フリオ) | 寒さ | hace frío(寒い) |
| la salud(ラ・サルー) | 健康 | buena salud(良好な健康状態) |
| el trabajo(エル・トラバホ) | 労働、仕事 | mucho trabajo(多くの仕事) |
不可算名詞を正しく使う文法3原則
不可算名詞を扱うときは、次の3つの文法原則を守る必要があります。
原則1:不定冠詞(un / una)を付けない
不可算名詞は1つ、2つと数えられないため、単数であることを示す不定冠詞 un や una を直接付けることはできません。
- 誤:*Quiero un agua.
- 正:Quiero agua.(水が欲しいです)
原則2:原則として複数形にしない
不可算名詞は複数形にしません。特に日本語から直訳した際に学習者が誤りやすいのが「お金」や「時間」です。
原則3:数量詞(mucho / poco)は単数形を使う
分量の多寡を表現する場合、不定形容詞 mucho(たくさんの)や poco(少量の)、demasiado(過剰な)を用います。名詞の性別に応じて語尾を変化させますが、必ず単数形を使います。
| 数量詞(男性単数 / 女性単数) | 例文(スペイン語) | 日本語訳 |
|---|---|---|
| mucho / mucha(多い) | Bebo mucha agua todos los días. | 私は毎日たくさんの水を飲みます。 |
| poco / poca(少ない) | Nos queda poco tiempo. | 私たちにはほとんど時間が残っていません。 |
| demasiado / demasiada(多すぎる) | Esta sopa tiene demasiada sal. | このスープは塩分が多すぎます。 |
| cuánto / cuánta(どれほどの) | ¿Cuánto dinero necesitas? | どれくらいのお金が必要ですか? |
| bastante(十分な・かなりの) | Tenemos bastante comida. | 私たちには十分な食べ物があります。 |
※bastante は男女同形です。不可算名詞を修飾する場合は複数形の bastantes にはせず、単数形の bastante を使います。
数えられないためunやunaを直接付けない
お金や時間なども原則として複数形にしない
muchoやpocoなどは必ず単数形で修飾する
不可算名詞を扱う際に守るべき3つの基本文法ルールです。
主語と目的語での冠詞の使い分け
不可算名詞を使う際、冠詞を付けるべきか無冠詞にするべきかは文中の役割によって決まります。
主語として使うときは原則「定冠詞」が必要
不可算名詞が文の主語になる場合、その物質や概念の全体を総称するため、定冠詞(el または la)が必須です。冠詞を省略すると文法的な誤りになります。
gustar(好む)や encantar(大好きである)のような動詞を使う際も注意が必要です。これらの動詞構文では好みの対象が文法上の主語になるため、定冠詞を必ず添えます。
目的語で不特定の量を表すときは「無冠詞」
動詞の直接目的語として、分量が限定されていない一部の物質を指す場合は、無冠詞(冠詞を置かない形)にします。
- Bebo leche por las mañanas.(私は毎朝牛乳を飲みます)
- ¿Tienes fuego?(火を持っていますか?=ライターはありますか?)
- Compramos pan y queso en el mercado.(私たちは市場でパンとチーズを買いました)
ただし、目的語であっても「特定の対象」を指す場合は定冠詞が必要です。
冠詞判断フローチャート
- 文の主語か? → はい:定冠詞(el / la)を付ける
- 他動詞の目的語か? → 次の問いへ
- 特定のものを指しているか? → はい:定冠詞(el / la)を付ける
- 不特定の量(一部)を表しているか? → はい:無冠詞にする
主語なら全体を総称するため定冠詞を付ける
特定の対象を指しているなら定冠詞を付ける
不特定の量を表すなら無冠詞にする
文中の役割と特定の対象かどうかで冠詞の有無を判断します。

英語とスペイン語で可算性が異なる名詞
英語の不可算名詞の知識をそのままスペイン語に当てはめると、文法的なミスにつながります。英語では不可算(Uncountable)でも、スペイン語では可算名詞(Contable)として不定冠詞を付けたり複数形にできたりする単語が多く存在します。
表は横にスクロールできます →
| 名詞 | 英語(不可算) | スペイン語(可算) | スペイン語の例文 |
|---|---|---|---|
| 情報 | information(不可算) | una información / informaciones | He recibido una información útil.(有益な情報を1件受け取りました) |
| ニュース | news(不可算・単数扱い) | una noticia / noticias | Tengo una buena noticia.(1つ良い知らせがあります) |
| 助言 | advice(不可算) | un consejo / consejos | Te doy un consejo.(君に1つアドバイスをするよ) |
| 家具 | furniture(集合的不可算) | un mueble / muebles | Compramos tres muebles nuevos.(新しい家具を3点買いました) |
| 荷物 | luggage / baggage(不可算) | una maleta / un equipaje | Llevo dos maletas.(スーツケースを2個持参します) |
| 出張・旅行 | travel(不可算概念) | un viaje / viajes | Buen viaje.(良い旅を) |
スペイン語では、アドバイスを「1つの助言(un consejo)」、家具を「家具1点(un mueble)」、ニュースを「1つの報道(una noticia)」として独立した個体として捉えます。
英語のように *a piece of advice のような迂言的表現を取らなくても直接数えることができます。
文脈による可算化と数量の表し方
原則として不可算である名詞も、日常会話の特定の文脈では可算名詞のように不定冠詞が付いたり、複数形になったりします。これは文法崩壊ではなく「可算化(contabilización)」という正規の表現手法です。
飲食店での省略表現
バルやレストランで飲み物を注文する際、「容器1杯」を意味する語句が省略され、名詞が可算化されます。
- Ponme dos cafés, por favor.(コーヒーを2つください)
= dos tazas de café(2杯のコーヒー)の省略 - Camarero, tres cervezas, por favor.(店員さん、ビールを3つお願いします)
= tres cañas / botellas de cerveza の省略 - ¿Nos pones un agua fría?(冷たいお水を1本もらえますか?)
= una botella de agua の省略
「種類」や「銘柄」を表す場合
不可算名詞が「〜の種類」「特有の産品」を指す場合、複数形にすることができます。
- España produce excelentes vinos.(スペインは優れた各種ワインを生産している)
- En esta tienda venden muchos tipos de quesos.(この店では多種類のチーズを売っている)
単位を表す容器・形状表現一覧
文脈による省略を使わずに正確な数量を伝える場合は、容器や形状を表す語句に de を接続します。
- un vaso de agua / leche(コップ1杯の水/牛乳)
- una taza de café / té(カップ1杯のコーヒー/紅茶)
- una botella de vino / aceite(ボトル1本のワイン/油)
- una lata de atún / refresco(ツナ缶1缶/缶ジュース1本)
- un trozo de carne / tarta(1切れの肉/ケーキ)
- una rodaja de limón / pescado(輪切り1枚のレモン/魚の切り身1枚)
- un paquete de arroz / azúcar(米1袋/砂糖1袋)
可算化の手法
- 飲食店での容器の省略
- 種類や銘柄を表す複数形
単位を表す表現
- vaso / taza(杯)
- botella / lata(本・缶)
- trozo / rodaja(切れ・枚)
文脈による可算化と、容器・形状表現による数量化の整理です。
辞書での見分け方と試験対策
西和辞典やスペイン語専用の辞書(西西辞典)を引いた際、英語辞書のように [C](可算)や [U](不可算)という記号が見当たらず戸惑う学習者が少なくありません。
スペイン語辞書に[C][U]記号がない理由
スペイン語の語彙体系では、多くの名詞が文脈に応じて可算としても不可算としても柔軟に機能するため、単語レベルで固定的に二分する記号付けが一般的ではありません。辞書では品詞記号(m.=男性名詞、f.=女性名詞)のみが記載されるのが標準です。
辞書の記述から見分ける2つの手順
- 定義文の語頭を確認する:西西辞典(RAEの辞書など)で、定義が「Líquido...(液体…)」「Materia...(物質…)」「Sentimiento...(感情…)」のように始まっている語句は、素材・物質・抽象概念であるため不可算名詞として機能します。
- 用例の冠詞の有無を確認する:辞書の用例で、目的語の位置に無冠詞(tener tiempo, beber leche など)で置かれているか、複数形の例文が載っているかを確認します。複数形の用例が一切なく、無冠詞の例文ばかりの場合は不可算名詞です。
複数形のみで使われる名詞との混同に注意
単数形のみで使われる不可算名詞とは対照的に、常に複数形で用いられる名詞(pluralia tantum)が存在します。混同しないよう整理しておきましょう。
| 単語(定冠詞+名詞) | 日本語訳 | 特徴 |
|---|---|---|
| las gafas / los lentes(ラス・ガファス/ロス・レンテス) | メガネ | 2つのレンズから成る対の道具 |
| los pantalones(ロス・パンタロネス) | ズボン | 2本の脚を通す形状(単数形 el pantalón も可) |
| las tijeras(ラス・ティヘラス) | ハサミ | 2枚の刃から成る道具 |
| las vacaciones(ラス・バカシオネス) | 休暇 | 複数日で構成される期間 |
| los alrededores(ロス・アルレデドーレス) | 近郊、周囲 | 周囲の一帯を指す集合的表現 |
DELEや大学入試の作文では、*muchos dineros のような不可算名詞の複数形化や、主語に定冠詞を忘れるミス(*Agua es importante. → 正:El agua es importante.)が減点対象になりやすいため、提出前に冠詞と単複の呼応を必ず見直してください。
- 定義文の語頭を確認するLíquidoやMateria、Sentimientoで始まるか確認
- 用例の冠詞の有無を確認する目的語が無冠詞か、複数形例文がないか確認
[C][U]記号がないスペイン語辞書で確認する2つの手順です。
次の疑問試験での名詞の問われ方や出題傾向が気になるときは、スペイン語検定の各級のレベルと難易度を確認して対策の目安を掴みましょう。
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理解度チェック
Q1. 不可算名詞を扱う際の文法原則として正しいものはどれ?
答えを見る
正解: B. 原則として複数形にはしない
不可算名詞は数えられないため原則として複数形にせず、不定冠詞も付けません。数量詞は単数形を使い、主語にする際は定冠詞が必要です。
Q2. 目的語で不特定の量を表す場合の冠詞はどうすべき?
- 定冠詞(el / la)を付ける
- 不定冠詞(un / una)を付ける
- 必ず複数形の冠詞を付ける
- 冠詞を置かない無冠詞にする
答えを見る
正解: D. 冠詞を置かない無冠詞にする
他動詞の直接目的語として分量が限定されていない一部の物質を指す場合は、冠詞を置かない「無冠詞」にします。
Q3. 英語では不可算だが西語では可算名詞として扱える語は?
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正解: B. consejo(助言)
英語のadviceは不可算名詞ですが、スペイン語のconsejoは可算名詞であり、un consejoのように直接数えられます。
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よくある質問
- Q. aguaに付ける冠詞はelですか?laですか?
- 単数形では el agua と男性形の定冠詞を使いますが、語自体は女性名詞です。直後の形容詞は el agua fría(冷たい水)のように女性形になります。
- Q. 不可算名詞にunやunaを付けると間違いですか?
- 原則は誤りですが、飲食店で un café(コーヒー1杯)のように容器表現を省略する場合や、種類を指す場合は会話表現として認められます。
- Q. dineroはなぜ複数形にできないのですか?
- dineroはお金という抽象的・集合的な概念を表す不可算名詞だからです。硬貨(moneda)や紙幣(billete)は可算名詞なので複数形にできます。
- Q. 英語のinformationは西語でも不可算ですか?
- いいえ、スペイン語の información は可算名詞です。una información(1つの情報)や informaciones(複数の情報)として使えます。
- Q. 主語の不可算名詞に定冠詞が必要な理由は?
- スペイン語では主語に立つ名詞はその概念や物質全体を総称するため、境界を明示する定冠詞(el / la)を補う規則になっているためです。
2026年10月2日更新・モチタン辞典編集部