モチタン辞典 › 読みもの › 中国語 › 中国語の発音ルールと基礎知識

中国語発音ルールの完全解説
中国語の発音ルールは、「音節の構造(声母21・韻母36・四声)」「声調記号の優先順位」「声調変化(第3声・一・不の変調)」「ピンインの省略・変形規則」の4系統に整理すると短期間で正しく理解できます。
ローマ字読みの先入観を外し、母音の脱落や音の高低変化の仕組みを把握することで、初見の単語でも迷わずに自然な発音ができるようになります。
中国語会話の総合ガイド ›あいさつ・よく使うフレーズ・場面別の会話・発音・話す練習・検定の会話試験まで、中国語会話のことをまとめて見る
中国語発音ルールの全体構造と音節の仕組み
中国語(普通話)の発音を学ぶ際、最初に把握すべき基本構造が「音節(おんせつ)」です。漢字1文字は基本的に1つの音節に対応しており、1つの音節は「声母(子音)」「韻母(母音)」「声調(音の高低アクセント)」の3つの要素が合体して成り立っています。
この組み合わせの仕組みを理解しておくと、新しい単語に出会ったときも機械的に音を分解・再構築して正しく発音できるようになります。
音節を構成する3要素
- 声母(shēngmǔ / シェンムー):音節の頭に来る子音です。全部で21個あります(子音なしで始まる母音単独の音節もあります)。
- 韻母(yùnmǔ / ユンムー):声母の後ろに続く母音部分です。単母音・複母音・鼻母音を合わせて全部で36個存在します。
- 声調(shēngdiào / シェンディアオ):音節全体に乗せる音の高低の型(ピッチパターン)です。基本となる4種類(第1声・第2声・第3声・第4声)に、軽く短く添える「軽声」を加えた5つの音調があります。
たとえば、日本語の「お母さん」を意味する妈妈(māma / マーマ)の1文字目妈(mā)は、声母[m]+韻母[a]+第1声[¯]で構成されています。2文字目の妈(ma)は声母[m]+韻母[a]+軽声です。声母と韻母が同じであっても、声調が違えばまったく別の漢字・意味になります。
表は横にスクロールできます →
| 要素 | 数量 | 具体例 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| 声母(子音) | 21個 | b, p, m, f, d, t, n, l など | 音節の立ち上がりを決定する |
| 韻母(母音) | 36個 | a, o, e, i, u, ü, ai, an, eng など | 音の響きや広がりを支える中心部 |
| 声調(四声+軽声) | 4種+軽声 | 第1声[¯]、第2声[´]、第3声[ˇ]、第4声[ˋ] | 高低の変化で単語の意味を区別する |
中国語では、同じ「ma」という母音・子音の連続でも、声調によって妈(mā / マー / 母)、麻(má / マー / 麻・しびれる)、马(mǎ / マー / 馬)、骂(mà / マー / 罵る)と意味が完全に変わります。
したがって、発音記号であるピンイン(拼音)を覚えるときは、アルファベットの綴りと声調記号を必ずワンセットで捉えることが基本ルールとなります。
中国語の単語をアプリで覚えるなら、単語アプリ「モチタン」単語アプリ「モチタン」なら、ゲームで覚えられます。まちがえた単語は苦手単語帳にまとまります。無料で試す
声調(四声・軽声)の特徴と声調記号の付け方
声調は、中国語学習者が最初に身につけるべき最も重要なルールです。声調の高さを正しくイメージするために、中国語音声学では音の高低を「ド・レ・ミ・ファ・ソ」の5段階(1〜5の数値)で表す「5度制」が用いられます。日本語の高低アクセントよりも振れ幅が大きく、はっきりと高低を維持・移動させる必要があります。
4つの声調と軽声の音高・発声イメージ
- 第1声[55](高平調):いちばん高い「ソ」の音を、息を切らさずに真っ直ぐ平らに長く伸ばします。救急車のサイレンの「ピー」という音や、合唱の発声練習の高音のイメージです。
- 第2声[35](高昇調):中間の「ミ」から一番高い「ソ」へ、一気にグッと引き上げます。相手の言ったことが聞き取れず、「えっ?」「何?」と驚いて聞き返すときの日本語のイントネーションに近い音です。
- 第3声[214](降昇調):低めの「レ」から最低音の「ド」までグッと抑え込み、最後に少し浮き上がらせます。日常会話の単独発音では、深く低く息を押し殺すように落とす「低く抑える音」が本質です。がっかりして「あーあ」とため息をつくときの底の低さです。
- 第4声[51](全降調):一番高い「ソ」から、地面に叩きつけるように最低音の「ド」へ急速に急降下させます。カラスの「カーッ」という鋭い鳴き声や、空手の気合いで「ハッ!」と短く強く言い切るイメージです。
- 軽声:声調記号を付けず、直前の音節の余韻を受けて、短く軽く添えるように添える音です。単独の音高は持たず、前の声調によって高さが変わります。
声調記号を付ける母音の優先順位ルール
ピンイン表記では、韻母を構成する母音文字の上に声調記号(¯, ´, ˇ, ˋ)を打ちます。母音が2つ以上並ぶ複合母音の場合、どの文字の上に記号を置くかは厳密な優先順位ルールが決まっています。この順序を覚えておくと、書き間違いを防ぐことができます。
- 最優先は[a]:音節の中に[a]が含まれていれば、他の母音の有無にかかわらず必ず[a]の上に付けます(例:bā、hǎo、jiā)。
- [a]がなければ[o]または[e]:[a]がない場合、[o]か[e]の上に付けます。この2つが1つの音節で同時に並ぶことはありません(例:pó、gǒu、hěn、xiè)。
- [i]と[u]が並んだ場合は「後ろ側」:[iu]の場合は[u]の上に付け、[ui]の場合は[i]の上に付けます(例:liù、guì)。「iとuは後ろに乗せる」と覚えると迷いません。
- [i]の上に付けるときは「点を消す」:小文字の[i]に声調記号を打つときは、上部の点を消して、その位置に声調記号を重ねて書きます(例:ī, í, ǐ, ì)。
表は横にスクロールできます →
| 表記ルール | 対象の母音 | ピンインの例 | 漢字の例 |
|---|---|---|---|
| 第1優先 | a | dài, miáo, bān | 带(dài / 携帯する), 苗(miáo / 苗), 班(bān / クラス) |
| 第2優先 | o または e | dōu, lèi, zhèng | 都(dōu / すべて), 累(lèi / 疲れた), 正(zhèng / まさに) |
| 後ろ側優先 | iu(uに付く) | jiǔ, xiū | 九(jiǔ / 9), 休(xiū / 休む) |
| 後ろ側優先 | ui(iに付く) | huí, duì | 回(huí / 戻る), 对(duì / 正しい・対する) |
| 点の省略 | i(点を取って記号) | nǐ, xīn | 你(nǐ / あなた), 新(xīn / 新しい) |
5度制(1〜5の音高)に基づく四声のピッチ推移と発声イメージです。
次の疑問四声の高低差を頭では理解できても感覚がつかみにくいときは、中国語声調・四声の覚え方を見ると手の動きや身近な音で定着させやすくなります。
必ず覚える声調変化(変調)の公式ルール
中国語の単語は、辞書に載っている元の声調(本調)のまま常に発音されるわけではありません。特定の音節が連続すると、発音を滑らかにするために声調が自動的に変化します。これを「変調(へんちょう)」と呼びます。
変調の極めて重要な鉄則は、「発音は変化するが、ピンイン表記は原則として元の声調のまま書く」という点です(「一」と「不」は学習教材によって変調後の表記を採用することもありますが、一般規則としては本調表記が基本です)。耳で聞く音と目で見る表記のズレに惑わされないよう、公式を頭に叩き込みましょう。
1. 第3声同士の連続(3声+3声 → 2声+3声)
第3声の漢字が2つ連続する場合、前の第3声は第2声に変化させて発音します。第3声は低く潜る音なので、2回連続して低音へ落とし込むと発声がもたついてしまうためです。
- 你好:表記は[nǐ hǎo]ですが、実際の発音は[ní hǎo](ニイハオ)となります。
- 手表:表記は[shǒubiǎo]ですが、実際の発音は[shóubiǎo](ショウビャオ / 腕時計)となります。
- 洗脸:表記は[xǐliǎn]ですが、実際の発音は[xíliǎn](シーリエン / 顔を洗う)となります。
3つ以上の第3声が連続する場合は、言葉の意味の区切れ(形態素の結びつき)に従って区切って変調させます。たとえば我很好(wǒ hěn hǎo / 私はとても元気です)は、「我」と「很好」に分かれるため、[wǒ + hén hǎo]と発音するか、早口では[wó hén hǎo]と前の2つを第2声化して発音します。
2. 半三声のルール(3声+1声・2声・4声・軽声)
第3声の後ろに第3声以外の音(第1声、第2声、第4声、軽声)が続く場合、前の第3声は後ろ半分(浮き上がる部分)を発声せず、低く落とした状態で次の音へ移ります。これを「半三声(はんさんせい)」と呼びます。
表は横にスクロールできます →
| 後続の声調 | 組み合わせ例 | ピンイン表記 | 実際の発音要領 |
|---|---|---|---|
| 第1声が続く | 北京(北京) | Běijīng | [Běi]を底まで低く落とした位置から、高く澄んだ[jīng]へ跳ぶ |
| 第2声が続く | 美男(美男子) | měinán | [měi]を底に押し留め、一気に持ち上げる[nán]へ繋ぐ |
| 第4声が続く | 好看(きれい・面白い) | hǎokàn | [hǎo]を低く抑えたまま、高い位置から急降下する[kàn]を叩きつける |
| 軽声が続く | 椅子(椅子) | yǐzi | [yǐ]を低く落とし、その低い位置のまま[zi]を短く添える |
3. 「不(bù)」の声調変化公式
否定を表す不(bù)は、本来は第4声です。しかし、後ろに第4声が続く場合だけ、第4声が重なる窮屈さを避けるために第2声(bú)に変化します。
- 後ろが第4声のとき → 第2声(bú)に変化:不是(bú shì / 〜ではない)、不要(bú yào / いらない)、对了不?对不起(duìbuqǐ ※真ん中は軽声化)
- 後ろが第1・2・3声のとき → 第4声(bù)のまま:不高(bù gāo / 高くない)、不来(bù lái / 来ない)、不好(bù hǎo / よくない)
4. 「一(yī)」の声調変化公式
数字の1を表す一(yī)は本来は第1声ですが、日常会話で使われる環境によって3通りに変化します。
- 単独・数字の読み上げ・順序(序数):本来の第1声(yī)のまま発音します。
例:第一(dì-yī / 第一)、一二三(yī èr sān / 1, 2, 3)、十一(shíyī / 11)。 - 後ろに第4声が続く場合:第2声(yí)に変化します。
例:一个(yí gè / 1個・ひとり)、一定(yí dìng / 必ず)、一块儿(yíkuàir / 一緒に)。 - 後ろに第1声・第2声・第3声が続く場合:第4声(yì)に変化します。
例:一天(yì tiān / 1日)、一年(yì nián / 1年)、一起(yì qǐ / 一緒に)。 - 動詞の間に挟まる場合:軽声(yi)として短く弱く発音します。
例:看一看(kàn yi kàn / ちょっと見てみる)、等一等(děng yi děng / 少し待つ)。
你好
- 表記:nǐ hǎo
- 実際の発音:ní hǎo
- 前の第3声が第2声に変化
手表
- 表記:shǒubiǎo
- 実際の発音:shóubiǎo
- 前の第3声が第2声に変化
洗脸
- 表記:xǐliǎn
- 実際の発音:xíliǎn
- 前の第3声が第2声に変化
第3声が連続する場合の表記と実際の発音の違いを整理した比較です。
ピンイン表記の省略・変形ルール一覧
ピンインには、筆記の手間を省いたりアルファベットの衝突を整理したりするために制定された「表記上の約束事(変形・省略)」がいくつか存在します。表記ルールを知らないと、「書いてある綴りと実際の音声が違う」という混乱に直面します。
1. 「j, q, x」と「ü」が合体すると点が消える
舌面音と呼ばれる子音j, q, xの直後に、口をすぼめる母音üが結びつく場合、表記上は2つの点(ウムラウト)を省略して普通の一文字[u]と書きます。しかし、発音は[u](ウ)ではなく、依然として[ü](ユィ)のままです。
一方、子音n, lの後ろでは、[u]と結びつく単語(路 lù など)と[ü]と結びつく単語(绿 lǜ など)の両方が存在するため、区別のためにウムラウトの点を残して表記します。
表は横にスクロールできます →
| 子音 | 結合する母音 | 実際の表記 | 実際の発音の目安 | 単語例 |
|---|---|---|---|---|
| j, q, x | ü | ju, qu, xu | ジュー/チュー/シュー(口を丸めて「ユィ」) | 去(qù / 行く), 句(jù / 文) |
| j, q, x | üe | jue, que, xue | ジュエ/チュエ/シュエ | 学(xué / 学ぶ), 月(yuè / 月) |
| j, q, x | üan | juan, quan, xuan | ジュエン/チュエン/シュエン | 选(xuǎn / 選ぶ) |
| j, q, x | ün | jun, qun, xun | ジュン/チュン/シュン(口すぼめ) | 裙(qún / スカート) |
| n, l | ü / u | nǚ / nǔ, lǜ / lù | 点は省略不可(uとüで単語が異なるため) | 女(nǚ / 女性), 路(lù / 道) |
2. 複合母音「iou, uei, uen」の省略規則
母音[iou][uei][uen]の前に子音(声母)が付くとき、真ん中の母音文字が表記から脱落し、それぞれ-iu, -ui, -unと書かれます。書かれていない真ん中の母音は、消滅したわけではなく軽く曖昧な渡り音として発音に残ります。
- [iou]→[-iu]:子音[d]が付くと[diu]と書きますが、口の中では「ディ欧(diəu)」のように真ん中に「オ」の響きを含ませて発音します(例:九 jiǔ、六 liù)。
- [uei]→[-ui]:子音[g]が付くと[gui]と書きますが、単なる「グイ」ではなく「グェイ(guei)」のように真ん中に「エ」の響きを通過させて発音します(例:贵 guì、水 shuǐ)。
- [uen]→[-un]:子音[c]が付くと[cun]と書きますが、単なる「ツン」ではなく「トゥエン(tuən)」のニュアンスで曖昧な「オ/エ」の口の構えを一瞬挟みます(例:春 chūn、轮 lún)。
3. 先頭が「i, u, ü」の単独音節(y・wの補完規則)
声母(子音)がなく、韻母の「i」「u」「ü」から単語が始まる場合、音節の境界を明確にするためにアルファベットの[y]や[w]を用いて書き換えます。
- i で始まる場合:後ろに他の母音がない[i]単独なら[yi]にする(例:一 yī)。後ろに他の母音があれば[i]を[y]に変える(例:ya, yao, you, ye)。
- u で始まる場合:後ろに他の母音がない[u]単独なら[wu]にする(例:五 wǔ)。後ろに他の母音があれば[u]を[w]に変える(例:wa, wo, wai, wen)。
- ü で始まる場合:前に必ず[y]を置き、かつ[ü]の点を消して[u]と表記する(例:鱼 yú、月 yuè、云 yún)。点はありませんが発音はすべて[ü]です。
4. 音節の衝突を防ぐ「隔音符号(')」
母音[a][o][e]で始まる音節が他の音節の直後に続くとき、切れ目が分からなくなるのを防ぐためにアポストロフィ記号[ ' ]を挟みます。これを「隔音符号(géyīnfúhào)」といいます。
たとえば、陝西省の都市西安は、そのまま繋げて書くと「xian(シエン=先など)」と読めてしまいます。そこで音節を分けるためにXī'ān(シーアン)と表記します。天安門もTiān'ānménと書くことで正確な音節分離を保証します。

次の疑問省略や変形を含むすべての組み合わせを一度に整理したいなら、中国語の発音表とピンイン一覧で全体の並びを確認してみるのが近道です。
日本人がつまずく発音(有気音・e・ü・そり舌音)のコツ
日本語の母音は5個、子音は十数個しかありません。そのため、日本人は中国語の豊かな音を無意識に日本語の五十音(カタカナ)に当てはめて聞き取り、発音しようとしてしまいます。日本人が特につまずきやすいポイントと、物理的な口・舌の使い方を整理します。
1. 有気音と無気音の区別(息の破裂)
日本語の清音・濁音(か行/が行、た行/だ行など)は「声帯が震えているかどうか(有声音/無声音)」で区別されます。しかし中国語には基本的に濁音がなく、「発音するときに強い息を吐き出すか(有気音)」「息を喉の奥で止めて漏らさないか(無気音)」で意味を分けます。
表は横にスクロールできます →
| 分類 | 無気音(息を出さない) | 有気音(息を強く吹き出す) | 発音のコツと身体チェック |
|---|---|---|---|
| 唇音 | b[p](例:爸 bà) | p[pʰ](例:怕 pà) | 口の前にティッシュを垂らし、有気音[p]でティッシュが大きく揺れ、無気音[b]では全く動かなければ合格 |
| 舌尖音 | d[t](例:大 dà) | t[tʰ](例:太 tài) | [d]は日本語の「タ」の構えから喉を詰まらせて出す。[t]は激しく「ツァッ」と息を破裂させる |
| 舌根音 | g[k](例:哥 gē) | k[kʰ](例:渴 kě) | [g]は「カ」の構えで息を漏らさない。[k]はうがいをするときのように喉の奥から激しく息を吐く |
2. 要注意母音「e」と「ü」の舌と唇の位置
- 母音[e]の発音法:日本語の「エ」ではありません。まず日本語の「オ」の口の形を作り、喉の奥を大きく開けます。その唇の開き具合を保ったまま、唇を丸めずに横へ軽く引き、喉の奥から「ウー」とゲップを出すような感覚で唸り声を出します。「曖昧なエとオの中間のこもった音」になります(例:喝 hē / 飲む、哥哥 gēge / 兄)。
- 母音[ü]の発音法:日本語の「ユ」や「ウ」ではありません。まず日本語の「イ」と発音しながら、舌の位置や形を絶対に固定したまま動かさず、唇だけをストローをくわえるようにキュッと前に突き出して丸めます。笛を吹くような強い口のすぼめ方を保ったまま「ユィー」と響かせます(例:去 qù / 行く、绿 lǜ / 緑)。
3. そり舌音(zh, ch, sh, r)の作り方
そり舌音は、舌先を上あごの硬い部分(歯茎の後ろのくぼみ)に向けて持ち上げて構える音です。ただし、「舌を無理に奥へ丸める」と意識しすぎると喉が詰まり、不自然な音になります。
- 舌先をスプーンのように軽く持ち上げ、上の前歯の歯茎の少し奥にある膨らみ(硬口蓋の手前)に近づけます(完全に密着させず、わずかに隙間を空けます)。
- そのまま声を出すと、摩擦の混じったこもった重い音が出ます。
- zh(無気音)は息を漏らさず「ヂ/ヂュ」、ch(有気音)は強い息を吹き出して「チ/チュ」、shは舌を触れさせずに息を激しく擦らせて「シ/シュ」、rは声帯を震わせて英語の[r]に近い「ル/日」の濁った響きを出します。
発音ルールを実践する日常会話シーン
学んだ発音ルール(第3声の連続変調、不の変調、有気音・無気音の区別)が会話の中でどのように使われるか、日常のリアルな対話例で確認してみましょう。
会話例1:カフェでの注文(変調と有気音の実践)
Aは店員、Bはお客さんです。第3声の変調と「一」「不」の音の動きに注目してください。
A: 你好!想喝点儿什么?
(Nǐ hǎo! Xiǎng hē diǎnr shénme? / ニイ ハオ! シアン ホー ディアル シェンマ? / こんにちは!何をお飲みになりますか?)
※「你好」は[ní hǎo]に変調。「想喝点儿」の「想」[xiǎng]は半三声で低く維持されます。
B: 我要一杯冰美式。请问,加糖吗?
(Wǒ yào yì bēi bīng měishì. Qǐngwèn, jiā táng ma? / ウォ ヤオ イー ベイ ビン メイシー。
チンウェン、ジアー タン マ? / アイスアメリカーノを1杯ください。お聞きしますが、砂糖は入っていますか?)
※「一杯」の「一」[yī]は後ろが第1声(bēi)のため第4声[yì]に変化しています。
A: 不加糖。我们这里的咖啡都不甜。
(Bù jiā táng. Wǒmen zhèlǐ de kāfēi dōu bù tián. / ブー ジアー タン。
ウォメン ジョーリ ダ カーフェイ ドウ ブー ティエン。 / 砂糖は入りません。こちらのコーヒーはどれも甘くありませんよ。)
※「不加」「不甜」の「不」は後ろが第1声(jiā)および第2声(tián)なので、第4声[bù]のまま発音されます。
B: 太好了,我就要这个。
(Tài hǎo le, wǒ jiù yào zhège. / タイ ハオ ラ、ウォ ジウ ヤオ ジョーガ。 / よかった、それにします。)
会話例2:待ち合わせの確認(「不」の変調と母音省略の実践)
待ち合わせの時間に遅れそうな友人同士のやり取りです。
A: 你到了没有?我已经在车站了。
(Nǐ dào le méiyǒu? Wǒ yǐjīng zài chēzhàn le. / ニードアオ ラ メイヨウ? ウォ イージン ザイ チャージャン ラ。 / もう着いた?私はもう駅にいるよ。)
B: 对不起!路上有点儿堵车,我不是故意的。
(Duìbuqǐ! Lùshang yǒudiǎnr dǔchē, wǒ bú shì gùyì de. / ドゥイブーチー! ルーシャン ヨウディアル ドゥーチャー、ウォ ブー シー グーイー ダ。
/ ごめんなさい!道が少し渋滞していて、わざと遅れたんじゃないんだ。)
※「对不起」の「不」は軽声。「不是」の「不」は後ろに第4声(shì)が来るため第2声[bú]に変調しています。「dui」は[d-uei]の渡り音です。
A: 没事,不着急。你大概几点能到?
(Méi shì, bù zháojí. Nǐ dàgài jǐ diǎn néng dào? / メイ シー、ブー ジャオジー。
ニー ダーガイ ジー ディエン ノン ドアオ? / 大丈夫、焦らないで。だいたい何時に着けそう?)
※「不着急」の「不」は後ろが第2声(zháo)なので第4声[bù]です。
B: 再过十分钟左右,我就能到了。
(Zài guò shí fēnzhōng zuǒyòu, wǒ jiù néng dào le. / ザイ グオ シー フェンジョン ズオヨウ、ウォ ジウ ノン ドアオ ラ。
/ あと10分くらいで着けるよ。)
※「九」「就(jiù)」は[j-iou]の母音脱落規則により、真ん中に曖昧な「オ」の響きが入ります。
カタカナ発音を脱却する練習ステップと確認法
頭で発音ルールを理解した後は、それを無意識に再現できるように口の筋肉をトレーニングする必要があります。独学者がカタカナ発音から脱却し、正確な中国語音を定着させるための4つの実践ステップを紹介します。
ステップ1:ピンインの母音・子音を「音素」単体で鳴らす
漢字を見ながら練習すると、漢字の日本語読み(音読み・訓読み)に脳が引っ張られ、無意識にカタカナ音になってしまいます。まずは漢字を伏せ、アルファベット記号(ピンイン)だけを見て、母音[e][ü]や有気音[p][t][k]を単音で正確に出す練習を繰り返します。
鏡を見て、唇の丸め具合や突き出しが維持されているか目視で確認しましょう。
ステップ2:無声の「ハンドジェスチャー」で四声を身体に刻む
声調をコントロールするには、手の動きを連動させるのが最も効果的です。
- 第1声:人差し指を水平にスーッと真横にスライドさせる。
- 第2声:下から斜め右上に向かってクイッとシャープに引き上げる。
- 第3声:指先で深く谷底を描くように下に落とし、低くキープする。
- 第4声:上から下に向かって空手チョップのように鋭く振り下ろす。
この手の軌跡と発声を連動させることで、日本語のフラットなピッチに引き戻される癖を強力に矯正できます。
ステップ3:変調箇所の「マーキング」を行う
教科書や例文を読むときは、声調変化が起きる箇所に鉛筆で印を付けます。前述の通り、ピンインテキストには変調後の声調記号は印刷されていません。そのため、第3声が連続している箇所には「2声」のメモを書き込み、「不」や「一」が変調する位置には矢印(↑=2声、↓=4声)を書き込んでから音読する習慣をつけてください。
ステップ4:スマホ録音によるピッチのセルフチェック
自分の発声している音は、頭蓋骨を通じて骨伝導で聞こえるため、客観的な音の高さが分かりません。スマートフォンの標準ボイスメモ機能を使って自分の発声を録音し、お手本の音声と波形やピッチを聞き比べます。
「第2声の上がりきり方が足りているか」「第4声の立ち上がりが低くなっていないか」を客観的にチェックすることで、自分自身の音のズレに早期に気づくことができます。
漢字を伏せピンインだけで母音・子音を単音で正確に出す
手の動きと発声を連動させて四声のピッチを身体に刻む
テキストに声調変化する箇所のメモや矢印を書き込む
自分の音声を録音してお手本とピッチや高低差を聞き比べる
正確な中国語の発音を定着させるための段階的な練習手順です。
次の疑問自分の出した音が正しく通じるか客観的に確かめたい方は、中国語発音確認アプリ・サイト比較で使えるツールを探してみましょう。
続けて読む
よくある質問
- Q. 中国語の発音ルールは何から覚えるべき?
- まずは「四声(4つの声調)」の音の高低差を身体で覚えることから始めましょう。意味の区別に最も直結するためです。その次に声調記号の優先順位と、必須の変調ルール(第3声の連続、「一」「不」の変化)を押さえると学習がスムーズになります。
- Q. なぜピンインは変調しても表記を変えないの?
- 単語本来の基本声調(本調)を辞書や表記の上で明確に保持するためです。仮に変調のたびに表記を変えると、元の漢字が何声の単語なのか分からなくなってしまいます。そのため「表記は元のまま、発声時のみ変調させる」のが大原則となっています。
- Q. 「j, q, x」の後ろの「u」はどう読む?
- 「ウ」ではなく「ü(ユィ)」と発音します。舌面音(j, q, x)は構造上、奥舌母音の[u]とは結合せず、[ü]としか結合しません。混同の恐れがないため表記上の2つの点が省略されていますが、発声は唇を丸く突き出す[ü]のまま行います。
- Q. 「半三声」とはどのような音ですか?
- 第3声の本来の音調(低く下げてから少し浮き上がる)のうち、後半の浮き上がりを捨てて、最低音までぐっと落とした低い音をキープする発声です。後ろに第1声・第2声・第4声・軽声が続く場合、第3声はすべてこの半三声になります。
- Q. ピンインの「ui」や「iu」が読みにくいです
- 「ui」は本来[uei]、「iu」は本来[iou]という複合母音の真ん中が省略された表記です。カタカナの「ウイ」「イウ」ではなく、間に隠れている曖昧な「エ」や「オ」の響きを一瞬通過させて渡り音を作るとネイティブらしい綺麗な発音になります。
2026年10月16日更新・モチタン辞典編集部