モチタン辞典 › 読みもの › スペイン語 › スペイン語三人称の動詞活用と用法

スペイン語の三人称動詞の活用と用法

スペイン語の三人称動詞の活用と用法

スペイン語の直説法現在における三人称動詞の語尾は、単数が-a(-ar動詞)または-e(-er/-ir動詞)、複数が-an(-ar動詞)または-en(-er/-ir動詞)です。

主語が「彼(él)」「彼女(ella)」だけでなく、敬称の「あなた(usted)」や「モノ・事柄」の場合もすべて三人称動詞を使います。

スペイン語三人称動詞の活用語尾一覧

スペイン語の動詞活用において、三人称(単数・複数)は日常会話でも文章でも最も頻繁に使われる形です。直説法現在の規則変化では、語幹に特定の語尾を付けるだけで三人称の形が完成します。

人称ごとの語尾変化には明確なパターンがあります。1人称単数は「-o」、2人称単数は語尾に「-s」が付き、3人称単数は母音「-a」または「-e」で終わります。そして複数形になると、単数形の末尾に「-n」が加わります。

表は横にスクロールできます →

動詞のタイプ三人称単数語尾三人称複数語尾対応する主語の例
-ar動詞-a-anél, ella, usted / ellos, ellas, ustedes
-er動詞-e-enél, ella, usted / ellos, ellas, ustedes
-ir動詞-e-enél, ella, usted / ellos, ellas, ustedes

上の表のように、直説法現在において-er動詞と-ir動詞の三人称語尾は全く同じ形(単数は-e、複数は-en)になります。覚えるべき基本パターンは実質的に「-a / -an」と「-e / -en」の2系統のみです。

次の疑問人称ごとの語尾がなかなか頭に入らないときは、スペイン語動詞の活用の覚え方で整理する手順を掴んでおくと安心です。

規則動詞の三人称単数・複数活用と例文

規則動詞の原形(不定詞)から語尾の「-ar」「-er」「-ir」を取り除いた部分を語幹と呼びます。語幹に三人称語尾を接続することで、正しい活用形を作ることができます。

1. -ar動詞の活用例:hablar(アブラール・話す)

語幹「habl-」に単数語尾「-a」、複数語尾「-an」を付けます。

例文:

Ella habla español muy bien.
(彼女はスペイン語をとても上手に話します。)

Mis amigos hablan de fútbol.
(私の友人たちはサッカーについて話しています。)

2. -er動詞の活用例:comer(コメール・食べる)

語幹「com-」に単数語尾「-e」、複数語尾「-en」を付けます。

例文:

Carlos come una manzana.
(カルロスはリンゴを1つ食べます。)

Ellos comen en la cafetería.
(彼らはカフェテリアで食事をします。)

3. -ir動詞の活用例:vivir(ビビール・住む)

語幹「viv-」に単数語尾「-e」、複数語尾「-en」を付けます。-er動詞と同じ語尾変化です。

例文:

El profesor vive en Madrid.
(その先生はマドリードに住んでいます。)

Mis abuelos viven en el campo.
(私の祖父母は田舎に住んでいます。)

表は横にスクロールできます →

原形意味三人称単数三人称複数
trabajar働くtrabajatrabajan
estudiar勉強するestudiaestudian
aprender学ぶaprendeaprenden
beber飲むbebebeben
escribir書くescribeescriben
abrir開けるabreabren

重要不規則動詞の三人称活用一覧

スペイン語で極めて使用頻度が高い基本動詞には、不規則変化をするものが多く存在します。特にbe動詞に相当するser(セール・〜である)とestar(エスタール・〜の状態にある、いる)の三人称形は、会話の根幹を担います。

動詞serとestarの三人称形

表は横にスクロールできます →

動詞三人称単数三人称複数英語での相当形
seres(エス)son(ソン)is / are(本質・属性)
estarestá(エスタ)están(エスタン)is / are(状態・所在)

例文:

Madrid es la capital de España.
(マドリードはスペインの首都です。)

Ellos son estudiantes.
(彼らは学生です。)

El café está caliente.
(コーヒーが熱い状態です。)

Las llaves están en la mesa.
(鍵はテーブルの上にあります。)

日常会話で頻出する不規則動詞の三人称一覧

表は横にスクロールできます →

原形主な意味三人称単数三人称複数
tener持つ、あるtienetienen
hacerする、作るhacehacen
ir行くvavan
poder〜できるpuedepueden
decir言うdicedicen
querer欲しい、欲するquierequieren
saber知っているsabesaben
dar与えるdadan
ver見るveven
venir来るvienevienen

tener(持つ)のtieneやir(行く)のvaなどは、語幹母音が変化したり語形が大きく変わったりしますが、末尾の母音(-eや-a)と複数形の「-n」という規則性は共通しています。

次の疑問三人称以外の変化パターンもまとめて確認したいなら、スペイン語の不規則動詞一覧と覚え方をあわせて見ると効率よく学べます。

なぜ丁寧な「あなた」は三人称動詞なのか

スペイン語学習者が最初につまずきやすいポイントが、会話相手である「あなた(usted・ウステッド)」および「あなたがた(ustedes・ウステデス)」に対して三人称動詞を用いるという文法規則です。

歴史的背景:敬称表現「Vuestra Merced」

ustedという単語は、かつて貴族や高貴な人物に対して用いられていた敬称vuestra merced(ブエストラ・メルセッ・貴下、恩寵)が長い歴史の中で短縮されて生まれた言葉です。

日本語でも目上の人に対して「そなたは〜」と直接指すのではなく、「社長はご存じですか」「先生はどう思われますか」と役職や敬称を三人称として扱いながら話しかけることがあります。

スペイン語のustedもこれと全く同じ構造です。相手を三人称の名詞として距離を保ち、敬意を払って言及した名残であるため、動詞も三人称を活用します。

人称代名詞指す対象対応する動詞の活用人称
tú君、親しい相手二人称単数(例: hablas)
ustedあなた(敬称)三人称単数(例: habla)
vosotros/-as君たち(スペイン本国)二人称複数(例: habláis)
ustedesあなたがた(敬称/中南米では複数一般)三人称複数(例: hablan)

例文:

¿De dónde es usted?
(あなたのご出身はどちらですか? ※動詞はserの三人称単数es)

¿Tienen ustedes alguna pregunta?
(あなたがたは何か質問がありますか? ※動詞はtenerの三人称複数tienen)

スペイン語三人称の動詞活用と用法のイメージ

相手に応じた使い分けを詳しく知りたいときは、「あなた」はスペイン語で何て言う?をご覧ください。

三人称動詞の主語省略:見極めの判断基準

スペイン語は動詞の活用形自体が人称を示すため、原則として主語代名詞を省略できます。例えばHablo español.と言えば、語尾「-o」から主語が「私(yo)」であることは明白です。

しかし、三人称単数の動詞(例: trabaja)は主語の候補が非常に多岐にわたります。彼(él)、彼女(ella)、あなた(usted)、さらには固有名詞やモノまで該当します。そのため、文脈に応じた適切な省略の判断基準を知っておくことが不可欠です。

主語を省略してよい場面

主語を明示すべき場面

三人称動詞の主語省略の判断基準

省略してよい場面

  • 直前の文で話題の人物がすでに明示されている場合
  • 周囲の状況や文脈から対象が1人・1つに特定できる場合

明示すべき場面

  • 新しい話題を切り出すとき(導入時)
  • 対比や強調を行うとき
  • ustedを使って丁寧さを際立たせたいとき

主語を省略できる場面と、誤解を防ぐために明示すべき場面の比較です。

会話でのtú(2人称)とusted(3人称)の比較

友人や家族に使う親称túと、初対面の人や店員・顧客・目上の人に使う敬称ustedでは、動詞の形が変わります。実際の会話で頻繁に交わされる表現を対比して確認しましょう。

シチュエーション親称 tú(2人称動詞)敬称 usted(三人称動詞)
調子を尋ねる¿Cómo estás?¿Cómo está? (¿Cómo está usted?)
名前を尋ねる¿Cómo te llamas?¿Cómo se llama? (¿Cómo se llama usted?)
理解を確認する¿Entiendes?¿Entiende? (¿Entiende usted?)
注文・希望を聞く¿Qué quieres?¿Qué desea? / ¿Qué quiere usted?
出身を尋ねる¿De dónde eres?¿De dónde es? (¿De dónde es usted?)

日常会話では、相手との関係性に応じてスムーズに2人称と3人称を切り替えるスキルが求められます。親称túの動詞には語尾に「-s」が付くのに対し、敬称ustedの三人称動詞には「-s」が付かない点が最大の識別ポイントです。

アクセント符号の有無による混同を防ぐには、tuとtúの違いの解説が参考になります。

複数形の二人称の使い分けについては、vosotrosとustedesの違いで詳しく解説しています。

三人称単数現在形とtú肯定命令形の識別法

スペイン語学習者が混乱しやすい文法項目の1つに、「直説法現在の三人称単数形」と「túに対する肯定命令形」が同じ綴り・発音になる現象があります。

規則動詞の場合、túに対する肯定命令形は、直説法現在の三人称単数形と全く同じ形をとります。

見分け方のポイント

両者を見分ける基準は「文構造(感嘆符や呼びかけ)」「目的語代名詞の位置」「文脈」の3点です。

  1. 感嘆符と呼びかけの有無
    命令形では、前後に感嘆符(¡ !)が付くことや、相手の名前を呼びかけるコンマが置かれることが一般的です。
    例: Juan, habla despacio, por favor.(フアン、ゆっくり話して。)→ 命令形
    例: Juan habla despacio.(フアンはゆっくり話します。)→ 現在形
  2. 代名詞の配置位置
    現在形では代名詞を動詞の直前に置きますが、肯定命令形では動詞の後ろに直結させます。
    例: Él lo come.(彼はそれを食べます。現在形:代名詞loが前)
    例: ¡Cómelo!(それを食べなさい!命令形:代名詞loが後ろに結合)
三人称単数現在とtú命令の見分け方
❗感嘆符と呼びかけ

命令文では前後の¡ !や呼びかけのコンマが付くことが一般的です。

🔄代名詞の配置位置

現在形は動詞の直前に置き、肯定命令形では動詞の後ろに直結します。

💬文脈での判断

前後の状況や会話の流れから、事実の叙述か指示・命令かを判断します。

同形になる三人称単数現在とtú肯定命令を識別する3つのポイントです。

次の疑問肯定以外の否定命令やustedへの指示まで整理したいときは、スペイン語の命令形の作り方と使い方で全体像を確かめてみましょう。

三人称を使った無人称表現と不定人称文

スペイン語の三人称は、特定の主語を持たない「無人称表現」や、行為者を特定しない「不定人称文」を構成する際にも中心的な役割を果たします。

1. 三人称単数固定の無人称動詞

天候や存在を表す表現では、特定の主語が存在しないため、動詞は常に三人称単数形に固定されます。

2. 三人称複数の不定人称文(主語なし三人称複数)

行為者を特定せず「誰かが〜している」「一般の人々が〜している」と言いたい場合、主語を置かずに動詞を三人称複数形にします。英語の「They say...」や受動態に似た働きをします。

例文:

Llaman a la puerta.
(ドアがノックされています。/誰かがドアを叩いています。)

Dicen que va a llover mañana.
(明日は雨が降ると言われています。)

3. seを用いた不定人称文・受動態との使い分け

不特定の行為者を表す方法には「se + 三人称動詞」の構文もあります。主語なし三人称複数形とse構文には次のようなニュアンスの違いがあります。

構文例文ニュアンスと用法
主語なし三人称複数Venden flores aquí.その場にいる特定の誰か(複数)を漠然と指す(誰かがここで花を売っている)
se受動態/不定人称Se venden flores aquí.一般的な規則・社会通念・掲示(花を販売しています/花が売られている)
三人称を用いた主語なし構文の分類
三人称の主語なし構文

三人称単数固定(無人称)

  • 天候のhacer
  • 存在のhaber(hay)
  • 時間のhacer

不特定の行為者(不定人称)

  • 主語なし三人称複数
  • se+三人称動詞

三人称を活用して表現される無人称表現および不定人称文の全体像です。

三人称動詞と目的語代名詞の語順ルール

三人称の動詞と一緒に使われる目的語代名詞(直接目的語・間接目的語)および再帰代名詞には、厳密な配置ルールがあります。

三人称代名詞の一覧

基本の語順:直説法現在形では「動詞の直前」

通常の現在形の平叙文・疑問文では、目的語代名詞は必ず動詞の前に独立した単語として置きます。

例文:

Ella lo compra.
(彼女はそれを買います。)

Juan se levanta a las siete.
(フアンは7時に起きます。※再帰動詞levantarse)

二重目的語代名詞での「se」への変化ルール

「〜に(間接)」と「〜を(直接)」を同時に三人称動詞の前に並べる場合、語順は間接+直接になります。ただし、le loやles laのように「l」で始まる代名詞が連続することは発音の都合上禁止されており、手前のle / lesは必ずseに変化します。

× Le lo doy. → ○ Se lo doy.
(私はそれを彼/彼女/あなたに与えます。)

三人称動詞の文でseを見かけた際は、再帰代名詞のseなのか、間接目的語le / lesの身代わりとしてのseなのかを文脈から識別することが大切です。

二重目的語代名詞の「se」変化手順
1代名詞の配置

動詞の直前に「間接目的語(le/les)+直接目的語(lo/laなど)」を並べる

2連続の確認

「l」で始まる代名詞が連続しているかを確認する(例: le lo)

3seへの変化

発音上の重複を避けるため、手前の間接目的語(le/les)を「se」に変える

三人称動詞の前で間接・直接目的語が連続する際の語順と変化の流れです。

続けて読む

スペイン語の疑問をすべて見る「スペイン語」のまとめ

理解度チェック

Q1. 直説法現在において、-er動詞と-ir動詞の三人称語尾はどうなりますか?

  1. 単数は-a、複数は-an
  2. 単数は-e、複数は-en
  3. 単数は-o、複数は-os
  4. 単数は-e、複数は-es
答えを見る

正解: B. 単数は-e、複数は-en
直説法現在では、-er動詞と-ir動詞の三人称語尾は全く同じで、単数は-e、複数は-enとなります。

Q2. 敬称「usted(あなた)」に三人称動詞を用いる歴史的な理由は何ですか?

  1. 親称のtúと動詞の語尾を一致させるため
  2. かつて命令形として使われていた名残のため
  3. 高貴な敬称「vuestra merced」に由来するため
  4. 動詞の語幹母音が変化するのを防ぐため
答えを見る

正解: C. 高貴な敬称「vuestra merced」に由来するため
敬称「vuestra merced」を三人称の名詞として距離を保ち敬意を払って言及した名残であるため、三人称動詞を用います。

Q3. 規則動詞の直説法現在三人称単数と、tú肯定命令形を見分ける基準は?

  1. 語尾に-sが付いているかどうか
  2. 主語代名詞が必ず文頭にあるかどうか
  3. 不規則変化動詞に該当しているかどうか
  4. 代名詞の位置や呼びかけ・感嘆符の有無
答えを見る

正解: D. 代名詞の位置や呼びかけ・感嘆符の有無
両者は形が同じですが、感嘆符や呼びかけの有無、代名詞が動詞の前か後ろに直結するかなどで見分けます。

Nathanスペイン語の文法は、話して身につけよう。会話アプリ「モチスピ」スペイン語を話して練習できる会話アプリ。話すたびに、発音・文法・自然さをその場で直してもらえます。無料で試す

よくある質問

Q. 三人称単数の主語には何が含まれますか?
「彼(él)」「彼女(ella)」のほか、敬称の「あなた(usted)」、人名(Carlosなど)、単数の名詞・モノ(el tren、la casa)、不定代名詞(alguienなど)が含まれます。
Q. 中南米ではustedesしか使わないのですか?
中南米では親しい間柄の複数「君たち(vosotros)」を使わず、親しい相手でも改まった相手でもすべて三人称複数の「ustedes」に動詞の三人称複数形を合わせて表現します。
Q. 「hay」はなぜ三人称単数扱いなのですか?
hayは動詞haberの無人称現在形で、主語をとらず「存在そのもの」を表す構文だからです。後ろに来る名詞が単数でも複数でも、動詞の形は三人称単数のhayのまま変わりません。
Q. 三人称複数動詞で主語がない文の意味は?
Llaman(ノックしている)やDicen(〜と言われている)のように主語を省いた三人称複数は、特定の人物ではなく「不特定の誰か」や「世間一般の人々」を表す不定人称文になります。
Q. 三人称動詞の活用を効率よく覚えるコツは?
直説法現在では「-ar動詞は-a/-an」「-er/-ir動詞は-e/-en」と整理し、最頻出の不規則動詞(es/son、está/están、tiene/tienen、va/van)をペアで声に出して覚えるのが近道です。

2026年10月8日更新・モチタン辞典編集部