モチタン辞典 › 読みもの › 中国語 › 中国語「来」と「去」の方向動詞の使い分け

中国語の来と去の違いと使い分け
中国語の来(lái・来る)と去(qù・行く)の違いは、動作が話し手(基準点)に「近づく」か「離れる」かで決まります。日本語とほぼ同じ感覚で使えますが、電話で「今そっちに行くよ」と言うときは相手の視点に立って我这就来(wǒ zhè jiù lái)と表現するなど、独自の視点ルールが存在します。
来と去の根本的な違いと視点の原則
中国語の来(lái)と去(qù)を正しく使い分けるための鉄則は、「話し手(または話の中で基準となる人物)がいる場所」を原点として捉えることです。物理的な距離や心理的な距離が基準点に向かって縮まるなら来を使い、基準点から遠ざかるなら去を選びます。
視点の基本ルール
- 来(lái):基準点(話し手のいる場所)へ向かって近づく移動を表します。
- 去(qù):基準点(話し手のいる場所)から離れて別の場所へ向かう移動を表します。
たとえば、話し手が自宅にいる場合、相手が自宅に向かってくる移動は「近づく」動きなので来になります。逆に、話し手が相手の家や別の場所に向かう移動は「離れる」動きなので去になります。
- 你来我家吧。(Nǐ lái wǒ jiā ba. / 私の家に来てください。)
※話し手自身のいる場所へ近づくため来を使用します。 - 我去你家。(Wǒ qù nǐ jiā. / あなたの家に行きます。)
※話し手の現在地から離れた相手の場所へ向かうため去を使用します。
第三者の移動を述べる場合も、話し手がいる場所を基準にして判断します。話し手と同じ会社に同僚が足を踏み入れるなら他来了(Tā lái le. / 彼が来ました)となり、外の取引先へ出向くなら他去了(Tā qù le. / 彼は行きました)と表現します。
来(lái)
- 基準点へ向かって近づく移動
- 物理的・心理的距離が縮まる
- 例:你来我家吧(家に来て)
- 例:他来了(彼が来ました)
去(qù)
- 基準点から離れる移動
- 別の場所へ向かい距離が遠ざかる
- 例:我去你家(あなたの家に行く)
- 例:他去了(彼は行きました)
話し手のいる基準点へ近づくか、離れていくかで使い分けます。
来と去を使う3大構文ルール
中国語の来と去は、文法的に大きく分けて3つの構文で使われます。配置される場所によって果たす役割が変わるため、構造を理解しておくと会話や読解がスムーズになります。
1. 単独で述語になる「本動詞」
最も基本的な用法で、「来/去 + 場所」の語順で目的地を示します。中国語では前置詞を介さずに、動詞の直後に直接場所を置くことができます。
- 他明天来北京。(Tā míngtiān lái Běijīng. / 彼は明日北京に来ます。)
- 我们下周去上海。(Wǒmen xiàzhōu qù Shànghǎi. / 私たちは来週上海に行きます。)
2. 目的を表す「連動文」
「来/去 + 動詞」の語順で、「〜しに来る」「〜しに行く」という動作の目的を表します。2つの動作が連続して行われる文パターンです。
3. 動作の方向を添える「単純方向補語」
「動詞 + 来/去」の語順で、先行する動詞の動作が話し手に向かって行われるのか、離れて行われるのかという空間的な方向を補足します。
- 请进来。(Qǐng jìnlái. / どうぞ入ってきてください。※話し手は部屋の中にいる)
- 请进去。(Qǐng jìnqù. / どうぞ入っていってください。※話し手は部屋の外にいる)
- 带去(dàiqù / 持っていく)/带来(dàilái / 持ってくる)
本動詞
- 語順:来/去+場所
- 他明天来北京
- 我们下周去上海
連動文
- 語順:来/去+動詞
- 動作の目的を表す
- 我来买咖啡
- 他去图书馆看书
単純方向補語
- 語順:動詞+来/去
- 動作の方向を添える
- 请进来 / 请进去
- 带来 / 带去
単独の述語、目的を表す連動文、方向を補う補語の3通りがあります。
次の疑問来と去を動詞の後ろに置く表現をさらに深めたいときは、中国語の方向補語の使い方で派生形や用法を確認できます。
方向補語の語順ルールと早見表
方向補語「動詞 + 来/去」に目的語が加わるとき、語順の配置に明確な文法規則があります。配置を誤ると不自然な中国語になるため、目的語が「場所」か「一般の事物」かで見極める必要があります。
目的語の種類による語順の決まり
1. 場所名詞の場合
目的語が「教室」「家」「日本」などの場所を表す名詞の場合、必ず来や去の前に配置します。語順は「動詞 + 場所 + 来/去」に固定されます。
- 正しい例:进教室去(jìn jiàoshì qù / 教室に入っていく)
- 誤った例:× 进去教室
- 正しい例:回家来(huí jiā lái / 家に帰ってくる)
- 誤った例:× 回来家
2. 一般事物名詞の場合
目的語が「本」「書類」「リンゴ」などの物品を表す名詞の場合、来や去の前でも後ろでも置くことができます。
- 带一本书来。(Dài yì běn shū lái. / 本を1冊持ってくる。)
- 带来一本书。(Dàilái yì běn shū. / 本を1冊持ってくる。)
| 目的語の種類 | 語順の公式 | 例文 |
|---|---|---|
| 場所名詞(学校、家など) | 動詞 + 場所 + 来/去(固定) | 回学校去(学校に戻っていく) |
| 事物名詞(動作未完了) | 動詞 + 事物 + 来/去 | 带雨伞来(傘を持ってくる) |
| 事物名詞(動作完了など) | 動詞 + 来/去 + 事物 | 带来了一把雨伞(傘を1本持ってきた) |
「今そっちに行くよ」の日中ギャップ
日本語と中国語で視点の置き方が大きく食い違う代表例が、電話やメッセージで「今からそちらに向かう」と伝える場面です。
電話で「今行くよ」と言う場合の表現
日本語では自分の現在地を基準にして「今から行くよ」と言いますが、中国語では会話相手の視点(目的地)に立って表現するのが自然です。相手から見れば自分が「近づいてくる」ことになるため、来(lái)を使います。
- 自然な表現:我这就来!(Wǒ zhè jiù lái! / 今すぐそっちに行くよ!)
- 自然な表現:我马上来。(Wǒ mǎshàng lái. / すぐ行くね。)
この感覚は英語の「I'm coming.」と全く同じ構造です。もしここで我这就去(Wǒ zhè jiù qù)と言うと、「話し手の現在地から離れて、あなたとは別の第三の場所へ出かける」というニュアンスに聞こえてしまう恐れがあります。
相手の家に訪問する場合の対話例
待ち合わせや訪問の約束をしている場面では、視点の基準を相手に置くか自分に置くかで動詞が変わります。
- A:你什么时候来?(Nǐ shénme shíhou lái? / いつ来るの?)
- B:我半小时后到,马上就来!(Wǒ bàn xiǎoshí hòu dào, mǎshàng jiù lái! / 30分後に着くよ、すぐそっちに行く!)
ただし、相手がいない中立的な場所(駅やカフェなど)にお互いが向かう場合は、お互いの現在地から離れる動作になるため、我现在去车站(Wǒ xiànzài qù chēzhàn. / 今駅に向かっているよ)のように去を用います。
日本語の発想
- 自分の現在地が基準
- 「今から行くよ」と表現
- 自分から離れる動作と捉える
中国語の発想
- 相手のいる目的地が基準
- 我这就来!/ 我马上来。
- 相手に近づくため「来」を使う
- 英語の I'm coming と同構造
中国語では会話相手の視点に立つため「来」を使います。

去・走・回・到的使い分け比較マトリクス
中国語には去以外にも移動を表す動詞が複数あります。特に走(zǒu)、回(huí)、到(dào)は混同しやすいため、それぞれの焦点の違いを押さえておきましょう。
移動動詞のニュアンスの違い
- 去(qù):目的地に向かうことに焦点があります。目的地の提示が前提となります。
- 走(zǒu):今いる場所を「離れる・立ち去る」こと、あるいは「歩く」手段そのものに焦点があります。通常、直後に目的地を直接置くことはできません(× 走学校 とは言えません)。
- 回(huí):もともと所属していた場所や出発地へ「戻る」ことを表します。
- 到(dào):移動の結果として目的地に「到達する・着く」ことに焦点があります。
表は横にスクロールできます →
| 動詞 | 動作の焦点 | 目的語の取り方 | 代表的な例文 |
|---|---|---|---|
| 去(qù) | 目的地への移動 | 直接場所を置く | 我去公司。(会社に行きます。) |
| 走(zǒu) | その場を離れる・歩く | 直接場所は置けない | 时间不早了,我该走了。(もう遅いので失礼します。) |
| 回(huí) | 元の場所へ戻る | 元の場所を置く | 他回家了。(彼は家に帰りました。) |
| 到(dào) | 目的地への到達 | 目的地を置く | 火车到站了。(列車が駅に到着しました。) |
「戻る」を意味する回に来と去を組み合わせると、さらに明確な方向を示せます。
- 回来(huílái):話し手側の元いた場所へ「戻ってくる」。話し手自身が自宅や自社にいる状態で使います。
- 回去(huíqù):話し手から離れた元いた場所へ「戻っていく」。相手に対して「自分の国・家にお帰りなさい」と言うときは你回去吧(Nǐ huíqù ba)となります。
次の疑問移動の目的地に「行く」と言うときの動詞選びで迷ったら、中国語「上」と「去」の意味と使い分けも参考になります。
移動以外の日常会話で使われる来と去
来と去は、空間的な移動だけでなく、比喩的・慣用的な表現として日常会話で頻出します。ネイティブスピーカーが会話で多用する用法を紹介します。
1. 自発的に動作を引き受ける「我来〜」
「私がやります」「私にお任せください」と進んで行動を起こす際、動詞の前に来を置きます。
- 我来做吧。(Wǒ lái zuò ba. / 私がやりましょう。)
- 我来介绍一下。(Wǒ lái jièshào yíxià. / 私からご紹介します。)
- 买单的事情,我来!(Mǎidān de shìqing, wǒ lái! / お会計は私が持ちます!)
2. 相手に行動を促す「去〜」
相手に対して「〜しておいで」「〜しに行ってきなさい」と行動を促す際に、動詞の前に去を添えます。
3. 動作の反復を表す「動詞 + 来 + 動詞 + 去」
同じ単音節動詞を挟んで「〜来〜去」の形を作ると、「行ったり来たりする」「繰り返し何度も〜する」という試行錯誤や迷いの状態を表します。
- 想来想去(xiǎng lái xiǎng qù / あれこれ考えを巡らせる)
- 走来走去(zǒu lái zǒu qù / うろうろと歩き回る)
- 飞来飞去(fēi lái fēi qù / あちこち飛び回る)
- 看来看去(kàn lái kàn qù / あれこれ見比べる)
例文:我想来想去,还是决定去留学。(Wǒ xiǎng lái xiǎng qù, háishi juédìng qù liúxué. / あれこれ散々考えましたが、やはり留学することに決めました。)
動詞の前に「来」を置く(我来做吧など)。
動詞の前に「去」を置く(快去洗手など)。
「〜来〜去」で試行錯誤を表す(想来想去など)。
空間移動だけでなく自発的行動や反復動作の表現にも使われます。
旅行や交流でそのまま役立つ表現を知りたいときは、中国語の日常会話フレーズを参考にしてください。
理解度チェックと実践フレーズ集
学んだ知識を確認するための簡単なクイズと、旅行やビジネスですぐに使える厳選フレーズです。
理解度チェッククイズ
問1:オフィスにいる同僚に対して「外でお昼ご飯を食べてくるね」と言う場合、空欄に入るのはどちらでしょう?
「我出去吃午饭,马上( )。」
正解:回来(huílái)。話し手は元の場所(同僚のいるオフィス)に戻ってくるため、近づく方向の来を使います。
問2:「先生が教室に入っていった」を正しく表現したものはどちらでしょう?
A: 老师进教室去。 / B: 老师进去教室。
正解:A。場所目的語(教室)は、方向補語去の直前に置く決まりです。
丸暗記で使える日常ショートフレーズ
| 中国語フレーズ | ピンイン | 日本語訳 |
|---|---|---|
| 欢迎光临,请进! | Huānyíng guānglín, qǐng jìn! | いらっしゃいませ、お入りください! |
| 我这就来。 | Wǒ zhè jiù lái. | 今そっちに行きます。 |
| 我们走吧。 | Wǒmen zǒu ba. | さあ、行こう(ここを出発しよう)。 |
| 你什么时候回来? | Nǐ shénme shíhou huílái? | いつ(こっちに)戻ってくるの? |
| 请把菜单拿来。 | Qǐng bǎ càidān nálai. | メニューを持ってきてください。 |
| 你去休息一下吧。 | Nǐ qù xiūxi yíxià ba. | 少し休んできてください。 |
理解度チェック
Q1. 電話等で相手に「今すぐそっちに行くよ」と伝える表現は?
- 我这就来!
- 我这就去!
- 我这就走!
- 我这就到!
答えを見る
正解: A. 我这就来!
会話相手の視点に立つと相手に近づく動きになるため、「来」を用いて表現します。
Q2. 方向補語で目的語が場所名詞の場合、正しい語順ルールは?
- 動詞+場所+来/去
- 動詞+来/去+場所
- 場所+動詞+来/去
- 来/去+動詞+場所
答えを見る
正解: A. 動詞+場所+来/去
目的語が「教室」などの場所名詞の場合、必ず来や去の前に置く決まりがあります。
Q3. 移動動詞「走」の特徴として、本文の説明に合うものは?
- 目的地の提示が前提となる
- 直後に目的地を直接置けない
- 元の場所へ戻ることを表す
- 目的地への到達に焦点がある
答えを見る
正解: B. 直後に目的地を直接置けない
走はその場を離れることや歩く手段に焦点があり、直後に目的地を直接置けません。
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よくある質問
- Q. 「来」と「去」は日本語の「来る」「行く」と全く同じですか?
- 基本は同じですが、話し相手がいる場所へ向かう場面で異なります。日本語では「今そっちに行くよ」と言いますが、中国語では相手目線に立って「我这就来(直訳:今そっちへ来る)」と表現します。
- Q. 「去」と「走」の使い分けのポイントは何ですか?
- 「去」は目的地に向かう動作を表し直後に場所名詞を置けます。「走」はその場を離れる動作や歩行手段に焦点があり、「走+場所」の形で目的地を直接続けることはできません。
- Q. 方向補語の「来/去」の前に場所を置くのはなぜですか?
- 中国語文法の規則で、場所を表す目的語は方向補語「来/去」の後ろに置くことができず、必ず動詞と補語の間に挟む「動詞+場所+来/去」の形をとるためです。
- Q. 「我来」はどういう場面で使いますか?
- 移動だけでなく、「私がやります」「私にお任せください」と自発的に仕事や作業を引き受ける場面で日常的によく使われます。例として「我来做(私がやります)」などがあります。
- Q. 「想来想去」の「来」と「去」はどういう意味ですか?
- 「動詞+来+動詞+去」の慣用構文で、同じ動作を行ったり来たりして繰り返す様子を表します。「想来想去」は「あれこれ繰り返し考えを巡らせる」という意味になります。
2026年10月8日更新・モチタン辞典編集部