モチタン辞典 › 読みもの › 英語の言い方 › 「経験させる」の英語表現

「経験させる」の英語表現と使い分け
英語のexperienceは「経験する」という意味の動詞であり、単体で「経験させる」という使役の意味は持っていません。そのため「経験させる」と伝えたいときは、let [人] experienceやgive [人] a chance to experience、あるいはexpose [人] to 〜のように、使役動詞や「機会を与える」構文を用いて表現するのが正解です。
「経験させる」の英語の基本ルール
日本語の「経験させる」を英語に直そうとするとき、まず知っておくべき文法上の大原則があります。それは、動詞のexperienceそのものには「(人に)〜を経験させる」という使役の語義が存在しないという点です。
辞書を引くとexperienceは他動詞として掲載されていますが、その意味はあくまで「SがOを経験する」です。主語自身が体験・経験の主体となります。
したがって、「私が子どもに海外生活を経験させる」と言いたいときに、I experience my child living abroad.のような英文を作ることは文法的に誤りです。
英語で「誰かに何かを経験させる」と表現したい場合は、以下のいずれかのアプローチを取る必要があります。
- 使役動詞を使って「[主語] + 使役動詞 + [人] + experience + [目的語]」の形にする
- 「経験する機会を与える」と言い換えて「give [人] a chance / an opportunity to experience 〜」とする
- 「〜に触れさせる・体験させる」を意味する専用の動詞「expose [人] to 〜」を用いる
- 「仕事を割り当てる・任せる」などの具体的動作を表す動詞に言い換える
日本語では「〜させる」と動詞の語尾を変えるだけで使役を作れますが、英語では文全体の構造を組み立て直す発想が求められます。
使役動詞の利用
- 使役動詞+人+experience
機会の提供
- give 人 a chance to 〜
- give 人 an opportunity
環境への接触
- expose 人 to 〜
具体的動作への置換
- 仕事を割り当てる・任せる
experience単体に使役の意味はないため、4つの言い換えアプローチを活用します。
「経験させたい」の基本英語フレーズ
日常会話や教育の現場で最も頻出するのが「〜を経験させたい」という願望の表現です。基本となるのはwant [人] to experience 〜という第5文型(S+V+O+to不定詞)のパターンです。
want [人] to experience
「人に〜を経験させてもらいたい」「人に〜を経験してほしい」というストレートで自然な表現です。
- I want my children to experience different cultures.
(私は子どもたちに多様な文化を経験させたい。) - We want our new employees to experience working on-site.
(私たちは新入社員に現場での仕事を経験させたいと考えています。)
would like [人] to experience / would love for [人] to experience
wantよりも丁寧で上品な響きを持つのがwould like [人] to experienceです。さらに強い前向きな願いや愛情を込めて「ぜひ経験させたい」と話すときは、would love for [人] to experienceがよく好まれます。
- I would like our students to experience volunteering abroad.
(生徒たちには海外ボランティアを経験させたいと思います。) - I would love for my daughter to experience living in a homestay.
(娘にはぜひホームステイを経験させたいと心から思っています。)
「経験させたい」と英語で言いたいときは、使役動詞にこだわらずwant [人] to experienceやwould love for [人] to experienceを使うのが最も誤解が少なく自然な表現になります。
I want my children to experience different cultures.私は子どもたちに多様な文化を経験させたい。
S+V+O+to不定詞のパターンを使い、願望のニュアンスに合わせて動詞を選びます。
会話全体の表現力を広げたいときは、英会話の総合ガイドを参考にしてください。
次の疑問子どもや部下に何か新しい体験をさせたいときは、「初めての経験」を表す英語表現も合わせて知っておくと会話が弾みます。
ニュアンス別「経験させる」の使い分け
「経験させる」を表す主要な英語表現の違いを整理します。相手に自由を与えるのか、機会を提供するのか、あるいは苦難を経験させるのかによって選ぶべき動詞が大きく異なります。
| 英語表現 | 主なニュアンス | 使われる場面 |
|---|---|---|
| let [人] experience | 本人の自主性を尊重して経験させる(許可・容認) | 子育て・教育・部下の自主研修 |
| give [人] a chance to experience | 経験する好機・チャンスを与える | 進路支援・キャリアアップ・海外派遣 |
| expose [人] to 〜 | 新しい環境や文化に触れさせる・体験させる | 語学教育・芸術鑑賞・異文化体験 |
| have [人] experience | 指示・段取りとして経験させる(客観的) | 業務研修・カリキュラム・実習 |
| put [人] through 〜 | 辛い試練や苦労をあえて・理不尽に経験させる | 苦難・厳しい訓練・苦労話 |
1. let [人] experience:本人の意思を尊重して経験させる
使役動詞letは「本人がやりたいことを許可する」「やりたいようにやらせてあげる」というニュアンスを含みます。子どもの自発的な挑戦を見守る文脈などに最適です。
- Parents should let their kids experience failure sometimes.
(親は時に、子どもに失敗を経験させるべきだ。)
2. give [人] a chance / an opportunity to experience:機会を与える
ネイティブスピーカーが会話や文章で最も多用するのがこの「機会を与える」という表現です。「〜させる」という上からの強制感がなく、相手へのポジティブな贈り物として響きます。
- The school gives students an opportunity to experience cutting-edge science.
(その学校は生徒に最先端の科学を経験する機会を提供している。)
3. expose [人] to 〜:触れさせる・視野を広げる
exposeは本来「さらす」という意味ですが、教育や文化の分野では「良い刺激や新しい世界に触れさせる・体験させる」という肯定的な意味で広く使われます。
- It is important to expose young children to good books and music.
(幼い子どもたちに優れた書籍や音楽を経験させる[触れさせる]ことは大切です。)
4. make [人] experience はなぜ不自然か
使役動詞makeには「本人の意思に反して強制的にやらせる」という強い圧力が伴います。そのためmake him experienceと言うと、「嫌がっているのに無理やり体験を強いった」というネガティブで暴力的な響きになりやすく、日常の「経験させる」としては不適切になるケースがほとんどです。
苦難を味わわせる文脈でも、後述のput [人] throughを使うほうが自然です。
英語の言い方は、話して覚えよう。会話アプリ「モチスピ」英語を話して練習できる会話アプリ。話すたびに、発音・文法・自然さをその場で直してもらえます。無料で試す
場面別の例文:子育て・ビジネス・試練
実際の利用シーンに応じた完成例文を紹介します。文脈に応じて適切な構文を選べるようにしましょう。
1. 子育て・教育:豊かな体験をさせたいとき
子育ての文脈では、「子どもにいろいろなことを経験させたい」というフレーズが代表的です。a variety of experiences(多様な経験)という名詞句を組み合わせると表現の幅が広がります。
- We want to give our children a wide variety of experiences.
(私たちは子どもたちに多種多様な経験をさせてあげたい。) - She tries to expose her kids to different languages from an early age.
(彼女は幼い頃から子どもたちにさまざまな言語を経験させる[触れさせる]ようにしている。) - We let him experience outdoor activities to build confidence.
(自信をつけさせるため、私たちは彼に野外活動を経験させた。)
2. ビジネス・研修:部下に業務を経験させるとき
職場で部下や後輩に実務を「経験させる」場合、英語ではassign(業務を割り当てる)やgive exposure to(〜に触れる機会を与える)などの動詞を活用すると、ビジネスとして引き締まった表現になります。
- We plan to have our junior staff experience client negotiations.
(私たちは若手社員にクライアントとの交渉を経験させる予定です。) - The manager assigned him to the new project to give him management experience.
(マネージャーは彼にマネジメントを経験させるため、新規プロジェクトへアサインした。) - This role will give you great exposure to global marketing.
(この職務は、グローバルマーケティングを経験する絶好の機会になります。)
3. 試練・トラブル:苦労や辛い思いを「経験させる」とき
ネガティブな苦労や悲しみ、過酷な試練を「経験させる」「味わわせる」場合には、句動詞put [人] through 〜を使います。
- I am sorry for putting you through such a difficult time.
(あなたにそんな辛い思い[経験]をさせてしまって本当に申し訳ない。) - The harsh training put the athletes through severe physical challenges.
(過酷なトレーニングは、選手たちに厳しい肉体的試練を経験させた。)

仕事で使えるフレーズをもっと確認したいときは、ビジネスの例文集が役立ちます。
次の疑問家庭での声かけをもっと自然にしたいなら、日常の子育てで使える英語フレーズ集も参考になります。
「経験する」の類義語と使役の関連表現
「経験させる」を正しく使い分けるためには、その土台となる「経験する」側の類義語のニュアンスも理解しておく必要があります。
go through(困難・プロセスを経験する)
go throughは困難な状況や特定の段階を「通り抜ける・くぐり抜ける」という意味で使われます。これを「経験させる」形に変換したものが前述のput [人] throughです。
[人] goes through [困難](人が困難をくぐり抜ける)という状況を、第三者が外から引き起こすため[主語] puts [人] through [困難]という形になります。
- He is going through a tough divorce.
(彼は辛い離婚を経験している最中だ。) - I would never want to put anyone through that kind of pain.
(あのような苦痛を誰にも経験させたくない。)
undergo(変化・検査・試練などを受ける・経験する)
undergoはフォーマルな動詞で、大規模な変化、試練、手術、調査などを「受ける」「経験する」という意味です。使役にする場合は、subject [人] to 〜(人に試練や過酷な処置を受けさせる・経験させる)という硬い表現に対応することがあります。
- The system underwent major modifications last year.
(そのシステムは昨年、大幅な改修を経験した[受けた]。) - The prisoners were subjected to extreme conditions.
(捕虜たちは過酷な状況を経験させられた[さらされた]。)
派生表現:体験レッスン・未経験の英語
「体験」「経験」に関連して日常や職場でよく使われる派生表現も押さえておきましょう。
- trial lesson / trial class(体験レッスン)
※英語では「試行」を意味するtrialを用いるのが自然です。experience lessonとは言いません。 - hands-on experience(実践的な体験・実地経験)
- no experience required / inexperienced(未経験者歓迎・未経験の)
- valuable experience(貴重な経験)
本人が「経験する」
- go through(困難を通り抜ける)
- undergo(変化・検査・試練を受ける)
第三者が「経験させる」
- put [人] through(試練をくぐり抜けさせる)
- subject [人] to 〜(過酷な状況を受けさせる)
主語自身が経験する自動詞・他動詞表現と、それに対応する使役表現の対比です。
次の疑問厳しい試練を乗り越えさせる文脈について深掘りしたいときは、「辛い経験・大変な経験」の英語表現が役立ちます。
続けて読む
理解度チェック
Q1. 動詞 experience の文法上の大原則として正しいものは?
- 単独で「人に〜を経験させる」という使役の意味を持つ
- 「SがOを経験する」という意味で主語自身が体験の主体
- 後ろに「人+動詞の原形」を続けて使役文を作れる
- 受動態にすることで「人に経験させる」という意味になる
答えを見る
正解: B. 「SがOを経験する」という意味で主語自身が体験の主体
experience には使役の意味はなく、主語自身が経験の主体となる「SがOを経験する」という意味の他動詞です。
Q2. 「子どもたちに多様な文化を経験させたい」の英文として適切なものは?
- I experience my children different cultures.
- I want my children to experience different cultures.
- I want to experience my children different cultures.
- I make different cultures experience my children.
答えを見る
正解: B. I want my children to experience different cultures.
「人に〜を経験させたい」は want [人] to experience 〜 の形で自然に表現できます。
Q3. 辛い試練や苦労をあえて経験させる場合の英語表現はどれ?
答えを見る
正解: B. put [人] through 〜
put [人] through 〜 は、苦難や辛い試練などをあえて・理不尽に経験させる際に使われます。
よくある質問
- Q. experienceに「経験させる」の意味はありますか?
- 動詞experienceには「経験する」の意味しかなく、「経験させる」という意味はありません。使役動詞を用いてlet [人] experienceとしたり、give [人] a chance to experienceのように表現する必要があります。
- Q. make [人] experienceはなぜ使わないのですか?
- makeは相手の意向を無視して無理やり強要するニュアンスを持ちます。体験や経験は本人の内面的なプロセスであるため、「強制的に心で味わわせる」という不自然で威圧的な表現になってしまうからです。
- Q. 「子どもに色々な経験をさせたい」は英語で何と言いますか?
- I want to give my children a variety of experiences. や I want my kids to experience many different things. が自然で定番の言い方です。
- Q. 「辛い思いをさせる」を英語で言うには?
- put [人] through a hard time や put [人] through a painful experience などのイディオムを使います。相手に困難をくぐり抜けさせるというニュアンスになります。
- Q. 「部下に仕事を経験させる」を自然に英語にするには?
- have [部下] experience the work や assign [部下] to the task to give them practical experience、あるいは give them exposure to the work などの表現がビジネスでよく使われます。
2026年9月26日更新・モチタン辞典編集部
experience
put through
go through
undergo