モチタン辞典 › モチタン英文法辞典 › 形式主語・形式目的語 it の使い方

形式主語・形式目的語 it の使い方と見分け方
形式主語・形式目的語の it は、長くなりやすい主語や目的語の代わりに文頭や動詞の直後に置く「仮の置き物」です。英語には「重要な情報や長い要素を文の後ろに置く」という情報構造の原則(エンド・ウェイト)があるため、不定詞や that 節を後ろに回して文全体のバランスを整えます。
形と役割さえ押さえれば、長文読解でも英作文でも迷わず使いこなせます。
- 長くなりやすい主語や目的語の代わりに置く意味のない仮の置き物です
- 本当の内容である不定詞やthat節は文の後ろに配置します
- 意味上の主語は通常forですが人の性質を表す形容詞ではofにします
先に読むと分かりやすい: 代名詞の一覧と使い方代名詞itとthatの違いと使い分け
形式主語・形式目的語 it の使い方とは(結論)
形式主語・形式目的語の it /ɪt/ 自体には具体的な意味がありません。文の構造を安定させるためのダミーとして機能し、本当の意味上の主語(真主語)や目的語(真目的語)は文末に置かれます。
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| 構文の種類 | 基本パターン | 真主語・真目的語の内容 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 形式主語(to 不定詞) | It is + 形容詞 + to do | 〜すること | It is possible to finish this by tomorrow.(これを明日までに終わらせることは可能です) |
| 形式主語(that 節) | It is + 形容詞 + that 節 | 〜ということ | It is important that you submit it today.(今日提出することが重要です) |
| 形式目的語 | 主語 + 動詞 + it + 補語 + to do / that 節 | 〜すること / 〜ということ | I find it important to exercise every day.(私は毎日運動することが重要だと感じています) |
頭が重い文を嫌う英語の性質により、主語や目的語が長い句や節になる場合は、この it を置いてすっきりとさせます。
形式主語・形式目的語の it
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形式主語の基本形:to 不定詞と that 節
形式主語構文の代表例は、It is + 形容詞 + to do、または It is + 形容詞 + that 節の形です。文頭に形式主語の it を置き、話し手の判断や感情を表す形容詞を続けたあとで、具体的な内容を後ろから付け足します。
たとえば「嘘をつくのは間違っている」と言いたいとき、To lie is wrong. と言うことも文法上は可能ですが、実際の英語では頭を軽くするために It is wrong to lie. と表現するのが自然です。
同様に It is possible to finish this by tomorrow. /ɪt ɪz ˈpɑːsəbl tuː ˈfɪnɪʃ ðɪs baɪ təˈmɔːroʊ/(これを明日までに終わらせることは可能です)のように、実現可能性を述べる際にも頻出します。
真主語に主語と動詞を含む完全な文を置きたい場合は that 節を使います。It is important that you keep up your routine.(ルーティンを続けることが重要です)のように、具体的な事実や指示を相手に伝える場面で重宝します。
意味上の主語:for A と of A の使い分け
It is + 形容詞 + to do の形において、「誰がその動作をするのか」を明示したいときは、不定詞の前に意味上の主語を補います。基本は for A to do ですが、人の性質を表す形容詞が来る場合は of A to do に変化します。
1. 一般的な判断を表す場合:for A
難易・可否・重要性などを表す一般的な形容詞(difficult, easy, necessary など)では for を使います。It is difficult for me to get up early.(私が早起きするのは難しい)や、It is easier for me to cook dinner than for you to order takeout.(私が夕飯を作る方があなたが出前を頼むより簡単だ)のように表します。
2. 人の性質・性格を表す場合:of A
人の人格や行為に対する評価を表す形容詞(kind, nice, careless, selfish など)が来る場合は、for ではなく of を置きます。
It is selfish to take all the credit for the project.(プロジェクトの功績をすべて独り占めにするなんて利己的だ)という文に人を明示するなら、It is selfish of him to take all the credit... となります。
「その人の性質の一部分」を切り取って評価するため、所属や起点を表す of を使います。
for A(一般的な判断)
- 難易・可否・重要性を表す形容詞
- difficult, easy, necessary など
- 例: It is difficult for me to get up early.
of A(人の性質・性格)
- 人格や行為に対する評価の形容詞
- kind, nice, careless, selfish など
- 例: It is selfish of him to take all the credit...
直前の形容詞が一般的な判断か人の性質かによって使い分けます。
形式目的語 it の使い方:第5文型 SVOC の変形
主語だけでなく目的語が長くなる場合にも it を代用します。第5文型(S+V+O+C)において、目的語 O の位置に to 不定詞 や that 節 を直接置くことは文法的に原則できません。そのため、仮の目的語として it を置き、本当の目的語を補語 C の後ろへ配置します。
形式目的語をよく伴う動詞には find, make, think, consider などがあります。
- I find it important to exercise every day.(私は毎日運動することが重要だと実感している)
- Do you find it hard to adapt to change?(変化に適応するのは難しいと感じますか?)
- Asking for directions will make it easy to get there.(道を尋ねればそこへ行くのが簡単になるだろう)
that 節を真目的語にする例としては、He made it clear that he would resign.(彼は辞任することを明確にした)のように、方針や意思をはっきり伝える表現としてビジネス英語でも頻繁に使われます。
I find it important to exercise every day.私は毎日運動することが重要だと実感している
第5文型のOの位置にitを置き、真目的語は後ろに回します。
強調構文と形式主語構文を見分けるポイント
形式主語構文と間違いやすいのが、同じく It is ... that の形を取る「強調構文」です。この2つは文の構造を取り除くテストを行うことで明確に見分けられます。
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| 構文 | It is と that を取り除いた場合 | that の後ろの文構造 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 形式主語構文 | 文が成立しない(バラバラになる) | 完全な文(主語・目的語が揃っている) | It is important that you submit it today. → Important you submit it today.(不成立) |
| 強調構文 | 残った語句で完全な文が成立する | 不完全な文(名詞強調時)、または完全な文(副詞強調時) | It was Ken that broke the window. → Ken broke the window.(成立) |
It is と that を指で隠してみて、残りの単語を並べ替えて意味の通る1つの文になれば強調構文、形容詞などが宙に浮いて文が崩壊するなら形式主語構文です。また、It is の直後に形容詞がある場合、その形容詞が真主語を説明していれば形式主語構文と判断できます。
天候・時間・距離を表す「状況の it」との違い
英語の it には形式主語のほかに、天候・時間・距離・明暗・気温などを表す「状況の it(非人称の it)」があります。混同しやすいため、真主語の有無に注目して区別してください。
- 天候・時間: It is raining now.(いま雨が降っています)/ It is seven o'clock.(7時です)
- 形式主語: It is necessary to submit the report by Friday.(金曜日までに報告書を提出する必要がある)
形式主語の文には、to 不定詞 や that 節 といった「指し示す実質的な中身(真主語)」が文中に必ず存在します。一方、天候や時間の it には文末に受ける語句が存在せず、漠然としたその場の周囲の状況全体を指しています。
「後ろに中身を説明するフレーズがあるかどうか」を確認することが最も確実な見分け方です。
形式主語の it
- 後ろに実質的な中身(真主語)が存在
- to 不定詞や that 節を受ける
- 例: It is necessary to submit the report...
状況の it(非人称の it)
- 天候・時間・距離・明暗などを表す
- 文末に受ける語句が存在しない
- 例: It is raining now. / It is seven o'clock.
文末に内容を指し示す真主語があるかどうかで見分けます。
辞典の例文で見る形式主語・形式目的語 it の使い方
| 英文 | 和訳 | ポイント |
|---|---|---|
| It is possible to finish this by tomorrow. ▶ | これを明日までに終わらせることは可能です。 | It is+形容詞+to do の基本形で実現可能性を示す |
| It is easier for me to cook dinner than for you to order takeout. ▶ | 私が夕飯を作る方があなたが出前を頼むより簡単だ。 | for me と for you で動作主を対比した形式主語文 |
| I find it important to exercise every day. ▶ | 私は毎日運動することが重要だと思う。 | find it+形容詞+to do の形式目的語構文 |
| It is difficult for me to get up early. ▶ | 私が早起きするのは難しい。 | for me を補い早起きが困難な人物を特定する表現 |
| It is important that you submit it today. ▶ | うん、今日提出することが大事だよ。 | 真主語に that 節を使い具体的な内容を述べる文 |
| It is selfish to take all the credit for the project. ▶ | プロジェクトの功績をすべて自分のものにするのは自己中心的だ。 | 人の性質を表す形容詞 selfish に呼応する形式主語文 |
| Do you find it hard to adapt to change? ▶ | 変化に適応するのは難しいと感じる? | find it hard to do の疑問文形式の形式目的語構文 |
形式主語の真主語パターン:疑問詞節・whether節と動名詞
形式主語 it が受ける真主語には、to 不定詞や that 節のほかに「疑問詞節」「whether 節」「動名詞」があります。
1. 疑問詞節・whether 節が真主語になる場合
「誰が」「いつ」「〜かどうか」といった不確定な事柄を真主語にする場合、間接疑問の語順(疑問詞 / whether + 主語 + 動詞)を文末に配置します。
- It is not clear why she made that decision.(なぜ彼女がその決断を下したのかは明らかではない)
- It does not matter whether you win or lose.(あなたが勝つか負けるかは問題ではない)
2. 動名詞が真主語になる慣用表現
動名詞(-ing)が真主語として文末に置かれる形は、主に定型化された慣用表現として使われます。
- It is no use crying over spilt milk.(こぼれたミルクを嘆いても無駄だ[覆水盆に返らず])
- It is worth visiting the museum at least once.(その博物館は少なくとも一度は訪れる価値がある)
It is no use -ing(〜しても無駄だ)や It is worth -ing(〜する価値がある)は、日常会話や資格試験でも頻出する重要構文です。
形式主語構文への書き換え手順と返り読みを防ぐ読解法
形式主語構文をすばやく使いこなすには、文の変形手順を把握し、英語の語順のまま理解する習慣をつけることが大切です。
書き換えの2ステップ
- 文頭にある長い主語(名詞句や名詞節)を文末へ移動させる。
- 空いた主語の位置に仮置きの it を補う。
例えば To master a foreign language takes time.(外国語を習得するには時間がかかる)という文では、頭でっかちな印象を避けるため、主語の To master a foreign language を文末に回し、空いた頭に it を置いて It takes time to master a foreign language. と表現します。
返り読みを防ぐスラッシュリーディング
読解時に後ろの真主語から日本語に訳し上げる「返り読み」をすると、読むスピードが落ちてしまいます。意味の切れ目で区切り、結論から肉付けしていく感覚で読み進めてください。
「どんな判断・結論なのか」を文頭の It is ... で即座に把握し、その後に「誰が」「何を」するのかという具体的内容を後ろからキャッチするのが実践的な読解のコツです。
文頭の it を見分ける手順:形式主語と他の3用法
英文の先頭に it が置かれている場合、どの用法に該当するかを瞬時に切り分けることで正確に文構造を捉えられます。
| 用法 | 判定基準 | 例文 |
|---|---|---|
| 形式主語 | 文末に to 不定詞、that 節、疑問詞節などの真主語がある | It is difficult to solve this problem.(この問題を解決するのは難しい) |
| 強調構文 | It is と that を除いても残りの単語で完全な文が成立する | It was yesterday that Tom called me.(トムが私に電話をくれたのは昨日だった) |
| 状況の it | 天候・時間・距離などを表し、真主語や特定の指す名詞が存在しない | It is getting colder day by day.(日ごとに寒くなってきている) |
| 指示代名詞 | 前出の特定の単語(物・事柄)を指している(「それは」と訳せる) | I bought a new book. It was very interesting.(新しい本を買った。それはとても面白かった) |
長文読解では、まず後ろに真主語となり得る to do や that ... があるかを視野に入れ、無ければ前後の文脈から状況の it か代名詞かを絞り込むと迷いません。
このテーマのよくある疑問
確認問題(5問)
次の空欄に入る最も適切な語を選びなさい。 It is kind ( ) you to help me.
答えと解説
正解: of
kindのように人の性質や性格を表す形容詞が来る場合、意味上の主語にはforではなくofを用います。形式主語・形式目的語のitについて、本文の説明として正しいものを選びなさい。
答えと解説
正解: It is と that を取り除いて完全な文が成立するなら強調構文である
It is と that を取り除き、残った語句で完全な文が成立する場合は強調構文、成立しなければ形式主語構文です。次の文の空欄に入る最も適切な語を選びなさい。 I find ( ) important to exercise every day.
答えと解説
正解: it
第5文型で後ろのto 不定詞(真目的語)を指す形式目的語としてitを置きます。次の文のうち、文法的に誤りを含むものを1つ選びなさい。
答えと解説
正解: It is difficult of me to get up early.
difficultのような難易や一般的な判断を表す形容詞では、意味上の主語にofではなくfor meを用います。形式主語構文の「It is necessary to submit the report.」と状況のitの「It is raining now.」を見分ける基準として本文で述べられているものはどれですか。
答えと解説
正解: 文末に指し示す実質的な中身(真主語)があるかどうか
形式主語にはto不定詞などの真主語が文中に存在しますが、天候などの状況のitには文末に受ける語句がありません。
よくある質問
- Q. 形式主語の it は省略できますか?
- 原則として省略できません。英語の文には命令文などの例外を除き主語が必要であるため、真主語を後ろに送った場合は空いた主語の位置を形式主語の it で埋める必要があります。
- Q. 真主語に動名詞(-ing)は使えますか?
- It is no use crying over spilt milk などの慣用表現を除き、日常的な形式主語構文では to 不定詞や that 節を用いるのが一般的です。ただし親しい間柄の会話では動名詞が真主語として置かれることもあります。
- Q. 形式目的語構文で it を省くと間違いですか?
- 誤りになります。第5文型において不定詞や that 節を動詞の直後に直接置く語順は文法的に許されないため、必ず形式目的語 it を補語の前に挟む必要があります。
- Q. 疑問詞節が真主語になる場合、後ろの文は疑問文の語順ですか?
- いいえ、通常の平叙文の語順(〈疑問詞+主語+動詞〉)になります。間接疑問文と同じ構造であるため、例えば It is uncertain when the train will arrive.(電車がいつ到着するかは不確かだ)のように、疑問文のように助動詞や動詞を主語の前に出す倒置は行いません。
- Q. 形式主語構文で「It is 形容詞」ではなく「It is 名詞」を使うことはできますか?
- はい、可能です。It is a pity that he couldn't come.(彼が来られなかったのは残念だ)や It is an honor to work with you.(あなたとご一緒できて光栄です)のように、補語の位置に名詞を置く形も日常会話やビジネス英語で頻繁に用いられます。
2026年9月26日更新・モチタン辞典編集部
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