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知覚動詞の受動態まとめ:公式とtoが付く理由

知覚動詞の受動態まとめ:公式とtoが付く理由

知覚動詞の受動態の基本公式は「S + be動詞 + 過去分詞 + to do」です。能動態(SVOC)では原形不定詞だった補語が、受動態になると必ず「to」を伴って復活します。一方、能動態で現在分詞(-ing)だった文は、受動態でも「be seen doing」のようにtoを付けずそのまま残します。

知覚動詞の受動態の基本公式と書き換え手順

知覚動詞(see, hear, notice など)を用いた第5文型(SVOC)の文を受動態に書き換える際、最も重要なポイントは「能動態では不要だった to が受動態で復活する」という規則です。

基本公式の比較

まずは能動態と受動態の基本形を確認しましょう。

能動態から受動態へのスライド手順

能動態から受動態を作る手順は次の3ステップです。

  1. 能動態の目的語(O:him)を主語(S:He)の位置へ移動する。
  2. 知覚動詞(saw)を「be動詞 + 過去分詞」(was seen)に変える。
  3. 原形不定詞(enter)の直前に to を補い、to enter の形にしてつなげる。

文法問題で最も狙われる誤答は He was seen enter the room. のように、能動態の原形不定詞のまま残してしまうミスです。受動態では was seen enter という動詞の連続は許されず、必ず was seen to enter とする必要があります。

能動態から受動態への書き換え手順
1目的語の移動

能動態の目的語(him)を主語(He)の位置へ移動する

2動詞を受動態に

知覚動詞(saw)を「be動詞+過去分詞」(was seen)に変える

3toを補う

原形不定詞(enter)の直前にtoを補い、to enterの形にする

目的語を主語に移し、動詞を受動態にしてから原形の前にtoを補います。

受動態でtoが復活する3つの理由

能動態では「原形不定詞」を用いていたにもかかわらず、なぜ受動態になると to が必要になるのでしょうか。これには明確な3つの理由が存在します。

理由1:動詞要素の衝突を防ぐクッション役

能動態の文 I saw him enter the room. では、知覚動詞 saw と原形不定詞 enter の間に目的語 him が挟まっています。

そのため、動詞が連続することはありませんでした。
しかし受動態にすると目的語が文頭へ移動するため、was seen enter と過去分詞と原形動詞が直接隣り合ってしまいます。

英語では主たる動詞の直後に原形動詞が直接並ぶ語順を避ける傾向があるため、境界線を示す「クッション」として to を配置します。

理由2:文構造(SVOCからSVCへの変化)の明確化

能動態では him enter の間に「彼が/入る」という主語・述語の関係(ネクサス関係)が視覚的にもはっきりと成立していました。ところが受動態 He was seen ... では文全体の主語が He になり、後続の動作 enter と主語 He が離れてしまいます。

そのため、文全体の述語動詞(was seen)と、主語の状態や動作を説明する主格補語(C)を区別するために、不定詞の標識である to を補って副詞的・形容詞的なまとまりを作る必要があります。

理由3:歴史的な英語の変遷(本来あったtoの再浮上)

歴史的な英語(中英語期以前)では、知覚動詞や使役動詞の後ろにも to 不定詞が使われていました。能動態では「目撃したこと」と「相手の動作」が同一の時間・空間で起きる同時性が強いため、徐々に to が脱落して原形不定詞が定着しました。


しかし受動態になると、「目撃された」という客観的な事実の報告としてのニュアンスが強くなり、動作との密接な直接性が薄れます。その結果、本来存在していた to が消えずに現代英語でも固定化されて残っていると説明されます。

受動態でtoが復活する3つの理由
🛡️動詞の衝突防止

過去分詞と原形動詞が直接隣り合うのを防ぐクッションとしてtoを配置する。

🧩文構造の明確化

述語動詞と離れた主語を説明する補語(C)のまとまりをtoで明確にする。

📜歴史的な変遷

受動態では直接性が薄れ、本来使われていたtoが脱落せずに残っている。

動詞の衝突防止、文構造の明示、歴史的背景の3つの要因からtoが現れます。

次の疑問能動態でtoが消えて受動態で現れる仕組みをもっと掘り下げたいなら、原形不定詞の使い方と受動態で文法的な背景を整理できます。

補語(原形・ing・過去分詞)の3パターン早見対照表

知覚動詞の後ろに続く補語(C)には、「原形不定詞」「現在分詞(-ing)」「過去分詞(-ed)」の3種類があります。受動態にしたときに to を付ける必要があるのは「原形不定詞」のパターンのみです。

違いをひと目で整理できる早見表は以下の通りです。

表は横にスクロールできます →

補語のタイプ能動態の形受動態の形toの有無と意味合い
原形不定詞I saw him cross the street.He was seen to cross the street.to が必要(動作の一部始終)
現在分詞I saw him crossing the street.He was seen crossing the street.to は不要(動作の進行中・一コマ)
過去分詞I heard my name called.My name was heard called.(※受動態は稀)to は不要(受け身の関係)

現在分詞(-ing)の受動態はそのまま残す

現在分詞を用いる能動態 I saw her dancing. を受動態にする場合、She was seen dancing. となり、to は一切入りません。


なぜなら、dancing は準動詞(分詞)としてすでに動詞の原形とは異なる形をとっており、was seen の直後に原形が衝突する心配がないためです。

was seen to dancing や was seen to be dancing のような形にするのは誤りですので注意してください。

原形と現在分詞のニュアンスの違いは受動態でも継続する

能動態における「原形(動作の一部始終・完了)」と「現在分詞(動作の一場面・進行中)」の意味の違いは、受動態に書き換えた後もそのまま引き継がれます。

受動態と進行形が重なる基本ルールは、進行形の受動態の作り方で詳しく確認できます。

代表的な知覚動詞の受動態例文一覧と使用実態

知覚動詞には see, hear, notice, watch, feel などがありますが、すべての知覚動詞が同じように受動態で使われるわけではありません。

頻出する知覚動詞の受動態例文

受動態にしやすい動詞としにくい動詞の分類

受動態として自然に機能する動詞と、能動態で表現するのが一般的な動詞には明確な偏りがあります。

表は横にスクロールできます →

動詞の種類該当する動詞受動態(be + 過去分詞 + to do)の自然さ解説
受動態が極めて自然see, hear自然(ニュースや試験で頻出)外部からの客観的な証言・目撃報告として広く用いられる。
受動態が可能notice, observeやや硬い表現だが自然報道や公式な調査報告書などで用いられる傾向がある。
受動態が不自然watch, feel, smell不自然(能動態を使うのが一般的)意志的にじっと見つめる watch や、直接的な身体感覚である feel は受動態に馴染まない。

たとえば「彼がピアノを弾くのをじっと見守った」という能動態 We watched him play the piano. を、He was watched to play the piano. と受動態にするのは現代英語では不自然です。

受動態にする場合は He was seen playing the piano. や能動態のままで表現するのが実用的です。

知覚動詞の受動態の作り方のイメージ

能動態での使い分けや語順を復習したいときは、知覚動詞の使い方を参考にしてください。

知覚動詞と使役動詞の受動態ルールの比較

知覚動詞とともに入試やテストで頻出するのが「使役動詞(make, let, have)」の受動態です。両者には共通点と大きな相違点があります。

使役動詞 make との共通点

使役動詞 make は、受動態にすると知覚動詞とまったく同じく to が復活します。

使役動詞 let と have の受動態における注意点

知覚動詞と異なり、使役動詞の let や have は原則として受動態の構文(be let to do や be had to do)を作りません。

動詞能動態の基本形受動態の可否と正しい表現
see / hear(知覚)see + O + do可能:be seen to do(to が復活)
make(強制)make + O + do可能:be made to do(to が復活)
let(許可)let + O + do不可:be allowed to do で代用する
have(依頼)have + O + do不可:be asked to do や be told to do で代用する

He was let go. のような極めて限られた慣用句を除き、let の受動態を作りたい場合は allow を用いて He was allowed to enter.(彼は入室を許可された)と表現します。

知覚動詞は受動態を作れますが、使役動詞は動詞ごとに受動態のルールが分かれる点を整理しておきましょう。

次の疑問make以外のletやhaveの書き換えルールもあわせて確認したいときは、使役動詞の受動態の作り方をチェックしてみてください。

迷いをゼロにする3秒判定フローチャート

テストや入試の空所補充問題で、知覚動詞の受動態を見かけたときに即座に正解を選ぶための判定手順です。

解答を導く3ステップの手順

  1. 動詞が受動態(be + seen / heard など)になっているか確認する
    能動態なら補語に原形動詞が入りますが、受動態なら原形動詞(単独)の選択肢を即座に消去します。
  2. 選択肢が「to不定詞」か「現在分詞(-ing)」かを確認する
    動作の一部始終や単なる動作の事実を示す文脈なら to do、進行中の生き生きとした場面を示す文脈なら doing を選択します。
  3. 「to + -ing」や「原形動詞単独」を排除する
    was seen to enter は正解ですが、was seen enter や was seen to entering は文法的に誤りです。

正誤パターンのまとめ

空所補充の3秒判定ステップ
1受動態の確認

be+seenなどの受動態か確認し、原形動詞単独の選択肢を消去する

2文脈で形を選択

一部始終ならto do、進行中の場面ならdoingを選択する

3誤答パターンの排除

was seen enterやto enteringなどの文法的な誤りを取り除く

受動態の確認から始まり、原形やto+-ingなどの誤答を排除して正解を選びます。

理解度を確かめる実践確認問題と解説

学んだ知識が定着しているか、3つの形式の問題で確認してみましょう。

第1問:空所補充問題

次の英文の空所に入る最も適切なものを1つ選びなさい。
The famous singer was heard (  ) the concert hall through the back door.

  1. leave
  2. to leave
  3. to leaving
  4. left

【正解】 2. to leave
【解説】 主語が was heard と受動態になっています。知覚動詞の受動態の後ろには to不定詞 を置くのが規則であるため、2の to leave が正解です。1の原形 leave は能動態の文でのみ用いられます。

第2問:誤文訂正問題

次の英文の下線部(A)〜(D)の中で、誤っている箇所を1つ指摘し、正しい形に直しなさい。
A strange man (A) was seen (B) enter (C) the house late (D) at night.

【正解】 (B) enter → to enter(または entering)
【解説】 述語動詞が受動態 was seen になっているため、直後に原形動詞 enter を直接置くことはできません。to enter に改めるか、侵入している最中を表す entering に直す必要があります。

第3問:和文英訳問題

「その車が角を曲がるのが目撃された。」を、see を受動態にして英訳しなさい。

【正解例】 The car was seen to turn the corner.(または The car was seen turning the corner.)
【解説】 「車が目撃された」は The car was seen です。

角を曲がるという動作全体を目撃されたとするなら to turn、曲がっている最中を目撃されたとするなら turning を続けます。

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理解度チェック

Q1. 空所に最も適する語を選びなさい。He was seen ( ) the street.

  1. to cross
  2. cross
  3. to crossing
  4. to be crossed
答えを見る

正解: A. to cross
知覚動詞の受動態では原形動詞の連続を避けるため、原形不定詞の前にtoを補ってto不定詞の形にします。

Q2. 能動態の補語が現在分詞(-ing)の文を受動態にする際の説明として正しいものは?

  1. 現在分詞の前に必ずtoを補う
  2. toは一切不要で現在分詞のまま残す
  3. 原形不定詞に変えてからtoを補う
  4. 過去分詞の形に書き直す必要がある
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正解: B. toは一切不要で現在分詞のまま残す
現在分詞(-ing)は動詞の原形とは形が異なり衝突の心配がないため、受動態でもtoは不要でそのまま残します。

Q3. 本文において「受動態が不自然」と分類されている動詞の組み合わせはどれ?

  1. see, hear
  2. notice, observe
  3. watch, feel
  4. make, see
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正解: C. watch, feel
本文の分類表によると、意志的に見つめるwatchや身体感覚であるfeel、smellは受動態に馴染まず不自然とされます。

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よくある質問

Q. 知覚動詞の受動態は日常会話でも使われますか?
日常会話脈では「Someone saw him...」のように能動態を使うのが自然です。「He was seen to...」は事件や事故を伝えるニュース報道、目撃証言の報告書などの硬い場面や書き言葉で主によく用いられます。
Q. was seen to enterとwas seen enteringの違いは?
「to enter」は入るという動作の一部始終を目撃されたことを示し、「entering」は入っている最中の一瞬を目撃されたことを示します。文脈によって使い分けられますが、どちらも文法的に正しい表現です。
Q. noticeやwatchも受動態にできますか?
noticeは「be noticed to do」の受動態が可能ですが、watchやfeelを受動態にしてto不定詞を続ける文形は現代英語では不自然とされ、ほとんど使われません。受動態の中心はseeとhearです。
Q. 知覚動詞の受動態にby 〜は必要ですか?
多くの場合「by me」や「by someone」などの行為者は省略されます。受動態にする目的自体が「誰が見たか」よりも「目撃された客観的な事実」に焦点を当てることにあるためです。

2026年10月2日更新・モチタン辞典編集部