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関係代名詞の非制限用法を完全攻略
関係代名詞の非制限用法(継続用法)とは、先行詞の直後にカンマを置き、「補足情報」を付け足す用法です。カンマがない制限用法(限定用法)が対象を「どれか1つに絞り込む」働きを持つのに対し、非制限用法はすでに特定された先行詞に対して「ちなみにそれはね」と追加の説明を加えます。
この本質的な違いさえ掴めば、訳し分けや文法問題で迷うことはありません。
非制限用法とは?30秒でわかる違い
関係代名詞には「制限用法(限定用法)」と「非制限用法(継続用法・非限定用法)」の2つの用法が存在します。両者の最大の違いは、関係詞の前にカンマ(,)があるかないか、そして先行詞の情報を「絞り込んでいるか(制限)」それとも「単に補足しているか(非制限)」という点にあります。
まずは全体の要点を比較表で整理しましょう。
| 項目 | 制限用法(限定用法) | 非制限用法(継続用法) |
|---|---|---|
| カンマの有無 | なし(先行詞 + who / which) | あり(先行詞, who / which) |
| 情報の役割 | 先行詞を特定するために不可欠な情報(絞り込み) | すでに特定された先行詞への補足・追加情報(おまけ) |
| 訳し方の基本 | 後ろから前へ「…する〜」と修飾して訳す | 前から後ろへ「〜で、そして…」と流して訳す |
| 関係代名詞 that | 使用できる | 絶対に使用できない |
| 目的格の省略 | 省略できる(接触節) | 省略できない |
| 文全体の修飾 | できない(直前の名詞のみ) | whichなら節や文全体を受けられる |
日常の英会話や入試問題では、この2つの用法を取り違えると文全体の意味が大きく変わってしまう場面が多々あります。それぞれの根本的な仕組みを順番に確認していきましょう。
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制限用法と非制限用法の違いと見分け方
文法用語の「制限」という言葉が難しく感じられるかもしれませんが、意味は非常にシンプルです。「制限する」とは「対象の範囲を狭めて、どれのことか特定する(絞り込む)」ことを意味します。
「制限」と「非制限」のイメージ図解
たとえば、目の前に3台の車があるとします。そのうちの1台を指して相手に伝えたいとき、制限用法を使います。
The car which is red is mine.
(赤い車が私のものです。)
この文では、黒や青の車を候補から排除し、「赤いもの」に対象を絞り込んでいます。これが「制限用法」です。which is red という情報が欠けると、どの車のことか聞き手には判別できません。
一方、目の前に1台しか車がなく、相手もどの車のことか最初から分かっている状況を考えます。そこに情報を付け足すのが非制限用法です。
My car, which is red, is parked over there.
(私の車はあそこに止めてあります。ちなみに赤色です。)
この文の先行詞 My car はすでに1台に決まっているため、これ以上絞り込む必要がありません。, which is red, は「カッコ( )」に入れて添えられた「ちなみにね」という補足説明に過ぎず、仮にこの部分を取り除いても「私の車はあそこに止めてあります」という骨格の意味は完全に成立します。
超定番例文:娘は何人いるのか?
制限用法と非制限用法の意味の差を最も明快に示すのが、高校英語の教科書でも有名な「2人の娘」の例文です。
例文A(制限用法・カンマなし):
He has two daughters who became doctors.
(彼には医者になった娘が2人いる。)
例文B(非制限用法・カンマあり):
He has two daughters, who became doctors.
(彼には娘が2人いて、その2人とも医者になった。)
例文Aの制限用法では、「医者になった娘」という条件で絞り込みを行っています。したがって、彼には「医者になった娘」のほかに「教師になった娘」や「弁護士になった娘」など、全部で3人以上の娘がいる可能性が含まれます。
対する例文Bの非制限用法では、まず He has two daughters で「彼には娘が2人いる(娘は全部で2人だけ)」と事実を確定させています。そのうえで、カンマを挟んで「そしてその2人とも医者になった」と補足を加えています。つまり、彼の子供としての娘は確実に2人しかいません。
発音とイントネーションで見分けるコツ
リスニングやスピーキングの場面では、カンマの記号は見えません。ネイティブスピーカーは以下の2点で両者を明確に発音し分けています。
- ポーズ(短い沈黙)の有無: 非制限用法では、カンマの位置でわずかな一呼吸(ポーズ)が置かれます。制限用法では先行詞と関係代名詞が一息で滑らかに繋がります。
- イントネーションの下降: 非制限用法では、カンマの手前の語でピッチ(音の高さ)が一度軽く下がり、補足節に入ります。制限用法では先行詞の語尾で音が下がらず、修飾節の終わりまでフレーズ全体のメロディが続きます。
制限用法(カンマなし)
- 対象の範囲を狭めて特定する
- 複数候補から1つに絞り込む
- 情報が欠けると判別できない
- 例:The car which is red is mine.
非制限用法(カンマあり)
- 特定された先行詞へ情報を補足
- 1台に決まっており絞り込み不要
- 取り除いても骨格の意味は成立
- 例:My car, which is red, is parked over there.
絞り込みを行う制限用法と、補足情報を添える非制限用法の違いです。
非制限用法の4大文法ルールと禁止事項
非制限用法を正確に運用するために、必ず覚えておくべき4つの文法規則があります。これらは定期試験や大学入試、各種検定試験の正誤問題でも極めて狙われやすいポイントです。
ルール1: 関係代名詞 that は絶対に使えない
関係代名詞 that は、直前の先行詞を強く指し示して内容を絞り込む性質(指示詞的なニュアンス)を持っています。そのため、単なる補足情報を添える非制限用法では使用できません。
誤り: I met Ken, that gave me this book.
正しい: I met Ken, who gave me this book.
(私はケンに会ったが、彼が私にこの本をくれた。)
カンマの直後に関係代名詞の that が置かれていたら、その時点で文法エラーと判断できます(同格の that 節や副詞節を導く that など特殊構文を除く)。必ず who, whom, whose, which を選んでください。
ルール2: 目的格であっても省略できない
制限用法では、目的格の関係代名詞を省略して接触節にすることができました。
制限用法: The book (which) I bought yesterday was exciting.
(私が昨日買った本は面白かった。)
しかし、非制限用法では目的格であっても関係代名詞を絶対に省略できません。
誤り: This is Kyoto, I visited ten years ago.
正しい: This is Kyoto, which I visited ten years ago.
(ここは京都ですが、10年前に訪れたことがあります。)
もし非制限用法で目的格を省略してしまうと、カンマだけで2つの完全な節(主文と従属節)が接続詞なしに繋がってしまい、英語の文法上重大な誤り(カンマ・スプライス)となるためです。
ルール3: which は直前の「句・節・文全体」を先行詞にできる
制限用法の関係代名詞は原則として「直前の名詞1語」しか修飾できません。しかし、非制限用法の which だけは、直前の名詞だけでなく「直前の形容詞」「動詞句」「前文の節全体」、さらには「前文全体」を先行詞として丸ごと受ける特別な機能を持っています。
He said he was rich, which was not true.
(彼は金持ちだと言ったが、それは真実ではなかった。)
この which が指しているのは rich という単語単体ではなく、he was rich(彼が金持ちであること)という内容全体です。この用法は現代英語の論説文やニュース記事で極めて高い頻度で登場します。
ルール4: 固有名詞や唯一無二の存在には非制限用法を使う
先行詞が人名、地名、あるいは my mother や the sun のように、文脈上すでに1つ(1人)に特定されている名詞である場合、原則として制限用法は使えず、非制限用法を使わなければなりません。
不自然: My mother who lives in Osaka is an English teacher.
自然: My mother, who lives in Osaka, is an English teacher.
(大阪に住んでいる私の母は、英語の教師です。)
もしカンマを付けずに制限用法にしてしまうと、「大阪に住んでいるほうの母(ほかにも別の場所に別の母親がいる)」という奇妙な含みが生じてしまいます。母親は通常1人しか存在しないため、絞り込む必要がなく、カンマを置いた非制限用法が文法的に正しくなります。
カンマの直後に関係代名詞 that は絶対に使えない。
目的格であっても関係代名詞を省略することはできない。
which は直前の名詞だけでなく句・節・文全体を修飾可能。
非制限用法で必ず押さえておくべき文法上の規則と禁止事項です。
次の疑問非制限用法でthatが使えない理由とあわせて、接続詞と関係代名詞thatの違いも整理しておくと見分けに迷いません。
書き換え問題の解法と接続詞の選び方
学校の定期試験や入試問題で頻出するのが、「非制限用法を接続詞+代名詞に書き換える問題」です。基本公式は次の通りです。
カンマ(,) + 関係代名詞 = 適切な接続詞 + 代名詞
「カンマを適切な接続詞に分解し、関係代名詞を人称代名詞に戻す」という手順で解きます。使われる接続詞は文脈に応じて4種類に分類されます。
1. 順接・追加の and(そして)
前文から自然に話が継続する場合や、単に情報を追加する場合は and を使います。書き換え問題の約7割はこのパターンです。
I gave the flowers to Mary, who was very pleased.
= I gave the flowers to Mary, and she was very pleased.
(私はメアリーに花をあげたが、彼女はとても喜んでくれた。)
2. 逆接の but / although(しかし・〜だけれども)
前文と後ろの節の内容が対立・矛盾している場合は but や although を選びます。
I invited Ken, who didn't come.
= I invited Ken, but he didn't come.
(ケンを招待したが、彼は来なかった。)
3. 理由・根拠の for / because(なぜなら)
後ろの節が前文の理由や説明になっている場合は for や because で書き換えます。
I stayed at home, which was very cold outside.
= I stayed at home, for it was very cold outside.
(私は家にいた。というのも外は非常に寒かったからだ。)
4. 譲歩の though(もっとも〜なのだが)
前文を述べたあと、「もっとも〜ではあるけれど」と控えめな条件を後付けする場合は though を補います。
He bought a new laptop, which he didn't really need.
= He bought a new laptop, though he didn't really need it.
(彼は新しいノートパソコンを買ったが、実際には必要としていなかった。)
順接・追加
- and(そして)
逆接
- but
- although(しかし)
理由・根拠
- for
- because(なぜなら)
譲歩
- though(もっとも〜だが)
文脈に合わせて「カンマ+関係代名詞」を分解する接続詞の分類です。

非制限用法の訳し方とスラッシュリーディング
長文読解において非制限用法が出てきたとき、制限用法のように「後ろから前へ」返り読みをしてしまうと、読む速度が著しく低下し、文構造を見失う原因になります。非制限用法は、英語が書かれている順番通りに左から右へ訳し下ろすのが鉄則です。
返り読みをなくす実践スラッシュリーディング
スラッシュを入れて情報を前から順に処理するトレーニングを行いましょう。カンマの位置でスラッシュ( / )を入れ、そこで一度意味を区切ります。
She lent me two books, / which were written in French, / and I couldn't read them.
- She lent me two books,(彼女は私に2冊の本を貸してくれた)
- which were written in French,(そしてそれらはフランス語で書かれていた)
- and I couldn't read them.(そのため私はそれらを読むことができなかった)
これを自然な日本語につなげると、「彼女は私に2冊の本を貸してくれたのだが、フランス語で書かれていたため、私は読むことができなかった」となります。決して「フランス語で書かれていて私が読めなかった本を2冊彼女は貸してくれた」と後ろから巻き戻してはいけません。
文全体を先行詞にする which の訳し下しステップ
特に難関大入試やニュース記事でよく見られる「文全体を受ける which」も、スラッシュリーディングを使えば迷わず処理できます。
He passed the final entrance examination, / which surprised all of his teachers.
- He passed the final entrance examination,(彼は最終入試に合格した)
- which surprised all of his teachers.(そしてそのことが彼の先生たち全員を驚かせた)
which の部分を「そしてそのことは」「だがその事実は」と言い換えてそのまま後ろに繋げるだけで、流暢かつ正確な日本語訳が完成します。
発展:二重限定との違いと関係副詞の非制限用法
非制限用法と混同されやすい発展的な文法項目として、「関係代名詞の二重限定」と「関係副詞の非制限用法」があります。難関私立大や国公立2次試験を目指す方は、この2つを押さえておくことで大きなアドバンテージを得られます。
関係代名詞の二重限定とは?
「二重限定」とは、1つの先行詞に対して、カンマなしの制限用法の関係詞節が2つ連続して重なり、先行詞を2段階で絞り込む構文です。カンマで補足情報を添える非制限用法とは根本的に構造が異なります。
Is there anyone (whom) you know / that can speak Arabic?
(あなたが知っている人の中で、アラビア語を話せる人はいますか?)
この文では、先行詞 anyone に対して、第1の関係節 (whom) you know(あなたが知っている)と、第2の関係節 that can speak Arabic(アラビア語を話せる)が同時にかかっています。
- 第1段階:全人類の中から「あなたが知っている人」に絞り込む
- 第2段階:その中からさらに「アラビア語を話せる人」に絞り込む
二重限定では第1の関係詞が省略されることが多く、第2の関係詞には通常 that が好まれます。一方、非制限用法は「カンマを置いて追加説明する」だけなので、対象を狭めることは一切ありません。「カンマの有無」と「絞り込みの有無」で両者を明確に見分けましょう。
関係副詞(where, when)の非制限用法
関係代名詞だけでなく、関係副詞の where と when にもカンマを伴う非制限用法が存在します。なお、why と how には非制限用法がありません。
1. where の非制限用法(, where = and there)先行詞となる「場所」を確定させた上で、「そしてそこで…」と情報を付け加えます。
We went to Paris, where we stayed for three days.
(私たちはパリへ行き、そこで3日間滞在した。)
= We went to Paris, and there we stayed for three days.
先行詞となる「時」を確定させた上で、「そしてその時…」と話を進めます。
I was taking a shower at eight, when the phone suddenly rang.
(8時にシャワーを浴びていたのだが、その時突然電話が鳴った。
)
= I was taking a shower at eight, and then the phone suddenly rang.
anyone(全人類)を提示する
(whom) you know で「知人」に限定
that can speak Arabic で言語限定
1つの先行詞に対して2つの制限用法が重なり、2段階で絞り込みます。
関係代名詞と関係副詞の違いを整理したいときは、関係代名詞と関係副詞の使い分け一覧を確認しましょう。
次の疑問カンマの後ろに来る語句の判断に迷うときは、関係代名詞と関係副詞の違いと判別で文構造の確認法を復習できます。
理解度チェック!演習問題と詳しい解説
学んだ知識が確実に身についているか、実践形式の問題で確認してみましょう。
問題1:正誤判定
次の英文の誤りを含む箇所を正しく直してください。
- Yesterday I met Mr. Tanaka, that told me the news.
- This is my smartphone, I bought last week.
1. that → who
カンマの後ろの非制限用法では関係代名詞 that を使えません。先行詞が Mr. Tanaka(人)であるため、主格の who に改めます。
訳:昨日田中さんに会ったが、彼が私にその知らせを教えてくれた。
2. I bought → which I bought
非制限用法では、目的格であっても関係代名詞を省略できません。先行詞 my smartphone(物)を受ける目的格の which を補う必要があります。
訳:これは私のスマートフォンですが、先週買ったばかりのものです。
問題2:書き換え問題
次の英文の空所に適切な単語を1語ずつ入れ、同じ意味の文を完成させてください。
He tried to open the locked box, which he found impossible.
= He tried to open the locked box, ( ) he found ( ) impossible.
( but ) he found ( it ) impossible.
which は直前の節「鍵のかかった箱を開けようとすること」を指しています。
「開けようとした」のに対して「不可能だと分かった」という逆接の流れになっているため、接続詞は but を選びます。先行詞である動作の内容を代名詞 it で受けて、but he found it impossible と書き換えます。
訳:彼は鍵のかかった箱を開けようとしたが、それは不可能だと分かった。
さらに演習を重ねたい方は、高校英語の関係代名詞練習問題プリントで知識を定着させましょう。
次の疑問制限用法の基礎も含めてさらに問題を解きたい場合は、関係代名詞の演習問題とプリントで定着度を確かめられます。
カンマの有無で意味が変わる対比と固有名詞のルール
カンマが1つあるかないかで、文全体が伝える事実関係が大きく変化します。代表的な対比と固有名詞のルールを押さえましょう。
子どもの人数が変わる定番例文
制限用法の He has two sons who are doctors.(彼には医者をしている息子が2人いる)では、「医者をしている息子」が2人いると述べているだけで、医者以外の息子がほかにいる可能性を否定していません。
一方、非制限用法の He has two sons, who are doctors.(彼には息子が2人いて、その2人とも医者をしている)では、まず「息子が2人いる」という情報が確定し、その上で「2人とも医者だ」と補足を足しているため、彼の息子は全部で2人しかいません。
固有名詞にカンマが必要な理由
固有名詞(人名や地名)や、my mother のように文脈上1人・1つしか存在しない名詞を修飾する場合は、必ず非制限用法を用います。
I visited Kyoto, which is famous for its temples.(私は京都を訪れたが、そこは寺院で有名な街だ。)
カンマを省いてしまうと、「寺院で有名なほうの京都(そうではない別の京都ではなく)」という不自然な絞り込みの意味になってしまいます。すでに世界に1つしかない対象には限定をかける必要がないため、必然的に補足説明の非制限用法が選ばれます。
スピーキングやリスニングでの発音とポーズの感覚
スピーキングやリスニングでは、書き言葉のカンマを「音声」で認識する必要があります。日常会話で非制限用法を使いこなすときは、次の2点を意識しましょう。
- 直前のポーズ:先行詞を言った後に、ごくわずかな息継ぎ(ポーズ)を入れる。
- ピッチの低下:カンマの中に入るときに声のトーン(ピッチ)を少し下げ、補足情報であることを示す。
My father [短い休み・低めの声] who is 60 years old [短い休み・元の声] still plays tennis. のように話すことで、聞き手は「年齢の情報はおまけの補足だな」と即座に理解できます。
目的格でも省略不可!非制限用法で省略が禁止される理由
制限用法では、関係代名詞が後ろの節の目的語(O)になっている場合、自由に省略できます(例: This is the watch (which) I bought yesterday.)。しかし、非制限用法では目的格であっても絶対に省略できません。
- 誤り:This watch, I bought yesterday, was expensive.
- 正しい:This watch, which I bought yesterday, was expensive.(この時計は、昨日買ったものなのだが、高価だった。)
カンマで区切られた挿入句の中で関係代名詞を省略してしまうと、文の構造(主語と述語の切れ目)が壊れ、読者がどこからどこまでが挿入なのかを把握できなくなるためです。空所補充や誤文訂正でも狙われやすいポイントなので確実に覚えておきましょう。
文全体や節を先行詞にする「, which」の働き
制限用法の関係代名詞は直前の「名詞」しか修飾できませんが、非制限用法の , which は「直前の名詞」だけでなく、「直前の句・節」や「直前の文全体の内容」を先行詞として受けることができます。
He said he passed the exam, which was a lie.
(彼は試験に合格したと言ったが、それは嘘だった。)
この例文の which は、直前の名詞 the exam(試験)を指しているのではなく、He said he passed the exam(彼が試験に合格したと言ったこと全体)を指しています。
この働きができるのはカンマ付きの , which だけであり、カンマなしの制限用法や関係代名詞 that には不可能です。
関係代名詞の省略と前置詞を伴う場合のルール
制限用法と非制限用法を区別する際には、関係代名詞の省略の可否や前置詞との位置関係に関する規則も重要です。非制限用法では関係詞節を取り除いても主節の意味が独立して成り立ちますが、制限用法では関係詞節を取り除くとどの対象を指しているのかが不明瞭になり文が成り立ちません。
1. 目的格関係代名詞の省略
制限用法において、関係代名詞が節の中で目的語の役割を果たす場合(目的格)は省略できます。
- The book which I bought yesterday was interesting.
= The book I bought yesterday was interesting.(私が昨日買った本は面白かった)
主格の関係代名詞は省略できません。また、非制限用法では目的格であっても省略は不可能です。
2. 前置詞との組み合わせ
前置詞を関係代名詞の直前に置く場合、that は使えず、必ず which または whom を用います。
- 正: This is the house in which he lives.(これは彼が住んでいる家です)
- 誤: This is the house in that he lives.
ただし、前置詞を節の末尾に残す場合は that の使用や省略が可能です(例: This is the house that he lives in. / This is the house he lives in.)。
続けて読む
理解度チェック
Q1. 関係代名詞の非制限用法に関する説明として正しいものはどれ?
- 先行詞の対象を絞り込む役割を持つ
- 関係代名詞にthatを使うことができる
- 目的格であっても関係代名詞は省略不可
- 直前の名詞1語しか先行詞にできない
答えを見る
正解: C. 目的格であっても関係代名詞は省略不可
非制限用法では、目的格であっても関係代名詞を省略できません。省略すると完全な節同士が接続詞なしで繋がる誤りになります。
Q2. 非制限用法の英文として文法的に正しいものはどれ?
- I met Ken, that gave me this book.
- This is Kyoto, I visited ten years ago.
- He has two daughters, who became doctors.
- The car, that is red, is parked over there.
答えを見る
正解: C. He has two daughters, who became doctors.
非制限用法ではthatを使用できず、目的格の関係代名詞も省略できません。人を先行詞としてwhoを用いた文が正解です。
Q3. 非制限用法のwhichに関する記述として正しいものはどれ?
- 直前の句や節、文全体を先行詞にできる
- 制限用法と同様に目的格なら省略できる
- 人に対しても先行詞として使用できる
- 接続詞のbecauseと代名詞には書換不能
答えを見る
正解: A. 直前の句や節、文全体を先行詞にできる
非制限用法のwhichは、直前の名詞だけでなく、直前の形容詞や動詞句、前文の節や文全体を先行詞として受けることができます。
よくある質問
- Q. 非制限用法でthatが使えない理由は?
- 関係代名詞thatは「まさにそれだ」と強い力で先行詞を特定・限定する性質を持っています。一方、非制限用法はすでに特定されたものにおまけの補足情報を添える用法であるため、限定のニュアンスを持つthatとは文法的に相容れないからです。
- Q. カンマが2つある場合はどう解釈する?
- 文の途中に非制限用法の節が挿入される場合、「先行詞, who / which 〜, 本動詞 …」とカンマが前後に2つ置かれます。これは丸カッコ( )と同じ働きをしており、カンマで囲まれた部分を丸ごと取り除いても主文の構造が崩れないのが特徴です。
- Q. 限定用法と制限用法、継続用法は何が違う?
- 呼び方が異なるだけで同じ概念です。「制限用法=限定用法」であり、先行詞を絞り込む用法(カンマなし)を指します。「非制限用法=非限定用法=継続用法」であり、先行詞に補足説明を付け足す用法(カンマあり)を指します。
- Q. 関係代名詞whichが先行詞にできる範囲は?
- 非制限用法のwhichは非常に柔軟で、直前の名詞1語だけでなく、直前の形容詞、動詞句、前文の従属節、さらには前文全体の文意を先行詞として受けることができます。この場合、受けた内容は単数扱い(it)として処理されます。
- Q. なぜ why と how には非制限用法がないのですか?
- why や how は「なぜそうなのか」「いかにしてそうなったか」という核心的な理由や方法を厳密に説明するための語だからです。文脈上おまけとして軽く添えるような補足説明の性質に合わないため、制限用法しか存在しません。
- Q. 固有名詞には絶対に制限用法は使えない?
- 同姓同名の人物が複数いて区別する場合(例:「私が知っているほうのスミスさん」)など、例外的に文脈上複数候補が存在する状況を除き、原則として固有名詞にはカンマなしの制限用法は使えず、非制限用法を用います。
- Q. 関係代名詞を省略できる条件は?
- 制限用法において、関係代名詞が節の中で目的語として働く「目的格」である場合に省略できます。主格の場合や、コンマを伴う非制限用法では省略できません。
2026年9月24日更新・モチタン辞典編集部