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句動詞と群動詞の違いとは?語順ルールと使い方
結論から申し上げますと、「句動詞」と「群動詞」に文法上の実質的な違いはありません。どちらもphrasal verbsの日本語訳であり、同じ文法現象を指しています。伝統的な学校文法で「群動詞」と呼ばれてきたものが、現代英語教育や言語学において「句動詞」と呼ばれることが多くなりました。
句動詞と群動詞の違いは呼び方だけ
英語学習の参考書や辞書によって「句動詞」と書かれていたり「群動詞」と書かれていたりと、表記が分かれているため混乱する方が少なくありません。しかし、文法的な意味や対象とする英語表現に差はありません。
英語ではどちらもphrasal verbと表記されます。歴史的な背景として、日本の伝統的な学校英文法では「複数の単語が群れをなして1つの動詞として機能する」という点に着目して「群動詞」という訳語が広く定着しました。
一方で、現代の言語学や英語教育の主流では、2語以上で構成されるまとまりを文法用語で「句(phrase)」と呼ぶ原則に合わせ、「句動詞」という呼称が一般化しています。
したがって、学習上はどちらの呼び方に出合っても「動詞+副詞」や「動詞+前置詞」などで構成されるひとかたまりの動詞表現だと理解すれば問題ありません。入試や各種英語試験でも、呼び方の違いが問題になることはありません。
群動詞
- 英語表記は phrasal verb
- 日本の伝統的な学校英文法で定着
- 複数が群れをなして働く点に着目
句動詞
- 英語表記は phrasal verb
- 現代言語学・英語教育の主流
- 2語以上のまとまりを「句」と呼ぶ原則に基づく
文法的な意味や対象は同じで、背景となる文法観によって呼び方が異なります。
動詞句やイディオムとの違いを整理
「句動詞(群動詞)」と混同しやすい関連用語に「動詞句」や「熟語(イディオム)」があります。これらは指している範囲や文法上の視点が異なります。
それぞれの定義と違いを比較表で確認してみましょう。
| 用語 | 定義と特徴 | 具体例 |
|---|---|---|
| 句動詞 / 群動詞 | 動詞+副詞、または動詞+前置詞が結びつき、1つの動詞として働く表現。 | look for, give up, turn off |
| 動詞句 (verb phrase) | 文法構造上の単位。動詞を中心とする述部全体(目的語や修飾語を含む)を指す広い概念。 | read a book, play tennis in the park |
| 熟語 / イディオム | 2つ以上の単語が結びつき、個々の単語の意味からは推測できない特殊な意味を持つ慣用表現全般。名詞句や副詞句も含む。 | once in a blue moon, spill the beans |
包含関係を整理すると、以下のようになります。
- イディオム(熟語)は最も広い概念で、動詞表現だけでなく、副詞表現やことわざ全般を含みます。句動詞のうち、元の単語から意味が大きく変化するものはイディオムの一部とみなされます。
- 動詞句(verb phrase)は統語論(文の構造分析)で使われる用語であり、文中の述語動詞から後ろのまとまり全体を指します。例えば He reads a book in his room. の文において、reads a book in his room 全体が動詞句です。
- 句動詞(群動詞)は、特定の語彙的な結びつき(動詞+副詞/前置詞)によって1つの他動詞や自動詞として機能する最小の表現単位を指します。
次の疑問境界線が曖昧になりやすい熟語との区別は、句動詞と熟語(イディオム)の違いでより詳しく整理できます。
句動詞(群動詞)の4つの基本パターン
句動詞(群動詞)は、構成要素の組み合わせによって大きく4つのパターンに分類できます。それぞれの構造と代表的な表現を押さえることで、文中での役割が明確になります。
1. 動詞 + 副詞(自動詞型 / 他動詞型)
動詞の直後に副詞が続くパターンです。目的語を必要としない自動詞型と、目的語を必要とする他動詞型に分かれます。
- wake up(目を覚ます):自動詞型。I woke up at six this morning.(今朝6時に目が覚めました。)
- turn on(電源をつける):他動詞型。Please turn on the light.(明かりをつけてください。)
- give up(諦める、やめる):他動詞型。He gave up smoking.(彼は喫煙をやめました。)
2. 動詞 + 前置詞(他動詞型)
動詞の直後に前置詞が続き、後ろに前置詞の目的語(名詞や代名詞)を取るパターンです。全体で他動詞のように機能します。
- look at(〜を見る):Look at this picture.(この写真を見てください。)
- listen to(〜を聞く):She listened to the music carefully.(彼女はその音楽を注意深く聴きました。)
- wait for(〜を待つ):They are waiting for the bus.(彼らはバスを待っています。)
3. 動詞 + 副詞 + 前置詞
副詞と前置詞が連続し、最後に前置詞の目的語を取る3語以上のパターンです。
- look forward to(〜を楽しみに待つ):I look forward to hearing from you.(お返事を楽しみに待っています。)
- catch up with(〜に追いつく):You need to run to catch up with him.(彼に追いつくためには走る必要があります。)
- run out of(〜を使い果たす):We ran out of milk.(牛乳を使い切ってしまいました。)
4. 動詞 + 名詞 + 前置詞
動詞と前置詞の間に特定の名詞が挟まり、全体で1つの他動詞のように振る舞うパターンです。
- take care of(〜の世話をする、処理する):She takes care of her younger brother.(彼女は弟の面倒を見ています。)
- make use of(〜を利用する):You should make use of this opportunity.(この機会を利用するべきです。)
- pay attention to(〜に注意を払う):Please pay attention to the instructions.(指示に注意を払ってください。)
動詞+副詞
- wake up(自動詞)
- turn on(他動詞)
- give up(他動詞)
動詞+前置詞
- look at
- listen to
- wait for
動詞+副詞+前置詞
- look forward to
- catch up with
- run out of
動詞に副詞や前置詞が組み合わさるパターンと代表例の整理です。
代名詞の語順ルールと「put it on」の理由
学習者が最も間違えやすいのが、「動詞+副詞」型における目的語の語順です。なぜ put it on は正しくて、put on it は不自然とされるのでしょうか。
名詞と代名詞での語順比較
目的語が普通名詞の場合は「動詞+名詞+副詞」「動詞+副詞+名詞」のどちらの語順も成立します。しかし、目的語が代名詞(it, them, him, her など)の場合は、必ず副詞の前に挟まなければなりません。
| 目的語の種類 | 動詞 + 目的語 + 副詞 | 動詞 + 副詞 + 目的語 |
|---|---|---|
| 普通名詞(coat) | ○ put the coat on | ○ put on the coat |
| 代名詞(it) | ○ put it on | × put on it |
| 代名詞(them) | ○ take them off | × take off them |
なぜ代名詞を間に挟むのか:情報構造の理由
英語には「旧情報(すでに話題に出ていて聞き手が知っている情報)は文の前寄りに置き、新情報(新しく伝える重要な情報)は文末寄りに置く(文末焦点の原理)」という基本的な情報構造のルールがあります。
代名詞(it や them)は、文脈上すでに分かっている「旧情報」です。内容として軽いため、強く発音されることもありません。一方で、副詞(on や off や down)は動作の方向や結果を表す意味の重い単語です。
そのため、軽い代名詞を動詞と副詞の間に挟み、情報として重い副詞を後ろに残す形(put it on)が英語のリズムとして自然になります。代名詞を文末に置く put on it は、軽い旧情報が文末に来てしまうため不自然とみなされます。

副詞型と前置詞型を3秒で見分ける手順
「on や at などの単語が副詞なのか前置詞なのか分からない」という疑問を解決するために、瞬時に判別できる判定基準を用意しました。
3秒判別フロー
- 目的語を取り除いた状態で、その単語の直後で文を終わらせて意味が成立するか確認する。
- 目的語なしで成り立つ場合、その語は「副詞」です(例:Turn it off. → Turn off. は動作として自立可能)。副詞型なので代名詞は挟み込みます。
- 目的語がないと完全に文が崩壊する場合、その語は「前置詞」です(例:Look at the cat. → Look at. だけでは成立しない)。前置詞型なので代名詞は必ず後ろに置きます。
表は横にスクロールできます →
| 判別対象 | 後ろに目的語がない形 | 判定 | 代名詞を置く正しい位置 |
|---|---|---|---|
| put on | Put on.(服を着る動作として意味が通じる) | 副詞 | ○ put it on / × put on it |
| look at | × Look at.(単独では成立しない) | 前置詞 | ○ look at it / × look it at |
| turn down | Turn down.(音量を下げる・断る動作) | 副詞 | ○ turn it down / × turn down it |
| wait for | × Wait for.(単独では成立しない) | 前置詞 | ○ wait for it / × wait it for |
前置詞は常に直後に名詞・代名詞(目的語)を必要とする品詞であるため、代名詞であっても前置詞の前に挟むことはできません(× look it at は不可)。
次の疑問単語自体の品詞の働きから根本的に見分けたいときは、前置詞と副詞の違いと見分け方が参考になります。
受動態で前置詞が連続する注意点
句動詞(群動詞)を受動態に書き換える際、試験で頻出するのが「前置詞が2つ並ぶ現象」です。
句動詞は「動詞+前置詞」全体で1つの他動詞として機能しているため、受動態にするときも構成要素を分解したり省略したりしてはいけません。
受動態の作成例
能動態の文:A stranger spoke to him.(見知らぬ人が彼に話しかけた。)
この文を受動態にする場合、句動詞 spoke to を1つの動詞とみなして主語に He を移動させます。
受動態の文:He was spoken to by a stranger.(彼は見知らぬ人に話しかけられた。)
文末で to by と前置詞が2つ連続するため不自然に感じる学習者が多いですが、文法的に完全に正しい形です。ここで to を脱落させて He was spoken by a stranger. と書いてしまうミスが非常に多いため、注意が必要です。
3語以上の句動詞の受動態
3語からなる句動詞でも同様に、ひとかたまりのまま受動態にします。
- 能動態:They look up to the teacher.(彼らはその先生を尊敬している。)
- 受動態:The teacher is looked up to by them.(その先生は彼らに尊敬されている。)
up to by と副詞・前置詞が3つ連続しますが、これも規則通りの正しい英語です。
He was spoken to by a stranger.彼は見知らぬ人に話しかけられた。
句動詞を1つの動詞のかたまりとして維持するため、前置詞が2つ連続します。
次の疑問受動態以外でも起こる連続のパターンは、前置詞が連続する・2個並ぶ用法で構造を確認できます。
前置詞と副詞のコアイメージで暗記を軽減
句動詞を力任せに丸暗記しようとすると、数が膨大で混同しやすくなります。動詞に付く前置詞や副詞が持つ「コアイメージ(中心的な感覚)」を理解すると、意味の推測が格段に容易になります。
表は横にスクロールできます →
| 語 | コアイメージ | 句動詞での展開と意味 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| up | 上方へ、完全に(完了・終了) | 上に向かう動作から転じて「最後まで完全にやり切る」という意味を持ちます。 | clean up(きれいに片付ける) eat up(食べ尽くす) give up(完全に投げ出す=諦める) |
| down | 下方へ、低下、沈静、停止 | 下に向かう動きから「勢いを抑える」「活動を止める」という意味になります。 | calm down(落ち着く) turn down(音量を下げる、断る) break down(機能が停止する=故障する) |
| off | 離脱、接触していたものが離れる | くっついていた状態から離れる感覚です。電源や関係の切断にも使われます。 | take off(服を脱ぐ、飛行機が離陸する) call off(予定を切り離す=中止する) turn off(電気を切る) |
| out | 内部から外部へ、外に出て消える、広がる | 枠の中から外に出ていくイメージから、「露呈」「消失」「徹底」を表します。 | find out(隠れた情報を外に出す=発見する) put out(火を外に追いやる=消火する) run out(中身が外に出て尽きる) |
例えば eat up の up は「上」ではなく「完全に(最後まで残さず)」を表しています。このようにイメージを介して理解することで、未知の句動詞に出合った場合でも大まかな意味を推測できるようになります。
試験対策として主要な表現をまとめて確認したいときは、大学受験の頻出句動詞一覧が役立ちます。
理解度チェックミニテスト
本記事で解説した語順ルールと受動態の重要ポイントについて、知識が定着しているか確認してみましょう。
問題
- 次のうち、文法的に正しいものを1つ選んでください。
(A) Please take off them.
(B) Please take them off.
(C) Please take off to them. - 次の空欄に入る最も適切な語句を選んでください。
The baby was taken care ( ) by my grandmother.
(A) —(不要)
(B) of
(C) to - 「彼女は私の申し出を断った」という意味にする場合、誤っている文はどれですか。
(A) She turned down my offer.
(B) She turned my offer down.
(C) She turned down it.
解答と解説
- 正解: (B)
take off は「他動詞+副詞」の句動詞です。目的語が代名詞 them の場合、副詞の前に挟まなければならないため、take them off が正解です。 - 正解: (B)
句動詞 take care of(〜の世話をする)の受動態です。全体で1つの動詞扱いとなるため、受動態でも of を脱落させてはいけません。したがって taken care of by... となります。 - 正解: (C)
目的語が普通名詞 my offer であれば (A) と (B) のどちらの語順も可能です。しかし、目的語を代名詞 it に置き換えた場合、turned down it という語順は不可であり、turned it down と挟み込む必要があります。
続けて読む
理解度チェック
Q1. 「句動詞」と「群動詞」の違いについて正しい説明はどれ?
- 文法的な意味や対象とする表現に差はない
- 句動詞は2語、群動詞は3語以上を指す
- 句動詞は口語、群動詞は文語でのみ使われる
- 群動詞のみ受動態に書き換えることができる
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正解: A. 文法的な意味や対象とする表現に差はない
本文によると、両者は呼び方が異なるだけで、文法的な意味や対象とする英語表現に差はありません。英語ではどちらもphrasal verbと表記されます。
Q2. 「動詞+副詞」の句動詞で目的語が代名詞のときの語順は?
- 副詞の直後に置く
- 動詞と副詞の間に挟む
- 文頭に移動させる
- 前置詞の直後に置く
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正解: B. 動詞と副詞の間に挟む
目的語が代名詞(itやthemなど)の場合は旧情報であるため、動詞と副詞の間に挟むルール(put it onなど)があります。
Q3. 次のうち、文法的に正しい英文はどれですか?
- He was spoken by a stranger.
- Please turn down it.
- Look it at carefully.
- He was spoken to by a stranger.
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正解: D. He was spoken to by a stranger.
句動詞「spoke to」は受動態でも構成要素を省略せず1つの動詞として扱うため、「was spoken to by」と前置詞が連続する形が正解です。
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よくある質問
- Q. 句動詞と群動詞はどちらを使うべき?
- 現代の学習においては「句動詞」と呼ぶのが一般的です。ただし学校の授業や古い参考書では「群動詞」と表記されることもあり、どちらを使っても間違いではありません。
- Q. なぜ句動詞を使うネイティブが多いの?
- 日常会話では1語の堅いラテン語系動詞(discoverやextinguishなど)よりも、基本動詞を組み合わせた句動詞(find outやput outなど)のほうが親しみやすく自然に響くためです。
- Q. 自動詞+前置詞の句動詞は語順変更できる?
- 語順変更はできません。前置詞の目的語は代名詞であっても必ず前置詞の直後に置きます(例:○ look at it / × look it at)。
- Q. 句動詞の暗記で最も効果的な方法は?
- 前置詞・副詞(up, off, out など)のコアイメージを押さえた上で、例文ごと声に出して覚える方法が効果的です。語順感覚も同時に身につきます。
2026年9月30日更新・モチタン辞典編集部
look at
give up
turn down
take off
take care of