モチタン辞典 › 読みもの › 英文法 › 英語の群動詞・句動詞一覧と覚え方

群動詞とイディオムの違いと文法
群動詞(句動詞)とイディオムの決定的な違いは包含関係にあります。イディオム(熟語)は2語以上が結びついて特定の意味を表す慣用表現全般を指し、その中で「動詞+副詞」や「動詞+前置詞」のように動詞として機能するひとまとまりを群動詞と呼びます。
すべての群動詞はイディオムの一部ですが、イディオムのすべてが群動詞であるわけではありません。
群動詞とイディオムの包含関係
英語学習において「群動詞」「句動詞」「英熟語」「イディオム」という用語が混在し、混乱を招きがちです。まずはこれらの定義と上下関係を整理します。
用語の対応と定義
- イディオム(idiom) / 英熟語: 2語以上の単語が組み合わさり、それぞれの単語の字面からは予測できない固有の意味を持つ表現全般を指します。品詞の縛りはなく、動詞句、名詞句、副詞句、前置詞句などすべてを含みます。
- 群動詞 / 句動詞(phrasal verb): イディオムのうち、中心となる動詞に副詞や前置詞が結合し、文全体で「1つの動詞」として機能する表現を指します。日本の学校文法や参考書では「群動詞」と呼ばれることが多く、英語圏の語学教育(ELT)や現代の辞書では「句動詞(phrasal verb)」と表記されるのが一般的です。両者は同じ概念を指します。
両者の包含関係は次の通りです。
表は横にスクロールできます →
| 分類 | 文法上の働き | 具体例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| イディオム(広義の熟語) | 名詞句、副詞句、接続詞句、動詞句など全体 | as a result(結果として)、by the way(ところで)、once in a blue moon(ごくまれに) | 文全体の品詞は問わない |
| 群動詞・句動詞(動詞イディオム) | 1つの他動詞または自動詞として機能する | put off(延期する)、look after(世話をする)、run out of(使い果たす) | イディオムという大枠の中に完全に含まれる |
したがって、「すべての群動詞はイディオムである」と言えますが、「すべてのイディオムが群動詞である」とは言えません。例えば by chance(偶然に)は副詞として働くイディオムですが、動詞を含まないため群動詞ではありません。
次の疑問似た用語の使い分けをさらに深掘りしたいときは、句動詞と群動詞の違いと見分け方で文法的な境界線を整理できます。
群動詞の4パターンと判別手順
群動詞は構成する品詞の組み合わせによって、大きく4つのパターンに分類されます。この構造の違いが、後ろに置く目的語の位置や語順のルールを決定します。
群動詞の4つの基本パターン
- 動詞 + 副詞: 自動詞として働く型(wake up「目が覚める」)と、他動詞として働く型(turn on「〜をつける」)があります。
- 動詞 + 前置詞: 前置詞の直後に必ず目的語を必要とする型(look at「〜を見る」, listen to「〜を聴く」)。
- 動詞 + 副詞 + 前置詞: 副詞と前置詞が組み合わさった3語型(look forward to「〜を楽しみに待つ」, catch up with「〜に追いつく」)。
- 動詞 + 名詞 + 前置詞: 間に名詞を挟んだ3語型(take care of「〜の世話をする」, pay attention to「〜に注意を払う」)。
「動詞+副詞」と「動詞+前置詞」の見分け方フローチャート
もっとも誤りが起きやすいのが「動詞 + 1語」の組み合わせが副詞なのか前置詞なのかという判別です。副詞と前置詞では文法規則が異なります。判別は以下の手順で行います。
- ステップ1: その1語の後ろに名詞(目的語)を置かない単独の形で文が成立するかを確認する。成立するなら副詞(自動詞型)。例: The plane took off.(飛行機が離陸した。off の後ろに名詞がなくても成立するため off は副詞)。
- ステップ2: 後ろの名詞を文頭に移動させたり受動態の主語にしたりしたとき、その1語だけが文末に残るかを確認する。後ろに名詞を置かなければ意味をなさない場合は前置詞。例: She looked at the picture.(at は目的語を直接必要とする前置詞)。
- ステップ3: 代名詞(it など)を間に挟めるかテストする。「動詞 + 代名詞 + 語」の語順で自然に通じるなら副詞(pick it up は可なので up は副詞)。「動詞 + 語 + 代名詞」しか使えないなら前置詞(listen to it は可、listen it to は不可なので to は前置詞)。
名詞を置かず文が成立すれば副詞(例: take off)
後ろに名詞を置かないと意味をなさない場合は前置詞
間に挟めれば副詞、挟めず後ろに置くなら前置詞
動詞の直後に続く1語が副詞か前置詞かを3つの確認手順で判別します。
次の疑問どの前置詞と結びつくかをまとめて確認したいなら、動詞と前置詞の組み合わせ一覧を押さえておくと迷いません。
代名詞の語順とOK・NG判定
試験や英作文で失点しやすいのが、目的語が代名詞(it, them, him, her など)になったときの語順です。名詞を置く場合と代名詞を置く場合で適用される規則が異なります。
パターン別の語順ルール一覧
表は横にスクロールできます →
| パターン | 目的語が普通名詞の場合 | 目的語が代名詞の場合 | 不可となる語順 |
|---|---|---|---|
| 動詞 + 副詞(他動詞型) | turn off the light turn the light off(両方可) | turn it off(挟む語順のみ可) | × turn off it |
| 動詞 + 前置詞 | look at the picture(直後のみ可) | look at it(直後のみ可) | × look it at |
| 動詞 + 副詞 + 前置詞 | catch up with Ken(直後のみ可) | catch up with him(直後のみ可) | × catch him up with |
| 動詞 + 名詞 + 前置詞 | take care of the baby(直後のみ可) | take care of him(直後のみ可) | × take him care of |
語順ルールの理由
英語には「新情報や重い(長い)情報を文の後ろに置き、既知情報や軽い情報を前に置く(エンド・フォーカス)」という原理があります。代名詞はすでに文脈に登場した「軽くて古い情報」であるため、強いアクセントを持つ副詞(off, up など)の前に引っ張られ、動詞と副詞の間に挟まれます。
一方、前置詞(at, to, for 等)はその定義上、「名詞の直前に置く(前置する)」詞であるため、後ろに名詞や代名詞が必ず続かなければなりません。したがって代名詞であっても前置詞の前に挟むことはできません。
OK・NG 例文対比
- OK: Please pick up the trash.(ゴミを拾ってください。)
- OK: Please pick the trash up.(ゴミを拾ってください。)
- OK: Please pick it up.(それを拾ってください。)
- NG: Please pick up it.(代名詞を副詞の後ろに置いてはならない)
- OK: I am looking for my keys.(鍵を探しています。)
- OK: I found them, but I was looking for them all morning.(見つかりましたが、午前中ずっと探していました。)
- NG: I was looking them for all morning.(代名詞を前置詞の前に挟んではならない)
- OK: We went to the airport to see them off.(私たちは見送るために空港へ行きました。)
- NG: We went to the airport to see off them.(see off の off は副詞のため代名詞は挟む)
代名詞を挟むパターンの具体例をさらに確認したいときは、群動詞(句動詞)の語順と代名詞の位置の例文集が参考になります。
群動詞の受動態と前置詞の連続
群動詞を含む能動態を受動態へ書き換える際、前置詞が2つ連続する形(at by や with by など)が現れます。見た目に違和感があっても、文法的には完全に正当な構造です。
受動態化の基本原則
群動詞は「2語以上で1つの他動詞」として機能しています。受動態を作るときは、群動詞のひとかたまりを絶対に分解せず、1語の動詞と同じように be動詞 + 過去分詞 の形にした後、後ろに付随する副詞や前置詞をそのまま残します。
その上で、行為者を表す by + 動作主 を接続するため、前置詞が2つ並ぶ形になります。
3ステップで作成する受動態書き換え手順
- ステップ1: 能動態の目的語(前置詞の直後にある名詞)を特定し、受動態の主語に移動させる。
- ステップ2: 動詞部分を be動詞 + 過去分詞 に変え、群動詞を構成していた副詞・前置詞を落とさずにそのまま直結させる。
- ステップ3: 元の文の主語を行為者として by + 目的格 の形で文末に置く。
具体例とステップ解説
能動態: They laughed at him.(彼らは彼をあざ笑った。)
- 目的語 him を主語の He に変更。
- laughed at を was laughed at に変更(at を絶対に落とさない)。
- 動作主 They を by them にして接続。
受動態完成文: He was laughed at by them.(彼は彼らにあざ笑われた。)
※ at を落として He was laughed by them. とすると誤りになります。
| 能動態の例文 | 受動態への書き換え | 連続する前置詞・副詞 |
|---|---|---|
| A car ran over the cat.(車が猫をひいた。) | The cat was run over by a car. | over by |
| She takes good care of the dog.(彼女はその犬をよく世話する。) | The dog is taken good care of by her. | of by |
| They spoke well of his work.(彼らは彼の仕事を褒めた。) | His work was well spoken of by them. | of by |
| We must do away with this rule.(この規則は廃止しなければならない。) | This rule must be done away with by us. | with by |
能動態の前置詞の直後にある名詞を受動態の主語に置く
be動詞+過去分詞に変え、副詞や前置詞を直結させる
元の文の主語を行為者として「by 目的格」で文末に置く
群動詞を分解せずに維持したまま受動態を作る3つのステップです。

コアイメージで覚える頻出群動詞
群動詞の意味を丸暗記しようとすると数が膨大になり混同します。群動詞の意味は、動詞自体の意味に組み合わさる「前置詞・副詞の空間的コアイメージ」が掛け合わされて派生しています。
基本前置詞・副詞のコアイメージ一覧
表は横にスクロールできます →
| 語 | コアイメージ | 派生する抽象概念 | 群動詞の例 |
|---|---|---|---|
| up | 上に向かう動き | 「完全に」「終わりまで」「出現・接近」 | give up(完全に投げ出す=諦める) eat up(残さず食べ尽くす) show up(現れる) |
| off | 接触面からの分離・離脱 | 「中断」「停止」「出発」 | take off(地面を離れる=離陸する) put off(予定から離す=延期する) turn off(電流を断つ=消す) |
| out | 内から外への移動 | 「露呈」「消失」「徹底的な消費」 | find out(外に出して見つける=突き止める) run out(中身が外へ尽きる=切らす) put out(火を消す) |
| away | 現在地からの継続的遠ざかり | 「消滅」「継続した隔離」 | throw away(遠くへ投げ捨てる) pass away(去り行く=亡くなる) fade away(徐々に消えていく) |
| on | 表面への接触・付着 | 「継続・進行」「作動状態」 | carry on(接触したまま進める=続ける) turn on(接点をつなぐ=電源を入れる) hold on(つかまり続ける=待つ) |
コアイメージによる理解の例
- give up: give(渡す)+ up(限界まで、完全に)→ 手持ちの選択肢を上に向かってすべて手放す →「諦める」
- put off: put(置く)+ off(現在の日程から離す)→ 予定を枠外へ離して置く →「延期する」
- look down on: look(見る)+ down(下へ)+ on(相手に焦点を当てる)→ 見下す →「軽蔑する」
- look up to: look(見る)+ up(上へ)+ to(対象に向かって)→ 相手を仰ぎ見る →「尊敬する」
次の疑問前置詞だけでなく動詞側の感覚も掴みたい場合は、基本動詞のコアイメージと例文をあわせて読むと理解が深まります。
フォーマルな動詞と言い換え比較
英語では、学術論文、公的文書、ビジネスメールなどのフォーマルな場ではラテン語・フランス語起源の1単語が好まれ、日常会話や気軽なやり取りではゲルマン語起源の群動詞が好まれる傾向があります。同じ意味を持つ動詞と群動詞の対応を把握しておくと、読解力と語彙の運用力が向上します。
表は横にスクロールできます →
| 群動詞(日常会話・インフォーマル) | 対応する1単語(公的・フォーマル) | 意味 | 例文 |
|---|---|---|---|
| put off | postpone / delay | 延期する | We had to put off the meeting. (会議を延期しなければなりませんでした。) |
| call off | cancel | 中止する | The match was called off due to heavy rain. (大雨のため試合は中止になりました。) |
| give up | abandon / surrender | 諦める・放棄する | Never give up on your dreams. (夢を決して諦めないでください。) |
| go on | continue | 続ける・続く | The noise went on all night long. (騒音は一晩中続きました。) |
| carry out | execute / implement | 実行する | They carried out the research project successfully. (彼らは研究プロジェクトを見事に実行しました。) |
| find out | discover | 見つけ出す・知る | I need to find out the truth about the issue. (その問題についての真実を知る必要があります。) |
| put up with | tolerate | 我慢する | I cannot put up with this hot weather any longer. (これ以上この暑さに我慢できません。) |
| look into | investigate | 調査する | The police are looking into the cause of the accident. (警察はその事故の原因を調査しています。) |
| turn down | reject / refuse | 拒絶する・断る | He turned down their job offer. (彼は彼らの採用の申し出を断りました。) |
| make up | invent | でっち上げる・作り出す | He made up an excuse for being late. (彼は遅刻の言い訳をでっち上げました。) |
辞書での見分け方と実践的活用法
英語辞典を引いた際、調べたい表現が「句動詞(phrasal verb)」として掲載されているか、「イディオム(idiom)」として掲載されているかを識別できると、文法的な扱いがすぐに判断できます。
辞書のレイアウトと表記の見方
- phr v(phrasal verb)欄: 主に英英辞典や学習英和辞典において、見出し動詞の解説の末尾に独立した項目として掲載されます。動詞の直後に副詞・前置詞が続く組み合わせであり、受動態にできるか、目的語を挟めるか(separable / inseparable)の文法記号([T]、[I]、[transitive] 等)が付記されています。
- idiom 欄: 動詞だけでなく名詞や形容詞、文全体を含む決まり文句が掲載されます。辞書では記号 IDM や idioms の見出しの下にまとめられています。
分離可能・分離不可能の見分け
英英辞典などの句動詞欄では、目的語を動詞と副詞の間に挟めるかどうかが以下のように示されています。
- look something up(名詞・代名詞を挟めるタイプ=分離可能: separable)
- look after somebody/something(目的語を挟めず必ず直後に置くタイプ=分離不可能: inseparable)
辞書に take something off のように something が中に入った形で記載されている場合、目的語が代名詞のときは必ず間に挟む必要があります。
句動詞(phr v)欄
- 見出し動詞の解説末尾に独立掲載
- 動詞+副詞・前置詞の組み合わせ
- 自動詞・他動詞の記号が付記
- 目的語を挟めるかが明記される
イディオム(idiom)欄
- IDMやidiomsの下に掲載
- 名詞や形容詞、文全体を含む
- 決まり文句全般がまとめられる
英語辞典における句動詞欄とイディオム欄の表記や文法情報の違いを整理しました。
続けて読む
理解度チェック
Q1. 「群動詞」と「イディオム」の関係として正しいものは?
- すべてのイディオムは群動詞である
- すべての群動詞はイディオムに含まれる
- 群動詞とイディオムは全く重ならない別概念である
- イディオムは必ず動詞を含む表現である
答えを見る
正解: B. すべての群動詞はイディオムに含まれる
イディオムという大枠の中に、1つの動詞として機能する群動詞が完全に含まれます。
Q2. 目的語が代名詞「it」のとき、文法的に正しい英文は?
- Please turn off it.
- Please turn it off.
- Please look it at.
- Please catch it up with.
答えを見る
正解: B. Please turn it off.
「動詞+副詞」型では代名詞を間に挟みます。「動詞+前置詞」型は直後に置きます。
Q3. 群動詞「laughed at」を受動態にする際の注意点は?
- 前置詞のatを落とさず残したまま受動態にする
- 前置詞のatは不要なので削除する
- laughedとatの間に主語を挟み込む
- 前置詞atをbyに置き換えて1つにする
答えを見る
正解: A. 前置詞のatを落とさず残したまま受動態にする
群動詞は一塊として扱うため、atを残したままbyを繋げて受動態を作ります。
英語の文法は、話して身につけよう。会話アプリ「モチスピ」英語を話して練習できる会話アプリ。話すたびに、発音・文法・自然さをその場で直してもらえます。無料で試す
よくある質問
- Q. 句動詞と群動詞は違うものですか?
- 同じ文法概念です。英語の「phrasal verb」の訳語であり、日本の学校教育や文法書では「群動詞」、現代の語学教育や辞典では「句動詞」と呼ばれる傾向があります。
- Q. なぜpick up itは間違いなのですか?
- pick upのupは副詞です。動詞+副詞型では、代名詞(itやthem)は軽い情報であるため副詞の前に置く原則があり、必ずpick it upの語順になります。
- Q. 前置詞が2つ重なる受動態は正しいですか?
- 正しい英文です。群動詞(例: laugh at)は1つの他動詞として扱うため前置詞atを保持し、その後に動作主を示すbyが続くためbe laughed at byとなります。
- Q. 熟語と連語(コロケーション)の違いは?
- 熟語(イディオム)は個々の単語の意味から全体の意味が推測しにくい慣用表現です。連語(コロケーション)は自然によく使われる単語の結びつき(heavy rain等)を指します。
2026年10月8日更新・モチタン辞典編集部
put off
call off
pick up
look after
take care of
run out of