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英語の語法・文法大全:違いと頻出ルール
英文法が文全体の骨格を組み立てる一般的な共通規則であるのに対し、英語の語法は個々の単語が持つ固有の結合パターンや制約を指します。単語の日本語訳だけを暗記しても得点できないのは、後ろに続く文型や前置詞のルールである語法が抜けているためです。
両者の境界を明確にし、頻出パターンを型としてストックすることで、文法・語法問題の失点を防ぐことができます。
文法と語法の決定的な違い
英語学習において「文法(Grammar)」と「語法(Usage)」は混同されがちですが、扱う領域と学習アプローチが明確に異なります。文法は主語と動詞の一致、時制、関係詞、仮定法など、あらゆる英文に広く適用される骨格の法則です。
一方で語法は、特定の動詞がどの文型をとるか、どの名詞が不可算扱いになるかなど、個別の単語ごとに決められた運用のルールを指します。
| 比較項目 | 英文法(Grammar) | 英語の語法(Usage) |
|---|---|---|
| 定義 | 文を組み立てるための普遍的な骨格・規則 | 個々の単語が持つ固有の連結ルール・制約 |
| 対象範囲 | 文全体(時制、態、関係詞、仮定法など) | 個別の語(動詞の型、名詞の可算性、前置詞など) |
| 学習アプローチ | 構造の理解と理論的な論理把握 | 単語とセットでの型・コロケーションの記憶 |
| 典型的な失点原因 | 文構造の見落とし、修飾関係の誤認 | 日本語の意味だけで単語を当てはめる誤用 |
たとえば「時制の一致」や「関係代名詞の主格・目的格の判別」は文法の領域です。一方、「discuss(〜について話し合う)は他動詞なので about を置けない」「suggest は suggest to 人 that節 の形をとり、第4文型(SVOO)をとれない」といった知識は語法の領域に分類されます。
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動詞の語法:重要パターン
語法問題の約半数は動詞の語法から出題されます。動詞を覚える際は、日本語訳だけでなく「後ろにどの品詞・文型が続くか」を必ずセットで押さえる必要があります。
1. 自動詞と間違えやすい他動詞(前置詞不要)
日本語の感覚で前置詞を補いたくなりますが、目的語を直接とる純粋な他動詞です。
- discuss the matter(その問題について話し合う):about は不要
- marry someone(誰かと結婚する):with は不要
- resemble one's father(父親に似ている):to や with は不要
- approach the station(駅に近づく):to は不要
- mention the plan(その計画について言及する):about は不要
2. 発言・伝達を表す動詞の使い分け
「言う」「話す」を意味する動詞は、後ろにとれる構文が決まっています。
| 動詞 | 主な語法パターン | 例文 |
|---|---|---|
| say | say that節 / say to 人 that節 | He said to me that he was tired.(彼は私に疲れていると言った。) |
| tell | tell 人 that節 / tell 人 to do | She told me to wait here.(彼女は私にここで待つように言った。) |
| speak | speak to [with] 人 / speak 言語 | Can you speak English?(英語を話せますか?) |
| talk | talk to [with] 人 / talk about 事 | They talked about the problem.(彼らはその問題について話し合った。) |
3. 第5文型(SVOC)で補語(C)に特徴がある動詞
目的語の後の補語に「to do」「原形不定詞」「現在分詞」「過去分詞」のどれをとるかは動詞ごとに固定されています。
- allow / enable / cause / force + O + to do:
The pass enables you to enter the building.(その通行証があれば建物に入れます。) - make / have / let(使役動詞)+ O + 原形不定詞:
My father made me clean the car.(父は私に車の掃除をさせました。) - keep / leave + O + C(形容詞・分詞):
Please leave the door open.(ドアを開けたままにしておいてください。)
前置詞なしで直接目的語
- discuss the matter
- marry someone
- resemble one's father
- approach the station
- mention the plan
日本語の感覚で前置詞を補いがちな他動詞のまとめです。
名詞と冠詞の語法:可算と不可算
英語の名詞は、可算名詞(数えられる名詞)と不可算名詞(数えられない名詞)の区別が厳密です。不可算名詞には不定冠詞(a / an)を付けられず、複数形(-s)にもできません。
1. 代表的な不可算名詞
| 単語 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| information | 情報 | an information や informations は不可 |
| advice | 助言 | 1つと数える場合は a piece of advice |
| baggage / luggage | 手荷物 | 荷物の集合体を表すため不可算 |
| furniture | 家具 | 個別の家具(机や椅子)は可算だが furniture 全体は不可算 |
| news | 知らせ・ニュース | 語尾に s があるが単数扱い |
2. 集合名詞の扱い
人や物の集まりを表す集合名詞は、単語によって単数扱いか複数扱いかが分かれます。
- police(警察):常に複数扱い(The police are investigating the incident.)
- people(人々):常に複数扱い(※「民族」の意味では可算名詞)
- family(家族):1つの集団として見る場合は単数扱い、構成員個々人に着目する場合は複数扱い
- cattle(牛の群れ):常に複数扱い(-s はつかない)
形容詞と副詞の語法:用法と分詞
形容詞には名詞を修飾する「限定用法」と、補語になる「叙述用法」があります。位置によって意味が異なる語や、片方の用法でしか使えない語が存在します。
1. 用法によって意味が変わる形容詞
| 形容詞 | 限定用法(名詞の前) | 叙述用法(補語の位置) |
|---|---|---|
| present | 現在の(the present situation) | 出席している(He was present.) |
| certain | ある〜、一定の(a certain person) | 確信している(I am certain that...) |
| late | 故〜、亡き(the late president) | 遅れた(She was late for school.) |
2. 叙述用法でしか使えない形容詞(a- で始まる語など)
alive(生きている)、asleep(眠っている)、afraid(恐れている)、aware(気づいている)などは名詞の前に直接置けません(誤:an alive animal → 正:a living animal / The animal is alive.)。
3. 感情を表す分詞形容詞の使い分け
感情を引き起こす原因には現在分詞(-ing)、感情を感じる人には過去分詞(-ed)を用います。
- The match was exciting.(その試合は刺激的・面白かった。)
- The spectators were excited.(観客たちは興奮していた。)
- His explanation was confusing.(彼の説明は分かりにくかった。)
- I was confused by his explanation.(私は彼の説明に混乱した。)
現在分詞(-ing)
- 感情を引き起こす原因に用いる
- The match was exciting.
- His explanation was confusing.
過去分詞(-ed)
- 感情を感じる人に用いる
- The spectators were excited.
- I was confused by his explanation.
原因を表す-ing形と感じる人を表す-ed形を区別します。

品詞の役割や修飾関係を整理したいときは、形容詞と副詞の違いと見分け方を確認してみましょう。
前置詞・群動詞の語法:定型パターン
動詞と前置詞が強固に結びつく定型表現(コロケーション)は、前置詞の持つ基本イメージと動詞の語法を対応させて整理します。
1. 頻出の動詞+目的語+前置詞パターン
| 分類 | 構文パターン | 意味と例文 |
|---|---|---|
| 妨害・阻止 | prevent A from doing | Aが〜するのを防ぐ Heavy rain prevented us from going out. |
| 供給・提供 | provide A with B | AにBを提供する The school provides students with lunch. |
| 剥奪・除去 | rob A of B | AからBを奪う They robbed him of his wallet. |
| 区別・識別 | tell A from B | AとBを見分ける It is hard to tell twins from each other. |
| 感謝・賞賛 | thank A for B | BのことでAに感謝する I thanked her for her kindness. |
特に剥奪の rob A of B は、steal B from A(AからBを盗む:目的語に盗まれる「物」が来る)との対比が頻出します。
目的語の位置や語順のルールを例文で確認したいときは、群動詞の語順と代名詞の位置が参考になります。
文法ルールの要約:接続詞・関係詞・仮定法
語法が単語レベルの結合ルールであるのに対し、複文を組み立てる文法領域の代表が「接続詞」「関係詞」「仮定法」です。これらは文全体の構造を解析するための必須基礎となります。
1. 接続詞と前置詞の構造的違い
意味が似ていても、後ろに「節(主語+動詞)」が来るか「名詞句」が来るかで選択が決まります。
- although / even though(接続詞+S+V) vs despite / in spite of(前置詞+名詞)
- while(接続詞+S+V) vs during(前置詞+名詞)
- because(接続詞+S+V) vs because of(前置詞+名詞)
2. 関係詞の空所補充判別
関係詞を選ぶ際は、先行詞の種類と、後ろの節に欠落している要素(主語・目的語・補語・所有格)を確認します。
- 後ろが不完全な文(主語や目的語が欠落):関係代名詞(who, which, that)
- 後ろが完全な文(欠落なし):関係副詞(where, when, why)または 前置詞 + 関係代名詞
3. 仮定法の時制規則
現在の事実に反することは「過去形」、過去の事実に反することは「過去完了形」を用います。
- 仮定法過去:If + S + 過去形, S + would [could/might] + 原形不定詞
- 仮定法過去完了:If + S + had + 過去分詞, S + would [could/might] + have + 過去分詞
- 混合型:If + S + had + 過去分詞, S + would + 原形不定詞 now(過去の条件が現在に影響)
接続詞(+S+V)
- although / even though
- while
- because
- 後ろに節(主語+動詞)が続く
前置詞(+名詞)
- despite / in spite of
- during
- because of
- 後ろに名詞句が続く
意味が似ていても直後に続く文構造が異なります。
次の疑問仮定法の基本ルールを理解したあと実際に解けるか試すなら、仮定法の練習問題・演習で定着度を確かめてみましょう。
語法問題を解く3つの着眼点ステップ
語法問題で失点しないためには、文の訳を考える前に構造と語の組み合わせを判定する一貫した手順が必要です。
- ステップ1:動詞の語法・結合形式の確認
空所の直前にある動詞に注目し、後ろに「前置詞」「名詞(目的語)」「that節」「to do」のどれを要求する動詞かを判定します。例えば動詞が suggest なら、目的語に人が直接来られないため suggest to 人 または suggest that節 を探します。 - ステップ2:目的語・補語の形状チェック
動詞の後ろに置かれている要素が「動名詞(-ing)」か「不定詞(to do)」か、あるいは前置詞を伴っているかを確認します。avoid や postpone なら動名詞、decide や refuse なら不定詞を選びます。 - ステップ3:文全体の主述・態・時制の整合性
語法の型を当てはめた後、主語との意味関係(能動態か受動態か)、修飾詞との一致、時制が文脈に合致しているかを最終点検します。
動詞が前置詞・that節・to do等のどれを要求するか判定
動名詞か不定詞か、前置詞を伴っているかなどを確認
主語との主述・態・時制が文脈に合致するか最終点検
文の和訳を考える前に構造と組み合わせを確認します。
日本人が間違えやすい語法トラップ10選
試験で繰り返し狙われる、日本語の語感による誤用の典型例をまとめました。
表は横にスクロールできます →
| 番号 | 誤用パターン | 正しい表現 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 1 | explain him the reason | explain the reason to him | explain は第4文型(SVOO)をとれず、explain 事 to 人 とする |
| 2 | marry with her | marry her | marry は他動詞のため前置詞 with は不要 |
| 3 | discuss about the topic | discuss the topic | discuss は他動詞のため前置詞 about は不要 |
| 4 | hope you to succeed | hope that you will succeed | hope + O + to do の構文は存在しない(want / wish なら可) |
| 5 | suggest me to go | suggest that I (should) go | suggest + O + to do は不可。that節 または動名詞をとる |
| 6 | many informations | much information | information は不可算名詞。複数形や many による修飾は不可 |
| 7 | rob a wallet from him | rob him of his wallet | rob の目的語は「人・場所」。盗む「物」は of の後ろに置く |
| 8 | graduate high school | graduate from high school | graduate は「卒業する」の意味では自動詞のため from が必要 |
| 9 | I am boring. | I am bored. | 退屈している感情を表す場合は受動の過去分詞 bored を使う |
| 10 | reach to the station | reach the station | reach は他動詞のため前置詞 to は不要(arrive at との混同に注意) |
文法と語法を両立する効率的なノート術
文法は「理屈の理解」で身につきますが、語法は「コロケーションの定着」が必要です。両者を混ざり合わない形で整理するための学習法を実践します。
1. 単語単体ではなく「3語以上のフレーズ」でストックする
単語帳の日本語訳だけを眺めるのをやめ、ノートには必ず動詞と結びつく前置詞や構文をセットで記録します。
- remind だけでなく、remind A of B(AにBを思い出させる)として書き出す
- prevent だけでなく、prevent A from -ing(Aが〜するのを妨げる)として例文とともに記録する
2. 構文辞書を活用した自作用例集の作成
問題を解いて間違えた語法は、信頼できる学習英和辞典や英英辞典を引き、記載されている文型記号([+ to do], [+ that] など)を確認します。辞書に載っている最も簡潔な例文を1行だけノートに書き写し、音読を繰り返すことで、文法力と語法力の両方を隙間なく高めることができます。
単語単体ではなく前置詞や構文とセットで記録する
辞書を引いて[+ to do]などの文型記号を確かめる
簡潔な例文を1行書き写し音読を繰り返して定着させる
語法を定着させるためのノート作成のポイントです。
続けて読む
理解度チェック
Q1. 本文における「文法」と「語法」の違いとして正しいものは?
- 文法は個別の単語の規則で、語法は文全体の骨格である
- 文法は英文全体の普遍的規則で、語法は単語固有の運用ルール
- 文法は前置詞の選択のみを扱い、語法は時制の一致を扱う
- 文法は単語の暗記であり、語法は理論的な論理把握である
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正解: B. 文法は英文全体の普遍的規則で、語法は単語固有の運用ルール
本文では、文法は文全体の骨格・規則であり、語法は個々の単語ごとに決められた運用のルール・制約であると説明されています。
Q2. 本文の内容に基づき、英文として正しいものはどれですか?
- We discussed about the problem.
- She married with a doctor.
- They robbed him of his wallet.
- The police is investigating the case.
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正解: C. They robbed him of his wallet.
robは「rob A of B」の形で使い、discussとmarryは他動詞のため前置詞が不要です。またpoliceは常に複数扱いとなります。
Q3. 名詞「information」の語法として正しいものは?
- 不可算名詞のため、an informationとはできない
- 可算名詞のため、informationsと複数形にできる
- manyで修飾して、many informationと表現できる
- 集合名詞のため、常に複数形として扱われる
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正解: A. 不可算名詞のため、an informationとはできない
informationは代表的な不可算名詞であり、不定冠詞のa/anを付けたり複数形にしたりすることはできず、manyでの修飾も不可です。
よくある質問
- Q. 文法問題集を解くだけで語法も身につきますか?
- 一般的な総合問題集には語法章が含まれますが、単語個別の型を網羅するには不足しがちです。動詞や名詞の用法を辞書で引き、フレーズ単位で整理する学習の併用が不可欠です。
- Q. 語法とコロケーション(連語)の違いは何ですか?
- 語法は文型や前置詞との結びつきなど文法的な制約・規則を指します。コロケーションは「自然な語の相性の良さ(heavy rainなど)」を含む、より広範な慣用表現全般を指します。
- Q. TOEICや大学入試で語法問題を見抜くコツは?
- 空所の前後に「前置詞」「不定詞」「動名詞」「that節」がある場合、動詞や形容詞の語法問題である可能性が極めて高いため、文全体の和訳より先に型の適合性を確認します。
- Q. 語法を暗記するときのおすすめ手順は?
- 意味ごとに動詞をグループ化(供給・妨害・伝達など)し、共通する前置詞や構造をまとめた上で、主語・動詞・目的語を含む短い例文を声に出して反復するのが最も効果的です。
2026年10月9日更新・モチタン辞典編集部
discuss
marry
explain
suggest
information
advice