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come what mayの文法構造と倒置の正体
come what mayは「たとえ何が起ころうとも」という意味を表す譲歩の副詞表現です。動詞の原形comeで始まる理由は、古い英語の接続法現在(仮定法現在)による倒置、またはLet what may come, comeの短縮形として説明されます。
what mayは関係代名詞節で、末尾の動詞comeが省略された主語の塊であり、全体で副詞節の働きをします。
come what mayの基本構造と品詞
come what mayは、文全体を修飾する副詞節(慣用的な副詞句)として機能します。語義としてはWhatever may happen(何が起きようとも)やNo matter what happens(たとえ何があっても)と同じ譲歩を表します。
文法学習者が最初につまずくのは、「なぜ文頭に動詞の原形comeが置かれているのか」「なぜ文末が助動詞mayで途切れて見えるのか」という2点です。
文法要素の分解
- come:述語動詞(接続法現在の動詞、あるいは命令形)。
- what:先行詞を含む関係代名詞(that which や anything that に相当)。
- may:推量を表す助動詞(「〜かもしれない」「〜だろう」)。
- mayの後ろ:動詞comeの省略。
直訳を組み立てると、「起こるかもしれないものが、起これ(起ころうと)」となり、これが転じて「何が起ころうとも」「どんな事態になろうとも」という強い覚悟や譲歩を表す定型表現として定着しました。
Come what may, I will stand by your side.何が起ころうとも、私はあなたの味方でいます。
述語動詞の先行と関係詞節、動詞省略で構成される形です。
語順の謎を解く2つの文法説
come what mayがなぜこの語順になったのかについては、歴史的文法論において主に2つの有力な学説が存在します。どちらの解釈をとっても「譲歩」に至る論理は破綻しませんが、英語史の観点からは接続法現在の倒置説が特に有力視されています。
| 分類 | 学説A:接続法現在の倒置説 | 学説B:使役動詞Letの省略説 |
|---|---|---|
| 元の文構造 | What may come, come.(接続法) | Let what may come, come. |
| 文法現象 | 主語節と述語動詞の倒置+動詞重複の省略 | 使役動詞letの脱落+動詞重複の省略 |
| 動詞comeの形 | 接続法現在(仮定法現在)の動詞原形 | 使役動詞の目的語に続く原形不定詞 |
| 直訳のニュアンス | 起きてよいものが起これ(何であれ) | 起こり得ることを起こるがままにさせよ |
学説A:接続法現在(仮定法現在)の倒置説
英語史において、願望や譲歩を表す際に動詞の原形(接続法現在)が用いられていました。現代英語でもLong live the King!(王よ永遠なれ)やGod bless you!(神の祝福があらんことを)に残っている形式です。
この説では、元の構造を [What may come] [come].(生じるかもしれないものが、生じよ)と捉えます。主語である what may come に対して、動詞 come が文頭へ倒置され、さらに同じ動詞の繰り返しを避けるために助動詞 may の後ろの come が省略されたと考えます。
- 基本構造:What may come, come.
- 動詞の前置(倒置):Come [what may come].
- 重複動詞の省略:Come [what may].
学説B:使役動詞Letの省略・命令文説
もう一つの学説は、祈願や許容を表す使役構文 Let + O + 原形不定詞 から Let が脱落したとする見解です。
- 基本構造:Let what may come, come.(起こり得ることを、起きるままにさせよ)
- 先頭の Let が慣用的に脱落:[What may come] come.
- リズムや修辞的強調による倒置と末尾省略:Come what may.
シェイクスピアの戯曲『マクベス』第1幕第3場には、Come what come may, time and the hour runs through the roughest day.(何が起ころうと起これ、時はどれほど荒れた日も過ぎ去っていく)という台詞があります。
この古い形からも、動詞の重複を伴いながら語順が固定化していった過程が確認できます。
What may come, come.(原形動詞)
Come [what may come].(倒置が発生)
Come [what may].(定型表現として定着)
元の構造から倒置と省略を経て定着した流れを示します。
次の疑問構文の核となる may の本来のニュアンスを深めたい方は、助動詞mayの意味と使い方まとめで基本の用法を確認できます。
書き換えパターン公式シート
入試や資格試験の英文法問題では、come what may を関係代名詞節や譲歩の副詞節へ書き換える問題が頻出します。文法的な等価関係を把握しておくと、読解・英作文の双方で役立ちます。
| 形式 | 書き換え表現 | 文法的な特徴 |
|---|---|---|
| 複合関係代名詞 | whatever may come | whatever が主語節を形成する譲歩副詞節 |
| no matter + 疑問詞 | no matter what may come | no matter what で譲歩を表す標準表現 |
| 一般動詞(happen) | no matter what happens | 最も口語で多用される平易な譲歩構文 |
| 接続詞(even if) | even if anything happens | 条件節による言い換え(意味上の同等表現) |
書き換えの実例
文頭に置く場合と文末に置く場合の双方で、構造が完全に一致することを確認してください。
- Come what may, I will stand by your side.
(何が起ころうとも、私はあなたの味方でいます。) - = Whatever may come, I will stand by your side.
- = No matter what happens, I will stand by your side.
文法問題で問われた際は、「主語+動詞」の構造を復元できるかどうかが正誤の分かれ目となります。come what may 自体には主語と助動詞が含まれているため、後ろに接続詞 if や that などを補う必要はありません。
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文頭と文末での配置とカンマ規則
come what may は副詞節相当の働きをするため、文頭・文末のいずれにも置くことができます。文脈におけるニュアンスや句読点(カンマ)の扱いには一定の原則があります。
文頭に置く場合:覚悟や前提の明示
文頭に置く場合、主節より先に「たとえどんな困難があっても」という決意や前提を提示する効果が生まれます。主節との境界を明瞭にするため、通常は直後にカンマを置きます。
Come what may, we must complete this project by Friday.
(何が起ころうとも、私たちは金曜日までにこの計画を完了させなければならない。)
文末に置く場合:決意の余韻と強調
主節の後に置く場合、述べた行動や誓約に対して「いかなる障害があっても撤回しない」という強い念押しを加えることができます。文末ではカンマを伴う場合と伴わない場合の両方があります。
I will defend my beliefs come what may.
(何があろうと、私は自分の信念を守り抜く。)
カンマを置く(I will defend my beliefs, come what may.)と、挿入句としての独立性が強まり、口調に間(ポーズ)が生まれてより劇的な響きになります。
文頭に置く場合
- 覚悟や前提を先に明示する
- 主節との境界のため直後にカンマを置く
- 例: Come what may, we must complete...
文末に置く場合
- 決意への強い念押しや余韻を加える
- カンマあり・なしの両方がある
- カンマを置くと独立性が高まり劇的な響きに
文頭と文末で異なるニュアンスと句読点の扱いを比較します。

類似表現とのニュアンス・形式比較
「何があっても」を意味する英語表現には複数の選択肢があります。語感の違いや形式度(フォーマリティ)を整理して使い分けることが求められます。
表は横にスクロールできます →
| 表現 | 形式度 | 響き・語感 | 主な使用場面 |
|---|---|---|---|
| come what may | 文語的・格式高い | 運命を受け止める重み・悲壮な決意 | 演説、文学、重大な誓約 |
| no matter what | 中立〜日常語 | 客観的で明快な譲歩 | 日常会話、ビジネス全般 |
| whatever happens | 口語的 | 直接的で平易な表現 | 同僚や友人との会話 |
| at all costs | 中立〜公的 | 手段を選ばず達成する能動的決意 | 業務上の必須目標、危機対応 |
| rain or shine | 口語的 | 天候や外的障害に左右されない | イベント開催、日課の継続 |
意味の混同に注意すべき点
特に come what may と at all costs(どんな犠牲を払っても)は混同されやすい表現です。
- come what may:外部からどんな災難や困難が降りかかってきても、動じずに立ち向かう(受容と覚悟)。
- at all costs:目的を果たすためにどれほどの代償・労力を払っても構わない(手段の不問)。
動詞原形で始まる譲歩構文の一覧
英語には come what may と同様に、動詞の原形から始まる特殊な譲歩・倒置構文がいくつか存在します。これらは古英語・中英語の接続法や倒置が現代英語に化石化して残った慣用句です。
表は横にスクロールできます →
| 構文タイプ | 代表表現 | 文法構造 | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 動詞+what | come what may | 接続法動詞 come + 関係詞節 | 何が起ころうとも |
| 動詞+what | say what you will | 命令・接続法 say + 目的語節 | 人が何と言おうとも |
| Be + 主語 + 補語 | be that as it may | 接続法 be の倒置(though that may be...) | それはそうかもしれないが |
| Be + A or B | be it large or small | whether節の省略・接続法倒置 | 大きかろうと小さかろうと |
| 動詞原形 + as + S + 助動詞 | try as he might | 動詞前置 + 譲歩の as | どれほど努力しても |
| 動詞原形 + as + S + 助動詞 | say as you like | 動詞前置 + 譲歩の as | 好き勝手に言ったところで |
各構文の解説
say what you will(または say what you like)は、「あなたが何を言おうと(私の評価は変わらない)」という文脈で用います。
Say what you will about his methods, he achieved great results.
(彼の手法について何と言おうと、彼が大きな成果を出したことは確かだ。)
be that as it may は、相手の意見を「たとえそれが事実であるにせよ」と一度受け止めた上で反論するディスカッション表現です。接続法 be が文頭に出ており、書き改めると Even if that may be as it is という意味構造を持ちます。
try as he might(または try as he may)は、過去の奮闘にもかかわらず望む結果が得られなかった場面で多用されます。
Try as he might, he could not open the locked door.
(どれほど試みても、彼は施錠された扉を開けることができなかった。)
助動詞のニュアンスの違いを確認したいときは、may・might の違いを参考にしてください。
次の疑問動詞が文頭に来る特殊な表現としては、語順に特徴があるHow come?の意味と使い方・語順もあわせて押さえておくと便利です。
使用上の注意点と大げさな誤用例
come what may は非常に劇的で重厚な響きを持つ表現です。日常会話の軽微な予定や日常の雑務に対して使うと、大げさで不自然な印象を与えてしまいます。
日常場面での不自然な例と改善例
- 不自然な例:
× I will go to the supermarket tonight, come what may.
(買い物に行く程度の日常行動に「何が起ころうとも」を用いると、重大な悲壮感が漂ってしまい不自然です。) - 自然な口語への修正:
○ I'll go to the supermarket tonight no matter what.
○ I'm definitely going to the supermarket tonight.
文法面での間違いやすいNGパターン
語順が固定化したイディオムであるため、自己流の変更を加えることはできません。
- 語順の入れ替えは不可:
× May come what... / × What may come...(単独の副詞句としては不適)
語順は必ず come what may で固定です。 - 助動詞の変更は不可:
× come what can / × come what will
可能性・推量を表す古風な may を他の助動詞に差し替えることはできません。 - 余計な主語や接続詞を補わない:
× come what it may / × if come what may
what 自体が may の主語を兼ねているため、代名詞 it などを挿入すると構文が崩れます。
買い物など軽微な予定に使うと大げさで不自然になります。
語順は固定されており、May come what等は使えません。
推量の古風なmayをcanやwillに差し替えはできません。
whatが主語を兼ねるためitやifの挿入は構文崩壊となります。
文法的な固定性と使用場面の重みに関する注意点です。
実践で使える自然な例文集
come what may が本来の重みを発揮する、文脈に即した自然な例文です。
ビジネス・プロジェクト推進
The executive team decided to proceed with the launch, come what may.
(経営陣は何があろうとも発売を進めることを決断した。)
重大な方針転換を伴わない強いコミットメントを客観的に記録する文脈に適しています。
約束・長期的支援
Come what may, our organization will continue to support the affected communities.
(どんな事態になろうとも、当組織は被災地域への支援を継続します。)
公式な声明やスピーチで、長期的な継続性を誓約する表現として機能します。
個人の信念・人生の覚悟
She vowed to pursue her medical career, come what may.
(彼女は何があろうと医師への道を歩み続けることを誓った。)
容易には揺らがない人生の決意を描写するのに適しています。
続けて読む
理解度チェック
Q1. come what may の文法的な説明として正しいものは?
- 文全体を修飾する副詞節(副詞句)として機能する
- 直後に接続詞 that を補って使う名詞節である
- 助動詞 may の後ろには動詞 happen が省略されている
- 文頭の come は過去分詞が前置されたものである
答えを見る
正解: A. 文全体を修飾する副詞節(副詞句)として機能する
本文では、文全体を修飾する副詞節(慣用的な副詞句)として機能し、may の後ろには動詞 come が省略されていると説明されています。
Q2. 次のうち、本文に照らして文法的に正しい英文はどれ?
- Come what may, I will stand by your side.
- May come what, I will stand by your side.
- Come what will, I will stand by your side.
- If come what may, I will stand by your side.
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正解: A. Come what may, I will stand by your side.
語順の入れ替え、助動詞の変更(willなど)、余計な接続詞(ifなど)の挿入は不可とされており、Come what may が正しい形です。
Q3. come what may と at all costs のニュアンスの違いは?
- 前者は日常の雑務に使い、後者は文学作品でのみ使う
- 前者は外的困難を受け止める覚悟、後者は手段を選ばぬ決意
- 前者は天候の障害にのみ用い、後者は業務全般に用いる
- 前者は手段を問わない決意、後者は受容と覚悟を表す
答えを見る
正解: B. 前者は外的困難を受け止める覚悟、後者は手段を選ばぬ決意
come what may は外部の災難に動じず立ち向かう「受容と覚悟」、at all costs はどれほどの代償を払っても達成する「手段の不問」を表します。
よくある質問
- Q. come what mayの品詞は何ですか?
- 文全体を修飾する「譲歩の副詞節(または慣用的な副詞句)」です。文頭や文末に置かれ、文の主節に対して条件や前提を付け加えます。
- Q. what mayの後ろは何が省略されていますか?
- 動詞comeが省略されています。完全な形はwhat may comeであり、同一文内で動詞comeが重複するのを防ぐために末尾が省かれています。
- Q. come what willと言い換えても通じますか?
- 現代英語の固定慣用句としては認められず、通常は誤りとみなされます。助動詞は必ずmayを用い、come what mayの形で使用してください。
- Q. TOEICや日常会話でも使えますか?
- 文語的で重厚な表現のため、日常会話ではno matter whatが好まれます。ただし公式演説や格調高い文章、読解問題などでは頻出します。
- Q. 文頭に置くときカンマは必須ですか?
- 文頭に置く場合は主節との切れ目を示すためにカンマを打つのが通例です。文末に置く場合はカンマの有無どちらでも構いません。
2026年10月8日更新・モチタン辞典編集部