モチタン辞典 › 読みもの › 発音 › 短縮形・助動詞の英語発音まとめ

短縮形・連語の発音ルールと一覧

短縮形・連語の発音ルールと一覧

英語の短縮形や連語の発音は、単語同士が滑らかにつながる連結(リンキング)や脱落(リダクション)という英語本来の音声変化規則に基づいています。文字通りのスペルで読まずに、弱形母音やダークL、有声音・無声音の同化ルールを理解することで、ネイティブスピーカーの自然な発音と聞き取りが同時に身につきます。

なぜ英語は短縮や連語で音が変化するのか

英語は一定の間隔で強いアクセントが置かれる「強勢拍リズム(ストレス・タイミング)」を持つ言語です。意味を伝える上で最も重要な内容語(名詞・動詞・形容詞など)が強く長く発音される一方、文法的な関係を示す機能語(代名詞・be動詞・助動詞・前置詞など)は弱く短く発音されます。

このリズムを保つために、機能語の母音は曖昧母音の /ə/(シュワ)に変化(弱化)し、前後の子音とくっついたり(連結/リンキング)、発音しにくい子音が消えたり(脱落/リダクション)します。

さらに、息だけを出す無声音と喉を震わせる有声音が連続すると、調音を楽にするために前後の音が引っ張られる「同化現象」が起きます。

アポストロフィ(')で書き表される文法的な短縮形(contraction)だけでなく、表記上は分かれている単語同士が連なって発音される連語変化(connected speech)も、すべてこの「最小限のエネルギーで滑らかにリズム刻む」という同じ音声メカニズムから発生しています。

英語の音声変化メカニズム
音声変化の要因

リズムと強弱

  • 強勢拍リズム
  • 内容語を強く発音
  • 機能語を弱く発音

省エネの音声現象

  • 曖昧母音への弱化
  • 連結(リンキング)
  • 脱落(リダクション)
  • 同化現象

強勢拍リズムを保つために機能語が弱化し、連結・脱落・同化が起こります。

主語+be動詞の短縮形と発音ルール

主語とbe動詞の短縮形では、語末の 's が直前の音によって濁るか濁らないかが厳密に決まります。直前が無声音(声帯が震えない音:/p/, /t/, /k/, /f/, /θ/ など)のときは無声音の /s/ になり、直前が有声音(母音や /b/, /d/, /g/, /v/, /m/, /n/, /r/ など)のときは有声音の /z/ に変化します。

表は横にスクロールできます →

短縮形元の形発音記号カタカナ表記の目安舌の位置と発音のコツ
it'sit is/ɪts/イツ語末の /t/ と /s/ を同時に破裂させるように息を強く出します。直前が /t/(無声音)なので濁りません。
we'rewe are/wɪr/ または /wɪə/ウィア/ウィア(アール)口をすぼめて「ウ」から始まり、軽く開いて「イ」と「ア」の間を出しながら舌を奥に引きます。
you'reyou are/jʊr/ または /jɔːr/ユア/ヨア口をすぼめすぎず、顎を少し下げて「ユ」から舌を奥へ引いて /r/ の構えを作ります。your と同音です。
there'sthere is/ðeərz/ または /ðeəz/ゼアズ舌先を上下の前歯で軽く挟んで「ゼ」と出し、語末は直前が母音(有声音)のため喉を震わせて「ズ」と濁ります。
there arethere are/ðer ər/ または /ðərɑːr/ゼラァ表記は短縮されませんが、there の語末 /r/ と are の母音が連結(リンキング)して一続きに発音されます。

例文で実際の使われ方を確認しましょう。

次の疑問短縮形の It's と That's は発音だけでなく意味の使い分けも迷いやすいため、It'sとThat'sの違いで状況に応じた選び方を整理できます。

willの短縮形とダークLの発音

代名詞や指示詞に 'll(will)が付いた短縮形では、語末に「ダークL(dark L / [ɫ])」と呼ばれる曖昧なLの音節が現れます。

通常のクリアL(light L)は舌先を上前歯の付け根の歯茎にしっかり当てますが、ダークLは舌の奥(舌根)を軟口蓋(喉の奥側)へ引き上げながら、日本語の「オ」や「ウ」に近い曖昧な音を喉の奥で響かせます。舌先は歯茎に届かなくても構いません。

表は横にスクロールできます →

短縮形元の形発音記号カタカナ表記の目安口の形と舌の動かし方
I'llI will/aɪl/アイル/アル「アイ」と言った後、唇を脱力させたまま舌の奥を持ち上げ、喉の奥で「ル(オに近い)」を響かせます。早口では「アル」に近くなります。
you'llyou will/juːl/ユール「ユー」と唇を少し突き出したあと、喉の奥を狭めるようにしてダークLに移行します。日本語の「ユル」とは異なり、母音を平たく伸ばしません。
that'llthat will/ˈðæt.əl/ または /ˈðæd.əl/ザドゥル/ザラル/t/ が母音に挟まれるためフラップT(日本語のラ行のような軽い音)化し、喉の奥で「ル」を鳴らします。2音節のリズムになります。

実際の会話での文例です。

Nathan英語の発音は、話して直してもらおう。会話アプリ「モチスピ」英語を話して練習できる会話アプリ。話すたびに、発音・文法・自然さをその場で直してもらえます。無料で試す

否定短縮形の発音と肯定形との識別法

否定の短縮形は、文字の脱落だけでなく母音そのものが変化するため、リスニングでの誤認が非常に起きやすい箇所です。特に won't、don't、can't は、肯定形とのピッチやストレスの違いを理解することが聞き分けの鍵となります。

won't と want の聞き分け

will not の短縮形である won't の母音は二重母音の /oʊ/(オウ)です。口を「オ」から「ウ」へとすぼめる動きが入ります。

一方、動詞の want の母音はアメリカ英語では口を縦に大きく開ける /ɑː/(アに近いオ)です。また、イギリス英語の won't は /wəʊnt/、want は /wɒnt/ となり、唇の丸め方と舌の位置が異なります。

can と can't の聞き分けルール

アメリカ英語の日常会話では、肯定の can と否定の can't の語末 /t/ がほとんど破裂せず脱落(ストップT)するため、/t/ の有無だけで聞き分けるのは困難です。見分ける基準は「強勢(アクセント)」と「母音の音質」です。

表は横にスクロールできます →

単語元の形発音記号カタカナ表記の目安聞き分け・発音のポイント
won'twill not/woʊnt/ウォウント二重母音 /oʊ/ をしっかり発音し、語末の /t/ は舌を上あごに押し当てて息を止めます。
don'tdo not/doʊnt/ドウント「ドント」ではなく「ドウン」と二重母音で伸ばし、語末の /t/ は破裂させずに息を止めます。
can'tcannot/kænt/(米)
/kɑːnt/(英)
キャント(米)
カーント(英)
アメリカ英語では広く口を開けた /æ/ で強く長く発声します。イギリス英語では澄んだ長母音 /ɑː/ になります。
ain'tam not / is not / are not / has not / have not/eɪnt/エイント二重母音 /eɪ/ で「エイン」と発音します。非常にカジュアルな否定表現です。
can と can't の聞き分け基準

can(肯定)

  • 助動詞として弱化する
  • 発音記号は /kən/ で短く読む
  • 強勢は直後の動詞に置く

can't(否定)

  • 否定語として強勢が乗る
  • 発音記号は /kænt/ で強く発音
  • 語末の /t/ は脱落しやすい

語末のtの有無ではなく、アクセントの有無と母音の違いで識別します。

短縮形・助動詞の英語発音まとめのイメージ

動詞・助動詞の連語変化と弱形ルール

日常会話で頻出する動詞や助動詞の後ろに to が続く場合、調音を容易にするために前後の子音が融合・無声化します。

want to と wanted to の音声変化

want to は会話では wanna(/ˈwɑːnə/ または /ˈwʌnə/)へと変化します。want の語末 /t/ が脱落し、前後の母音に挟まれた /n/ が後ろの曖昧母音 /ə/ に直結します。


過去形の wanted to の場合、アメリカ英語では母音と母音に挟まれた /t/ が脱落する現象(Tの脱落)が起きやすく、「ウォニドゥ・トゥ」からさらに弱化して「ウォネダ(/ˈwɑːnɪdə/)」のように発音されます。

used to と have to の無声化現象

used to と have to では、後ろにある to の頭子音 /t/(無声音)に引っ張られ、前の単語の末尾子音が有声音から無声音に変化します。

表は横にスクロールできます →

連語フレーズ音声変化後の表記発音記号カタカナ表記の目安発音のメカニズム
want towanna/ˈwɑːnə/ワナ/t/ が脱落し、/n/ と弱形母音 /ə/ が結合します。
wanted to—/ˈwɑːnɪd tu/ または /ˈwɑːnədə/ウォニドゥトゥ/ウォネダ/t/ が脱落して語尾が弱化し、一気に発音されます。
used to—/ˈjuːs tu/ユーストゥ語末が /zd/ から /s/ に無声化し、後ろの /t/ と一体化します。
have to—/ˈhæf tu/ハフトゥ語末の /v/ が無声音の /f/ に同化します。三人称単数の has to も /hæstu/(ハストゥ)になります。
gottagot to / have got to/ˈɡɑːtə/ または /ˈɡɑːdə/ガタ/ガラhave got to の have が落ち、/t/ がフラップ化して「ガラ」に近くなります。
go to—/ˈɡoʊ tə/ または /ˈɡoʊ də/ゴウトゥ/ゴウラ母音に挟まれた /t/ が有声化し、軽いラ行のような音に変化します。

次の疑問wanna 以外にも会話で崩れやすい表現を使い分けたいなら、wanna・gonna・gottaの違いと意味を押さえておくと便利です。

助動詞+haveの発音メカニズム

should have、could have、would have のような助動詞+完了形の組み合わせは、会話では助動詞の語尾に 've が付いた形(should've など)として発音されます。

このとき、have は完全に弱化し、子音 /h/ が脱落して曖昧母音と唇を軽く触れ合わせるだけの /əv/(エヴ/アヴ)に変化します。さらに後ろに子音が続く場合、語末の /v/ すら脱落して「シュダ(/ʃʊdə/)」のように発音されることも珍しくありません。

表は横にスクロールできます →

短縮形元の形発音記号カタカナ表記の目安ネイティブの連結リズム
should'veshould have/ˈʃʊd.əv/シュダヴ/シュドゥヴ「シュッド・ハヴ」と区切らず、/d/ と /əv/ をつなげて一息で「シュダヴ」と言います。
could'vecould have/ˈkʊd.əv/クダヴ/クドゥヴ「クッド・ハヴ」ではなく「クダヴ」と発音します。後ろに子音が来ると「クダ」になります。
would'vewould have/ˈwʊd.əv/ウダヴ/ウドゥヴ口をすぼめた「ウ」から始まり、舌を下げながら「ウダヴ」と軽く添えます。

会話での使用例です。

次の疑問音の変化だけでなく文脈ごとの意味合いも確認したいときは、助動詞+have+過去分詞の意味・用法を合わせて押さえておきましょう。

日常頻出連語のリンキング徹底解説

単語の切れ目を感じさせずに一続きの塊として発音される定型フレーズには、英語特有のリンキング規則が働いています。日本人が聞き落としやすい重要フレーズを整理します。

got it と I got it のフラップ化

got it(了解、わかった)では、got の末尾子音 /t/ が前後の母音(got の母音と it の母音)に挟まれます。アメリカ英語ではこの位置の /t/ は舌先を上前歯の裏に素早く当てるだけの有声破裂音(フラップT)に変わり、「ガティット」ではなく「ガリッ(/ˈɡɑːd.ɪt/)」のように聞こえます。


主語がついた I got it(/aɪ ˈɡɑːd.ɪt/)は「アイ・ガリッ」と発音されます。

here you are と how about you の口蓋化・連結

子音で終わる語と you(半母音 /j/ で始まる)が連続すると、音が滑らかにつながるか、新しい音へと変化(口蓋化)します。

of course と the year / the one の盲点

会話での自然なリズムを身につけたいときは、英会話の総合ガイドを参考にしてください。

短縮形・連語のTPO別使用基準マトリクス

すべての短縮形や口語表現がビジネスや公の場で許容されるわけではありません。表記(スペル)と発音の両面において、適切な場面を理解しておく必要があります。

表は横にスクロールできます →

表現品詞・元の形フォーマル文書/公的スピーチビジネスメール/日常会話映画・スラング・親しい間柄
I'll / we're / it's主語+助動詞・be動詞文章では非推奨(発話は可)使用可能(標準的)使用可能(標準的)
should've / would've助動詞+have文章では非推奨(発話は可)使用可能(標準的)使用可能(標準的)
have to / used to動詞連語(/hæftu/ 発音)使用可能(発音も標準)使用可能(標準的)使用可能(標準的)
wanna / gottawant to / got to の口語形使用不可(発音・表記とも)発話のみ可(文字は避ける)使用可能(発音・表記とも)
ain't否定の俗語使用不可(重大な文法違反)使用不可(避けるべき)使用可能(親しい仲間内のみ)

ain't はアメリカ英語の口語や楽曲の歌詞などで頻出しますが、教養がない印象を与えるリスクがあるため、ビジネスや資格試験の面接では使用を控えてください。

一方、have to を「ハフトゥ」と読んだり、should've を「シュダヴ」と発音することは、ビジネスの口頭コミュニケーションでも完全に標準的な自然な英語です。

's と 'd の文法的な品詞判別ルール

文章を読んだりリスニングをしたりする際、アポストロフィで短縮された記号がどの単語を表しているのか迷うことがあります。これらは直後に続く品詞・動詞の形を確認することで判別可能です。

's が is か has かを見分ける方法

'd が would か had かを見分ける方法

'd の発音は直前の代名詞と合わさって軽い /d/ の音になりますが、文法的な意味は後ろの動詞の形で判断します。

's と 'd の文法判別ルール
短縮形の品詞判別

's の見分け方

  • 現在分詞/形容詞なら is
  • 過去分詞なら has
  • 名詞が続けば所有格

'd の見分け方

  • 動詞の原形なら would
  • 動詞の過去分詞なら had
  • betterが続くなら had

アポストロフィ直後に続く語の品詞や動詞の形から元の形を判別できます。

続けて読む

発音の疑問をすべて見る「発音」のまとめ

理解度チェック

Q1. 短縮形の 'd が would を表している英文はどれですか?

  1. I'd like a coffee.
  2. I'd seen him before.
  3. She'd left already.
  4. You'd better hurry.
答えを見る

正解: A. I'd like a coffee.
直後に動詞の原形が続く場合の 'd は would の短縮形です。過去分詞や better が続く場合は had の短縮形となります。

Q2. アメリカ英語で can と can't を聞き分ける基準は何ですか?

  1. 文頭のピッチの高さ
  2. 語末の /t/ の破裂音の強さ
  3. 強勢(アクセント)と母音の音質
  4. 前後の子音の同化現象の有無
答えを見る

正解: C. 強勢(アクセント)と母音の音質
アメリカ英語では語末の /t/ が脱落しやすいため、弱化するか強く長めに発音されるかという「強勢」と「母音の音質」で見分けます。

Q3. have to が「ハフトゥ」と発音される理由として正しいものはどれ?

  1. 母音に挟まれて /t/ がフラップ化するため
  2. 後ろの /t/ に引っ張られて語末の /v/ が無声化するため
  3. 機能語である have の母音が曖昧母音に弱化するため
  4. 語末の子音が脱落して後ろの単語と連結するため
答えを見る

正解: B. 後ろの /t/ に引っ張られて語末の /v/ が無声化するため
have to では、後ろにある to の頭子音 /t/(無声音)に引っ張られ、have の語末の有声音 /v/ が無声音の /f/ に同化します。

よくある質問

Q. won'tとwantの発音の違いを簡単に聞き分けるには?
母音の唇の形に注目します。won'tは「ウォウント」と唇を小さくすぼめる二重母音/oʊ/ですが、wantはアメリカ英語では「ワント」と縦に口を大きく開ける/ɑː/です。
Q. how about youの発音記号とカタカナ読みは?
発音記号は /haʊ əˈbaʊtʃu/ です。aboutの「t」とyouの「y」が連結して口蓋化(チュ)を起こすため、カタカナでは「ハウ・アバウチュ」のように聞こえます。
Q. the yearのtheは「ジ」と発音しますか?
いいえ、「ザ(/ðə/)」と発音します。yearの頭文字は半母音/j/(子音扱い)であるため、母音の前で使う「ジ(/ði/)」にはならず、「ザ・イィア」と連結します。
Q. got itとI got itの語尾のtが消えるのはなぜですか?
語末の /t/ の直前が母音である場合、舌を上あごにつけて息を止めたまま音を破裂させない「ストップT」になるため、「ガリッ」「アイ・ガリッ」と促音で終わります。
Q. uh huhの発音と正しい使い方は?
発音記号は /ʌˈhʌ/ で、カタカナでは「ア・ハン」です。2音節目を高く発音すると肯定(Yesや了解)を意味し、親しい間柄での日常会話の相槌として多用されます。

2026年9月24日更新・モチタン辞典編集部