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It'sとThat'sの違いと使い分け
It'sとThat'sの決定的な違いは、「直前の特定の名詞単体を指しているか(It's)」それとも「相手の話全体や状況を指しているか(That's)」という点にあります。
会話のリアクションで相手の発言に対して「いいね!」「それは大変だね」と共感を示すときは、相手の言葉全体を指差す感覚になるためThat's great!やThat's too bad.を使うのが自然です。
一目でわかるIt'sとThat'sの違い
日常英会話やビジネスメールで頻出するIt's(It is)とThat's(That is)ですが、日本語ではどちらも「それは〜です」と訳されることが多いため、混同しがちです。まずは両者の本質的な違いを一覧表で確認しましょう。
| 項目 | It's (It is) | That's (That is) |
|---|---|---|
| 文法上の品詞 | 人称代名詞(it) | 指示代名詞(that) |
| 指し示す対象 | 文脈上に登場した「特定の単一名詞」 | 直前の「文全体・話の内容・出来事・状況」 |
| 心理的・物理的感覚 | すでに自分の中で処理・共有されているもの | 指差しでフォーカスを当てる対象(客体化) |
| 会話での相槌 | 不自然になりやすい(評価や批評に聞こえる) | 自然で標準的(相手の発言を受け止める) |
| 固有の機能 | 時間・天気・距離などの非人称構文 | 理由・結論の提示(That's why...など) |
文法上の分類を見ると、itはheやsheと同じ「人称代名詞」です。一度話題に上った名詞を単に受ける役割を持ちます。一方、thatは「指示代名詞」であり、遠くにあるものや相手が述べた事柄を指差してスポットライトを当てる働きをします。
この品詞の違いが、会話時のニュアンスや相槌での使い分けに直結しています。
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代表フレーズで見るニュアンス対比
単語の定義だけでなく、実際の会話フレーズを比較することで、ネイティブスピーカーが抱く温度感の違いが鮮明になります。
That's good と It's good の温度差
相手から「試験に合格したよ」「新しいプロジェクトが決まった」と報告を受けたとき、どちらで返すのが自然でしょうか。
- That's good!(よかったね!/それはいい知らせだね)
相手が言った「出来事・報告全体」を指差して感情を込めて受け止めています。共感の気持ちが前面に出るため、相手に温かい印象を与えます。 - It's good.(それは美味しい/それは品質が良い)
目の前の料理を食べたときや、特定の製品の品質を評価するときに使われます。相手の報告に対してIt's good.と返すと、「それ(その事実)は客観的に見て良い状態ですね」といった評論家のような冷ややかな響きを与えてしまうことがあります。
That's right と It's right の違い
相手の意見や確認に対して肯定するときも明確な差があります。
- That's right.(その通りです/正解です)
相手が言った内容全体を受けて「おっしゃる通りです」と肯定する定番の相槌です。 - It's right.(それは倫理的・法的に正しい)
特定の手続きや行為が「道徳的に正しい」「規則上正しい」という性質を客観的に述べる表現になります。相槌として使うと不自然です。
会話のリアクションでIt'sが不自然になる理由
相手の発話に対してThat's awesome!(すごいね!)とは言いますが、It's awesome!と言うとネイティブは違和感を覚えます。
itは会話の場にすでにある単体の名詞を指すため、相手が発したばかりの「新しい情報・ニュース」を包み込んで反応するには、離れた対象を指すthatが文法的に不可欠だからです。
That's(共感・発言全体)
- That's good: 報告全体に共感し「よかったね」と喜ぶ
- That's right: 相手の発言を受けて「その通り」と肯定
- That's awesome: 相手のニュースを温かく受け止める
It's(客観評価・特定名詞)
- It's good: 料理や製品の品質を客観的に評価する響き
- It's right: 手続きや行為が「道徳・法的に正しい」
- It's awesome: 単体名詞を指すため相槌では不自然
同じ形容詞でもIt'sとThat'sで伝わる意味と温度感が異なります。
次の疑問相手の話に気持ちを込めて相づちを打ちたいときは、That's awesomeの意味と返答のコツも押さえておくと表現が広がります。
文法的な識別ルールと指し示す範囲
英文添削やライティングでitとthatを正しく使い分けるには、「何を指し換えているか」の範囲を確認する必要があります。
1. 単一の名詞を指すなら「it」
直前の文に出てきた具体的な名詞そのものを言い換える場合は、人称代名詞のitを使います。
I bought a new laptop yesterday. It's very fast.
(昨日新しいノートパソコンを買いました。それはとても処理が速いです。)
この文のItが指しているのは、直前の文にあるa new laptopという具体的な「名詞単体」です。このような置き換えでThat's very fast.とすると、「パソコンを買ったという事実」を指しているように聞こえてしまい、意味が通じにくくなります。
2. 文全体・節・出来事を指すなら「that」
文の一部の名詞ではなく、前文全体の内容や状況を指す場合は、指示代名詞のthatを使います。
He decided to quit his job and study abroad. That's a big decision.
(彼は仕事を辞めて留学することを決めた。それは大きな決断だ。)
ここでThatが指しているのは、仕事を辞めて留学するという「一連の行動・決断全体」です。特定の名詞1語ではないため、It's a big decision.とするよりもThat'sを使うのが極めて自然です。
対話例による検証
日常会話のダイアログで2つの使い分けを比較してみましょう。
A: I tried the new Italian restaurant down the street.
(通りの先にある新しいイタリアンレストランに行ってみたんだ。
)
B: How was it?
(どうだった?)
A: It's really delicious, but the service was a bit slow.
(料理はすごく美味しかったんだけど、接客が少し遅くてね。
)
B: That's unfortunate.
(それは残念だったね。)
この会話において、AのIt's really deliciousのItは「レストランの料理」を指しています。一方、BのThat's unfortunateのThatは、「料理は美味しかったのに接客が遅かったという全体の顛末」を指しています。
単一の名詞(it)
- 直前の名詞そのもの
- a new laptopの言い換え
- 料理など特定のモノ
文全体・出来事(that)
- 前文全体の内容・状況
- 留学を決めた行動全体
- 相手が伝えたニュース
指したい対象が単一の名詞か、文や出来事全体かで使い分けます。
より多くの具体的な文で確認したい場合は、代名詞itとthatの違いと使い分けの例文集を参考にしてください。
瞬時に判断する指差し判定フローチャート
会話中に「名詞単体か、文全体か」と文法を考えていると、返答のタイミングを逃してしまいます。直感的に判断するためのルールを整理しました。
1秒で決まる「指差し判定法」
会話の最中は、自分の心の中で次のように問いかけてください。
- 相手の発言、メッセージ画面、起きた出来事そのものを外側から指差せるか?
→ 指差せるなら That's(例: That's great! / That's weird.) - 話題になっている「特定のモノそのもの」の性質や状態を説明しているか?
→ モノそのものなら It's(例: It's heavy. / It's broken.) - 天気、時刻、曜日、距離、温度など客観的な環境を表しているか?
→ 状況を表す非人称なら It's(例: It's cold today. / It's 3 p.m.)
非人称のit(thatでは絶対に代用できない領域)
英語には、指し示す実体がない場合に文法上の主語として置く「非人称のit」が存在します。これらはThatに置き換えることができません。
- It's raining outside.(外は雨が降っています。)※That's raining.とは言えない
- It's about 10 kilometers to the airport.(空港までは約10キロです。)
- It's getting dark.(暗くなってきました。)
- It's Monday today.(今日は月曜日です。)
時間、天候、距離、明暗などの環境を表すときは無条件でIt'sを選択します。
相手の発言や起きた出来事にはThat'sを使う
話題の特定物の状態や性質を述べるならIt'sを使う
天気・時刻・曜日・距離などは無条件でIt'sを使う
会話中は指差しの対象や環境表現かどうかに注目して瞬時に選びます。

Sounds goodの主語はItかThatか
相手の提案やアイデアに対して「いいね」「そうしよう」と同調する際、That sounds good.、It sounds good.、主語を省いたSounds good.の3通りをよく耳にします。これらの細かな違いを解説します。
それぞれのニュアンスと使われる場面
| 表現 | ニュアンス | 使われる典型的な場面 |
|---|---|---|
| That sounds good. | あなたの提案全体が魅力的に聞こえます | 会話で相手の提案に即座に賛同するとき |
| It sounds good. | その件(すでに検討中の案)は良さそうですね | 以前から共有されている議題について意見を求められたとき |
| Sounds good. | いいね!(カジュアルで簡潔な同意) | 日常会話、ビジネスチャットでの手短な返信 |
相手が「今夜ピザを食べに行かない?」と提案してきた場面では、相手の発言全体を受けるためThat sounds good!が最も自然です。
一方、事前に送られていた企画書や共有済みの議題について「あの件、どう思う?」と聞かれた場合は、すでに話題として確立している案件(名詞)を指すため、It sounds good.と答えることができます。
チャットツール(SlackやTeamsなど)では、主語を省略したSounds good!やSounds great!が最も頻繁に使われます。
ビジネスやチャットでの使い分けルール
仕事でのコミュニケーションでは、相手に対する敬意やプロフェッショナルな姿勢を示すためにも、主語の選び方が重要になります。
メールやチャットでの返答パターン
クライアントや上司から業務連絡や日程提示を受けた際の使い分けは以下の通りです。
- 日程の提案を受けたとき:
That works for me.(その日程で問題ありません。)
提案された日時全体を受けるためThatを使います。 - 添付ファイルや資料を受け取ったとき:
Thank you for the report. It's very clear and helpful.(レポートをありがとうございます。とても分かりやすく参考になります。)
Itは名詞である「レポート」そのものを指しています。 - 相手の成果報告に対して称賛するとき:
Congratulations on winning the contract. That's fantastic news!(契約獲得おめでとうございます。素晴らしいニュースですね!)
契約を獲得したという出来事全体を指すためThat'sが適切です。
ビジネスで失礼になりかねない相槌の注意点
取引先との商談で、相手の提案に対して単にIt is good.と返すと、「一応合格点である」という客観的な審査のような響きを与えてしまうことがあります。
前向きに評価・合意する場合は、That sounds like a great plan.(素晴らしいご提案ですね)やThat would be acceptable.(それで問題ございません)のように、相手の言葉に焦点を当てるThatを用いるのが基本です。
提案された日時全体を受けてThat works for me.
レポートそのものを指してIt's very clear.
契約獲得という出来事にThat's fantastic news!
ビジネスでは提示された内容全体か特定資料かで主語を選びます。
丸ごと覚えるIt'sとThat'sの定番フレーズ
文法を意識せずに使える、ネイティブの定番イディオム・定型表現をまとめました。
That's を使った必須表現
- That's why...(そういうわけで〜なのだ/だから〜なのです)
I didn't sleep well last night. That's why I'm so tired.(昨夜よく眠れませんでした。だからこんなに疲れているのです。) - That's it.(以上です/まさにそれです)
発表の締めくくりや、探していた正解を見つけたときに使います。 - That's true.(確かにその通りですね)
相手の指摘に納得したときの相槌です。 - That's too bad.(お気の毒に/それは残念です)
相手の不運や残念な知らせに対する定番の共感フレーズです。
It's を使った必須表現
- It's up to you.(あなた次第です/お任せします)
決定権を相手に委ねるときに用います。 - It is what it is.(仕方のないことだ/これが現実だ)
変えられない状況を受け入れるときの表現です。 - It's none of your business.(あなたには関係のないことです)
干渉を断る際の表現です。 - It's about time.(そろそろ〜する時間だ/やっと〜だ)
潮時や待望の瞬間を指します。
理解度チェックテスト(2択クイズ)
文脈に合わせて適切なほうを選んでみましょう。解説も確認して感覚を定着させてください。
第1問
同僚から「来月結婚することになったんだ」と報告を受けました。お祝いのリアクションとして自然なのはどちらでしょうか?
- A: It's wonderful!
- B: That's wonderful!
正解: B
同僚の「結婚が決まった」という知らせ・出来事全体に対して感情を込めて反応するため、That's wonderful!が正解です。AのIt'sを使うと客観的な批評のように聞こえてしまいます。
第2問
友人が着ている新しいジャケットを指して褒めたいとき、自然なのはどちらでしょうか?
正解: A
直前に出たjacketという特定の名詞単体を言い換えているため、人称代名詞のIt'sが正解です。Bにすると「ジャケットを持っているという状況」など文全体を指す不自然な響きになります。
第3問
会議で提示されたスケジュールに対して「それで大丈夫です」と答えるとき、適切な表現はどちらでしょうか?
- A: That works for me.
- B: It works for me.
正解: A
相手から新しく提示された提案・条件全体を受け止めるため、指示代名詞のThat works for me.が定型表現として自然です。
理解度チェック
Q1. 直前の文全体や相手の発言・出来事を受ける語はどれですか?
- 人称代名詞の it
- 指示代名詞の that
- 非人称の it
- 関係代名詞の which
答えを見る
正解: B. 指示代名詞の that
itは特定の名詞単体を指すのに対し、thatは直前の文全体や出来事、話の内容を指します。
Q2. 相手からの「試験に合格した」という報告への返答で適切なものは?
- That's good!
- It's good.
- That's raining.
- It's right.
答えを見る
正解: A. That's good!
相手の報告全体を受け止めて共感を示す相槌にはThat's good!が自然です。
Q3. 天候・時刻・距離など客観的な環境を表す文で使う主語はどれ?
- that(That is)
- 非人称の it(It is)
- this(This is)
- 状況に応じてthatかitのどちらでもよい
答えを見る
正解: B. 非人称の it(It is)
時間、天候、距離などの客観的な環境を表すときは、Thatで代用できず非人称のItを用います。
よくある質問
- Q. 相手の発言にIt'sで答えると失礼ですか?
- 失礼とまでは言えませんが、相手の言葉を客観的な審査対象として見ているような冷たい印象や、他人事のような違和感を与えてしまうことがあります。相槌では相手の言葉に寄り添うThat'sを使うのが安心です。
- Q. That isとThat'sに違いはありますか?
- 意味は同じですが、会話では短縮形のThat'sが一般的です。That isと省略せずに発音すると、その内容を特に強調したいときや、改まったスピーチ、文章での表現になります。
- Q. 謝られたときのThat's OKとIt's OKの違いは?
- 相手が「すみません」と謝ってきた出来事全体に対して「気にしないで」と返すときはThat's OK.が自然です。It's OK.は「問題ない状態である」という事態の平穏さを表す響きが強くなります。
- Q. This isとThat'sはどう使い分けますか?
- This isは「今自分がこれから話すこと」や「自分の手元にあるもの」を指します。一方、That'sは「相手が話したこと」や「過去・直前の文脈」を指すときに使います。
2026年9月25日更新・モチタン辞典編集部