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イギリス英語発音記号一覧と米音比較

イギリス英語発音記号一覧と米音比較

イギリス英語(容認発音・SSBE)の発音記号体系は、短母音7種、長母音5種、二重母音8種(現代音では実質5〜6種)、子音24種の合計44音素で構成されます。

アメリカ英語と比べて母音の区別が多く、特に円唇短母音の /ɒ/ の存在や、母音後の r を発音しないノン・ローティック(non-rhotic)の規則が記号表記の大きな特徴です。

イギリス英語発音記号の全体体系と基礎

イギリス英語の標準的な発音記号は、国際音声記号(IPA)に基づき、伝統的な容認発音(RP: Received Pronunciation)や、現代の標準南部イギリス英語(SSBE: Standard Southern British English)の音素を正確に書き分けるために設計されています。

日本の学校英語や市販の単語帳の多くはアメリカ英語を基準にしているため、同じ単語でもイギリスの英英辞書を引いた際に見たことのない記号に出会って戸惑う学習者が少なくありません。イギリス英語の記号体系を理解するうえで最初に押さえるべき基本原則は以下の3点です。

これらの規則により、イギリス英語の辞書表記はアメリカ英語の辞書表記よりも母音のバリエーションが細かく規定されています。

イギリス英語発音記号の3大原則
📏長音符「ː」による厳格区別

記号右側の「ː」で短母音と長母音の音質の違いを明確に区別する。

👄円唇短母音 /ɒ/ の保持

米音で消失傾向にある円唇短母音を独立した音素として残している。

🔇母音後の r の非発音

語末や子音前の r は発音せず、母音延長や二重母音の中心音にする。

イギリス英語の記号体系を理解する基礎となる3つの規則です。

英語の発音の基本を文字順に確認したい方は、アルファベットと英語発音記号一覧をあわせてご覧ください。

イギリス英語の母音発音記号一覧表

イギリス標準発音における母音は、短母音、長母音、二重母音に大別されます。唇の丸め具合や舌の前後位置、口の開き具合に注目して整理した一覧表です。

短母音(7種類)

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記号代表単語近似カナ口の開け方・舌の位置
/ɪ/sit, bitエに近いイ唇を横に引きすぎず、力を抜いてわずかに開く
/e/bed, headエ日本語の「エ」より指1本分広めに口を開ける
/æ/cat, badアとエの中間下顎をしっかり下げ、横にも軽く引いて大きく開く
/ɒ/lot, hotオ唇をしっかり丸め、喉の奥を開いて発音する
/ʌ/cup, busア唇を丸めず、口を半開きにして短く発声する
/ʊ/put, bookオに近いウ唇の力を抜き、わずかに丸めて短く出す
/ə/about, water曖昧なア最も力を抜いた自然な半開き(シュワー)

長母音(5種類)

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記号代表単語近似カナ口の開け方・舌の位置
/iː/see, treeイー唇を横にしっかり引き、緊張させて伸ばす
/ɑː/car, bathアー喉の奥を大きく開け、舌を低く平らに保つ
/ɔː/door, sawオー唇を前へ突き出すように丸め、奥で響かせる
/uː/food, blueウー唇を強くすぼめて丸め、奥から響かせる
/ɜː/bird, nurseアー舌の中央を少し盛り上げ、唇は半開きのまま保つ

二重母音(8種類)

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記号代表単語近似カナ音の移行と特徴
/eɪ/face, dayエイ「エ」から緩んだ「イ」へ滑らかに移行する
/aɪ/price, highアイ大きく開いた「ア」から緩んだ「イ」へ移行する
/ɔɪ/choice, boyオイ丸めた「オ」から緩んだ「イ」へ移行する
/əʊ/goat, homeオゥ(エゥ)曖昧母音「ア/エ」から「ウ」へ移行する
/aʊ/mouth, nowアウ「ア」から唇をすぼめた「ウ」へ移行する
/ɪə/near, hereイア「イ」から曖昧母音「ア」へ移行する
/eə/square, hairエア「エ」から曖昧母音「ア」へ移行(現代音は長音化傾向)
/ʊə/cure, tourウア「ウ」から曖昧母音「ア」へ移行(現代音は /ɔː/ 化傾向)

母音全体の舌の位置や口の開き方を詳しく知りたいときは、英語の母音の発音が役立ちます。

英会話をひと通り身につけたいときは、英会話の総合ガイドから順に読むと全体がつかめます。

イギリス英語の子音発音記号一覧表

子音の総数は24個あり、基本的な音素の種類自体はアメリカ英語と同一です。呼気のみの無声音と声帯振動を伴う有声音の対比で整理できます。

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区分無声音有声音代表単語(無声/有声)
破裂音/p//b/pen / bad
破裂音/t//d/tea / dog
破裂音/k//ɡ/cat / get
摩擦音/f//v/fall / van
摩擦音/θ//ð/thin / this
摩擦音/s//z/see / zoo
摩擦音/ʃ//ʒ/shoe / vision
摩擦音/h/—hat / —
破擦音/tʃ//dʒ/chin / joy
鼻音—/m/— / man
鼻音—/n/— / now
鼻音—/ŋ/— / sing
接近音・側音—/l/— / leg
接近音・側音—/r/— / red
接近音・側音—/j/— / yes
接近音・側音—/w/— / wet

イギリス英語の子音において際立つ特徴は、母音に挟まれた /t/ を破裂音として明瞭に発音することです。アメリカ英語では母音間の /t/ が「ラ行」のように変化するフラッピング(弾き音化)が起きますが、標準南部イギリス英語では water や better の /t/ は舌先を歯茎にしっかり当てて息を破裂させます。

個々の子音の調音方法や分類をさらに深掘りしたい場合は、英語の子音の発音を参考にしてください。

イギリス英語とアメリカ英語の発音記号比較

同一の単語でも、イギリス英語とアメリカ英語で異なる発音記号が割り当てられる代表的な母音の差異を対比します。

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音の種類英音記号米音記号該当単語と発音の主な違い
LOT母音/ɒ//ɑː/ または /ɑ/stop, hot(英は唇を丸めたオ、米は唇を丸めないア)
GOAT母音/əʊ//oʊ/go, boat(英の滑り出しは中央曖昧母音、米は丸めたオ)
BATH母音/ɑː//æ/ask, fast, bath(英は喉を開いた長音、米は平口のア)
CLOTH母音/ɒ//ɔː/off, lost, cloth(英は短母音のオ、米は長母音寄り)
NURSE母音/ɜː//ɜːr/ または /ɝ/bird, girl(英は舌を巻かない純長母音、米は強いr音)
rつき母音/ɪə/ など/ɪr/ などbeer, care(英は曖昧母音へ移行、米はr音を付加)

たとえば I bought a new pot.(新しい鍋を買った)という文では、英音では pot が /pɒt/、bought が /bɔːt/ と明確に母音の長さと質が分かれます。一方、米音の一部方言ではこれらが近い音質で処理されることがあります。

イギリス英語の発音記号一覧のイメージ

イギリス英語特有の重要母音の出し方

カタカナ表記の引きずられやすさから、日本人学習者が特に混同しやすい5つの母音について、口の開け方と構え方を解説します。

1. 円唇短母音 /ɒ/(lot, pot, clock)

日本語の「オ」よりも唇の丸みをしっかりと作り、指2本分ほど縦に口を開けます。舌を口の奥の低い位置に引っ込め、喉の奥から短く「オ」と響かせます。アメリカ英語の father のような開いた「ア」にならないよう注意が必要です。

2. 前舌低母音 /æ/(cat, trap, hand)

イギリス英語の現代標準音における /æ/ は、伝統的な発音よりも下顎が下がり、日本語の「ア」に近い開口度で発音されます。ただし舌先は下前歯の裏にしっかり付けたまま、横へ軽く引き締めて発声します。

3. 中舌半広母音 /ʌ/(cup, love, blood)

唇を一切丸めず、力を抜いて上下の歯の間を少し開けます。舌の位置は中央からやや後ろ寄りです。喉の引っかかりを作らず、短く軽く「ア」と声を出します。/ɒ/ や /æ/ との混同を防ぐには、唇の形を完全に平らに保つことが大切です。

4. 中舌半狭長母音 /ɜː/(bird, turn, learn)

イギリス英語では r の巻き舌を一切行いません。上下の歯を軽く開け、唇を脱力させた状態で、舌の中央部を自然に少し盛り上げます。そのまま喉の奥から均一に「アー」と声を伸ばします。

5. 曖昧母音 /ə/(about, teacher, doctor)

口全体の力を完全に抜き、息を漏らすようにごく弱く発音されるシュワー音です。イギリス英語では語末の -er, -or, -ar はすべてこの /ə/ で終わり、舌先を奥へ丸める動作は行いません。

混同しやすい5つの母音の構え方
⭕円唇短母音 /ɒ/

唇をしっかり丸め指2本分縦に開き、舌を奥に引いて喉奥から出す。

📐前舌低母音 /æ/

下前歯裏に舌先を付けたまま、下顎を下げ横に軽く引いて開く。

➖中舌半広母音 /ʌ/

唇を丸めず平らに保ち、脱力して短く軽く「ア」と声を出す。

🔤中舌長母音 /ɜː/

巻き舌をせず、唇を脱力し舌中央を自然に盛り上げ均一に伸ばす。

日本人学習者が混同しやすいイギリス英語特有の母音の口形です。

rの脱落表記とリンキングrの規則

イギリス英語は、母音の直前にない /r/ を発音しない「ノン・ローティック(non-rhotic)」の言語体系を持ちます。辞書ではこの現象が特殊な記号記法で示されます。

語末の (r) 表記の意味

主要な英英辞書では、car や four の発音記号が /kɑː(r)/ や /fɔː(r)/ のように、括弧付きの (r) や上付き文字で記載されています。これは「単独で発声する場合や、次に子音が続く場合は発音しないが、直後に母音で始まる単語が続く場合にのみ発音する」という規則を表しています。

リンキングr(Linking r)と挿入r(Intrusive r)

語末に r の綴りがある単語の後に母音が続くと、休止を挟まない限り /r/ が現れて前後の母音を滑らかにつなぎます。

さらに現代イギリス英語では、綴りに r が含まれていなくても、/ɔː/ や /ə/ や /ɑː/ で終わる単語の直後に母音が来ると自然に /r/ が挿入される「イントルーシブ r」が頻繁に起こります。

例えば idea of が /ˈaɪdɪər ɒv/、law and order が /ˈlɔːr ən ˌɔːdə/ と発音される現象です。

リンキングrと挿入rの違い

リンキングr(Linking r)

  • 綴りに語末 r が存在する単語
  • 直後に母音が続く場合に r を発音
  • car 単体は /kɑː/
  • The car is here. で連結発音

挿入r(Intrusive r)

  • 綴りに r が含まれない単語
  • /ɔː/ /ə/ /ɑː/ 後の母音連結で出現
  • idea of が /ˈaɪdɪər ɒv/
  • law and order に自然に /r/ が挿入

母音連結時に /r/ が現れる2つのパターンの違いです。

辞書表記の揺れと現代イギリス音の変化

学習用英英辞書を引いた際、出版元や改版時期によって発音記号の割り振りが異なっていることがあります。これは主に、音声学者A. C. ギムソン(A. C. Gimson)が確立した伝統的RPの記号体系から、現代のSSBEの実態に合わせた改訂が進んだためです。

二重母音の長母音化(平唇化)

現代のイギリス英語では、二重母音の一部が単一の長母音へと変化しています。

伝統的RP表記と現代辞書表記の比較

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単語伝統的表記(旧体系)現代英英辞書表記音の変化の背景
cloth/klɔːθ//klɒθ/戦後にかけて短母音 /ɒ/ への移行が定着
square/skweə//skweə/ または /skwɛː/二重母音から単一長母音への平唇化
poor/pʊə//pʊə/ または /pɔː//ɔː/ への音素合流の進展
city/ˈsɪtɪ//ˈsɪti/語末の弛緩短母音の緊張音化(happy-tensing)

語末の -y の音について、古い辞書では /ɪ/ と書かれていましたが、現代の辞書では長母音 /iː/ に近い音質であることを示すために /i/ と表記されるのが標準的です。

記号から音を正確に出す3ステップ練習法

イギリス英語の発音記号を実際の流暢な発声につなげるための段階的な練習手順です。

ステップ1:母音の調音位置(唇・顎・舌)の固定

単語全体をいきなり読まず、主母音の記号だけを取り出します。たとえば hot /hɒt/ であれば、まず /ɒ/ の形(唇を縦丸め、下顎を下げる)を作り、声を出してその響きを確認します。アメリカ英語の /ɑː/ のように口を横に広げてしまっていないか、鏡で唇の円形をチェックします。

ステップ2:無声子音の呼気圧と舌先位置の確保

イギリス英語では子音の破裂が明瞭です。tea /tiː/ や better /ˈbetə/ を練習する際、舌先を上の前歯の裏ではなく、上の歯茎のふくらみ(歯槽堤)に強く当て、息を鋭く破裂させます。子音単体で息の摩擦音や破裂音がしっかり鳴る状態を作ってから母音を接続します。

ステップ3:ノン・ローティックのリズム適用

単語末の r を意識的に発音しない練習を行います。water /ˈwɔːtə/ や paper /ˈpeɪpə/ を読む際、語末で舌を喉の奥へ引き込まず、完全に力を抜いた「ア」で音を終えます。

続けて母音が来るフレーズ(water in a cup)を組み立て、そのとき初めて /r/ を滑らかにつなぐ感覚を身につけます。

記号から音を出す3ステップ練習
1母音位置の固定

単語から主母音記号を取り出し、唇・顎・舌の形を鏡等で固定確認する。

2無声子音の確保

舌先を歯茎に当て息を鋭く破裂させ、子音単体で鳴る状態を作る。

3ノン・ローティック

語末の r を脱落させて発音し、母音が続くフレーズで滑らかにつなぐ。

イギリス英語の発音記号を流暢な発声につなげる手順です。

次の疑問手元の辞書だけでなくネイティブの音声を聞きながら練習したいときは、イギリス英語の発音練習サイト・音声ガイドを活用してみてください。

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発音の疑問をすべて見る

理解度チェック

Q1. イギリス標準発音における母音 /ɒ/ の特徴は何ですか?

  1. 唇を丸めない開いた「ア」である
  2. 唇を丸めた円唇短母音である
  3. 舌を強く奥へ巻いて発音する
  4. 二重母音として処理される
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正解: B. 唇を丸めた円唇短母音である
イギリス標準発音の /ɒ/ は、唇をしっかり丸めて喉の奥を開いて発音する円唇短母音です。

Q2. 英英辞書で car が /kɑː(r)/ と表記される理由は?

  1. 直後に母音が続く場合にのみ発音するため
  2. 常に巻き舌で強く発音するため
  3. 直後に子音が続く場合にのみ発音するため
  4. 現代英語では完全に発音しなくなったため
答えを見る

正解: A. 直後に母音が続く場合にのみ発音するため
括弧付きの (r) は、単独や子音の前では発音せず、直後に母音が続く場合にのみ発音する規則を示します。

Q3. 次のうち、挿入r(イントルーシブr)が起こる例は?

  1. I bought a new pot.
  2. tea and better
  3. water in a cup
  4. law and order
答えを見る

正解: D. law and order
law and order は綴りに r がないにもかかわらず、母音の間に /r/ が挿入される例として挙げられています。

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よくある質問

Q. なぜ日本の辞書と英英辞書で発音記号が違うのですか?
日本の英語教育や一般教材はアメリカ英語の発音(GA)を基準にしており、イギリスの英英辞書は容認発音(RP)やSSBEを基準にしているためです。特に母音体系が異なり、LOT母音やr音の処理に大きな表記差が生じます。
Q. イギリス英語の発音記号で(r)が付いている理由は何ですか?
単独発音や子音の前では発音せず、直後に母音で始まる単語が続く場合のみ「リンキングr」として発音することを示す表記です。イギリス英語特有のノン・ローティック規則を表しています。
Q. 辞書にある/eə/の記号が長母音に聞こえるのはなぜですか?
現代のイギリス標準英語(SSBE)では、二重母音 /eə/ が単一の長母音 [ɛː] に平唇化して発音される傾向が強いためです。伝統的な辞書表記は保たれつつも、実際の音声は長母音化しています。
Q. イギリス英語の/ɒ/と/ɔː/はどう区別すればよいですか?
/ɒ/ は口を縦に開けて唇を丸めた短い音(cot)です。/ɔː/ は唇をより強く前へ突き出して丸め、喉の奥から長く響かせる音(caught)です。長さだけでなく唇のすぼめ方の強さも異なります。

2026年10月9日更新・モチタン辞典編集部