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ネイティブが教える英語の句動詞の使い分け
ネイティブスピーカーは句動詞を暗記ではなく「動詞の核となる動作」に「前置詞・副詞が持つ方向性や状態変化」を掛け合わせた空間イメージで使い分けています。
似た表現の差も、動作の到達点や話者の関心がどこにあるかという発話動機の違いから生じます。語順の規則や1語動詞との文脈の差を構造から把握することで、日常会話からビジネスまで自然に使い分ける感覚が身につきます。
句動詞の使い分けの基本構造
句動詞(phrasal verb)は、get や take などの基本動詞に、up や off といった語が組み合わさることで生まれます。ネイティブスピーカーは個々の組み合わせを丸暗記しているのではなく、基本動詞が表す物理的な動作と、後ろに続く語が示す空間的なベクトルを瞬時に合成して意味を捉えています。
不変化詞と前置詞の決定的な違い
句動詞を正しく使い分ける上で不可欠なのが、「副詞(不変化詞:particle)」と「前置詞(preposition)」の区別です。学校文法ではどちらも前置詞のように見えますが、働きは大きく異なります。
- 不変化詞(副詞):動詞と密接に結びつき、動作の帰結や状態の変化を表します。直後に名詞がなくても機能します。(例:The plane took off.「飛行機が離陸した」)
- 前置詞:常に後ろの名詞(目的語)と結びつき、名詞との位置関係や方向を示します。(例:She looked at the picture.「彼女は絵を見た」)
たとえば turn off the light の off は電灯が「消えている状態」へ移行させる不変化詞であり、fall off the chair の off は椅子という物体から「離れる」関係性を示す前置詞です。この構造の違いが、後述する語順ルールにも直結します。
不変化詞(副詞)
- 動詞と密接に結びつく
- 動作の帰結や状態の変化を表す
- 直後に名詞がなくても機能する
- 例:turn off the light / took off
前置詞
- 常に後ろの名詞(目的語)と結びつく
- 名詞との位置関係や方向を示す
- 直後に名詞が必須
- 例:fall off the chair / looked at
動詞と結びつく不変化詞と、目的語の名詞と結びつく前置詞の働きを比較します。
似た句動詞の使い分け比較表
辞書を引くと似たような日本語訳が当てられている句動詞でも、ネイティブスピーカーがそれを発話する動機や焦点を当てている対象は明確に異なります。迷いやすい代表的なペアの違いを整理します。
| 句動詞ペア | 意味の違い | 発話動機とネイティブの感覚 |
|---|---|---|
| find out vs figure out | find out: (情報を)偶然または外部から知る figure out: (頭を使って)論理的に解決する | find out は外から情報が入ってくる受動的な発見です。figure out は計算や思考を重ねて自力で答えを導き出す能動的なプロセスに焦点があります。 |
| call off vs put off | call off: 中止する(白紙に戻す) put off: 延期する(後回しにする) | call off は予定そのものを消滅させる決断です。put off はやるべきことを時間的に先送りするだけで、タスク自体は残っています。 |
| look for vs search for | look for: 目で探す・見つけようとする search for: くまなく捜索する・掘り起こす | look for は日常的な探索行為全般を指します。search for は対象範囲を徹底的に調べる、あるいは見失ったものを綿密に探す切迫感や真剣度を含みます。 |
| pick up vs take up | pick up: 拾い上げる・自然に身につける take up: (趣味・仕事を)本格的に始める・占有する | pick up は手軽につまみ上げる軽さがあり、知識や習慣を苦労なく得る感覚です。take up は領域の中に時間や労力を投じて取り込む重みがあります。 |
| give up vs back out | give up: 努力をやめる・諦める back out: 約束や合意から手を引く | give up は継続していた挑戦を途中で投げる心理です。back out は一度決まった合意や契約から後退して逃れる行動を表します。 |
使い分けが分かる例文比較
発話動機の違いを例文で確認します。
I found out the meeting was canceled.
(会議が中止になったことを人づて・通知で知った)
I finally figured out how to solve this system bug.
(原因を考え抜いて、システムのバグの解決法を自力で割り出した)
We had to call off the sports event due to the storm.
(嵐のため、スポーツ大会そのものを中止にせざるを得なかった)
Don't put off your tax filing until the last minute.
(確定申告の提出を締め切り直前まで先延ばしにしてはいけない)
次の疑問会話で特によく使われる組み合わせをまとめて確認したいときは、英会話でよく使う頻出句動詞一覧で優先して覚える表現をチェックできます。
前置詞と副詞のコアイメージ
句動詞の持つ多彩な意味は、動詞の後ろに来る不変化詞(副詞・前置詞)の根源的な空間イメージから派生しています。主要な4つの語の核を押さえると、未知の句動詞に出会ってもニュアンスが直感的に推測できるようになります。
up:上昇から「完了・極限・出現」へ
up の根底には「上に向かう動き」がありますが、容器に水が満ちていく様子から「満杯・使い切る・最後までやり遂げる(完了)」という意味へ発展します。また、見えないところから水面に浮かび上がるように「現れる」感覚も持ちます。
- eat up: 残さず完全に食べ切る(完了)
- burn up: 跡形もなく燃え尽きる(極限)
- show up: 視界のなかに姿を現す(出現)
- bring up: 話題を水面上に持ち出す、子どもを大人へと育て上げる
out:内から外へ、「外部・消失・露見」
out は境界線の「内側から外側へ」出る動きです。境界を越えて広がることから「外へ出す」「公にする」、燃料やエネルギーが外へ逃げて「空になる(消失)」、隠れていたものが「明らかになる」感覚を生み出します。
- run out of: 内部にあった資源が外へ尽きて無くなる(消失)
- speak out: 胸の内にある考えを外に向かってはっきり主張する
- turn out: 蓋を開けてみたら結果として外に現れる(判明)
- put out: 火の燃焼状態を外へ追い出して消す
off:接触面からの「分離・遮断・完了」
off はくっついていたものが「離れる(分離)」イメージです。スイッチの接触が離れる「遮断」、出発点から離れて進む「開始」、予定から切り離す「停止」を表します。
- take off: 地面から離れる(離陸)、身につけていた衣服を体から離す(脱ぐ)
- cut off: 接続や供給を切り離して断絶させる
- pay off: 抱えていた借金を完全に切り離す(完済する)、努力が実を結ぶ
- drop off: 本流からぽろりと落ちる、車から人を降ろす
down:下方から「沈静・減少・定着」
down は「下に向かう」空間移動です。高ぶった感情や音量が低くなる「沈静・減少」、あるいはしっかりと地面や紙に固定する「定着・記録」へと意味が広がります。
- calm down: 高ぶった興奮を落ち着かせる(沈静)
- turn down: 音量や熱を低く下げる、提案を押し下げるように断る
- write down: 空中に消える言葉を紙の上にしっかりと留める(定着)
- settle down: 浮き足立った状態をやめ、一箇所に腰を据えて落ち着く
up(上昇)
- 完了・満杯
- 極限まで消費
- 水面への出現
out(内から外)
- 公にする・外部
- 資源の消失
- 事実の露見・判明
off(分離)
- 接触の遮断
- 出発・開始
- 予定の停止
down(下方)
- 感情等の沈静
- 数量の減少
- 定着
4つの主要な語が持つ根源的な空間イメージと派生する意味の広がりです。
空間イメージを体系的に学びたい方は、前置詞の参考書の選び方を参考にしてください。
次の疑問核となる感覚をより具体的に掴みたいなら、upを使う句動詞一覧とイメージで派生する表現をまとめて確認してみましょう。
1語の動詞と句動詞の使い分け
英語には、同じ事象を指す表現として「句動詞」と「1語の動詞」が存在します。歴史的に、句動詞はアングロサクソン(ゲルマン系)由来の素朴で具体的な日常語であり、1語の動詞はフランス語やラテン語由来の抽象的で格式高い語です。
このレジスター(格式・場面の適切度)の差を理解することが、大人の英語運用において極めて重要です。
| 句動詞(日常会話・口語) | 1語動詞(公的文書・論文) | 使い分けの基準 |
|---|---|---|
| put off | postpone / defer | 雑談や社内チャットでは put off。顧客向けの公式通知や契約書では postpone を用います。 |
| call off | cancel | 口頭で「やめよう」と言うときは call off。プレスリリースや公的アナウンスでは cancel が標準です。 |
| look into | investigate | 「ちょっと調べてみるね」は look into。警察や監査機関が調査を行う場合は investigate を選びます。 |
| give up | surrender / abandon | 日常の諦めは give up。権利の法的な放棄や軍事的な降伏には surrender や abandon を使います。 |
| run out of | deplete | 日用品や時間の不足には run out of。天然資源の枯渇や財政破綻の記述には deplete が適しています。 |
| make up | fabricate / invent | 言い訳をでっち上げる会話は make up。偽造や学術的な捏造を非難する文脈では fabricate となります。 |
ビジネスメールでの線引きルール
「句動詞はビジネスで使ってはいけない」というのは誤解です。同僚や親しい取引先とのメール、日常的な業務連絡では、堅苦しい1語動詞を過剰に使うと冷淡で距離感のある印象を与えます。
実務的な判断基準は次のとおりです。
- 同僚との連絡・通常の業務メール:look into(確認する)、set up(設定する)、follow up(追跡する)などの句動詞が最も自然で好まれます。
- 全社通達・契約書・法的な報告書:解釈のブレを防ぎ、客観性と権威を持たせるため、investigate、establish、terminate などの1語動詞を優先します。

語順ルールと音のリズムの理由
句動詞には、目的語を動詞と不変化詞の間に挟むことができる「分離可能(separable)」なものと、間に挟めない「分離不可能(inseparable)」なものがあります。
代名詞を必ず挟む音の力学(プロソディ)
分離可能な他動詞句動詞では、目的語が普通名詞のときはどちらの語順も選べますが、目的語が代名詞(it, them, him, her など)になると、必ず間に挟まなければなりません。
- Turn off the light.(正解:名詞は後ろでもよい)
- Turn the light off.(正解:名詞は間でもよい)
- Turn it off.(正解:代名詞は必ず間)
- × Turn off it.(文法的に誤り)
なぜこの規則が存在するのかというと、英語のリズムと音の強弱(プロソディ)に理由があります。代名詞(it など)はすでに文脈上わかりきっている「古い情報(軽い音)」です。一方、off や up といった不変化詞は、状態の変化を告げる「新しい情報(強いアクセント)」を持ちます。
英語には「重要な情報・重い音を文末に置く(文末焦点の原則)」という強い傾向があります。もし Turn off it と言うと、強調したい off の後に弱くて軽い it がぶら下がることになり、ネイティブのリズム感覚では非常に座りが悪く聞こえるのです。
そのため、軽い it を真ん中に包み込み、強い off で文を締めくくる Turn it off の形をとります。
分離できる句動詞とできない句動詞の見分け方
動詞の直後に来る語が副詞(不変化詞)であれば分離可能ですが、前置詞である場合は分離できません。前置詞は直後の名詞と強固な前置詞句を作るため、間に名詞を割り込ませることができないからです。
- run into an old friend(旧友に偶然会う:into は前置詞なので run an old friend into は不可。代名詞でも run into him となる)
- look after the children(子どもの世話をする:after は前置詞なので look them after は不可。look after them となる)
普通名詞の場合
- 後ろ・間のどちらも可
- Turn off the light(正解)
- Turn the light off(正解)
代名詞の場合
- 必ず間に挟む
- Turn it off(正解)
- × Turn off it(誤り・座りが悪い)
- 文末焦点(強い音)の原則による
前置詞を伴う場合
- 分離不可能(間に挟めない)
- run into an old friend
- 代名詞でも run into him となる
代名詞を間に挟む理由と、分離可能・不可能な語順の違いを整理します。
日常とビジネスの場面別実践対話
実際の会話の中で句動詞がどのように選ばれ、話者の心理を表現しているかを対話形式で確認します。
場面1:オフィスのプロジェクト進捗(同僚同士の会話)
A: Have you figured out why the client turned down our proposal?
(クライアントがなぜ私たちの提案を断ったのか、理由は分かった?)
B: Not yet. I'm looking into their feedback, but we might need to call off the next presentation.
(まだなんだ。
フィードバックを精査しているところだけど、次のプレゼンは中止にしないといけないかもしれない)
A: Let's not give up just yet. Let's put it off until next Friday and rework the numbers.
(まだ諦めないでおこうよ。来週の金曜まで延期して、試算を練り直そう)
会話の中では figure out(思考して解明する)、turn down(却下する)、look into(調べる)、call off(白紙に戻す)、put off(先送りにする)が滑らかに連動しています。
場面2:日常のトラブルと解決(家庭内での会話)
A: We've completely run out of printer paper. Can you pick some up on your way home?
(プリンターの用紙が完全に切れちゃった。
帰りに買ってきてくれる?)
B: Sure. By the way, the heater is making a weird noise. Should I turn it off?
(いいよ。
ところでヒーターから変な音がしてるんだけど、消したほうがいい?)
A: Yes, please turn it off right away before it breaks down.
(うん、壊れちゃう前にすぐ消して)
run out of(使い果たす)、pick up(ついでに手に入れる)、turn it off(スイッチを切る:代名詞を挟む)、break down(機械が故障して動かなくなる)という、日常で最も頻出する表現が自然に使われています。
仕事で役立つ実用的な英語表現は、ビジネスの例文集でも確認できます。
日本人が陥る誤用とネイティブ添削
日本語の直訳から句動詞を作ろうとすると、ネイティブにとって違和感のある不自然な英語になります。典型的な3つの間違いと修正案を紹介します。
誤用例1:何でも pick up を使ってしまうミス
× 不自然:I will pick up my friend at the airport and pick up a new car.
○ 自然:I will pick up my friend at the airport and buy a new car.
pick up には「手軽に手に入れる」「ついでに拾い上げる」というニュアンスがあります。
車のような高額で重大な買い物を pick up で表現すると、コンビニでガムを買うかのような軽薄な印象を与えてしまいます。高額な購入には素直に buy や purchase を使います。
誤用例2:前置詞の選択ミスによる意味のズレ
× 不自然:Please fill out your name here.
○ 自然:Please fill in your name here.(または Please fill out this form.)
fill out は書類「全体」を余すところなく埋め尽くす(out の完了イメージ)ときに使います。
氏名や電話番号など、特定の空欄「1箇所」に書き入れる場合は、枠の中へ入れる感覚の fill in を用いるのが正確です。
誤用例3:代名詞の位置の間違い
× 誤り:I didn't like the plan, so I turned down it.
○ 正しい:I didn't like the plan, so I turned it down.
前述の通り、代名詞 it は不変化詞 down の前に置かなければなりません。
音のリズムの観点からも、ネイティブはこの語順の乱れに強い違和感を覚えます。
手軽に買う感覚なので車など高額な購入にはbuyを使う
書類全体ならfill out、名前など1箇所ならfill in
turned down itではなくturned it downと間に挟む
直訳による違和感を防ぐために押さえておくべき典型的なミスと対策です。
直感で使い分けるための練習法
句動詞を瞬時に口から出せるようにするには、単語カードで日本語訳と1対1で対応させる勉強法から脱却する必要があります。
1. コロケーション(名詞との組み合わせ)で覚える
句動詞は単体ではなく、目的語となる名詞とセットで記憶します。脳内に「動詞+不変化詞+名詞」のひとかたまりのチャンクを作ることで、使い分けの迷いが消えます。
- call off = the meeting / the event / the wedding(予定された催しを中止する)
- figure out = a solution / the problem / what happened(謎や解決策を解き明かす)
- come across = an old photo / a useful article(物や情報に偶然出くわす)
2. 空間動作を意識したシャドーイング
音読やシャドーイングを行う際、前置詞・副詞の空間イメージを頭の中で映像化します。take off なら地面から飛行機や靴が離れる映像、run out of なら箱の中から水や砂が外へ漏れて空っぽになる映像を思い描きながら発音します。
身体感覚と音を同期させることで、日本語を介さずに直感で句動詞を選び取る回路が形成されます。
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理解度チェック
Q1. 「call off」と「put off」の違いは何ですか?
- call offは延期、put offは中止
- call offは中止、put offは延期
- call offは口頭、put offは文書
- call offは自力、put offは他力
答えを見る
正解: B. call offは中止、put offは延期
call offは予定を白紙に戻す「中止」、put offはタスクを先送りする「延期」を意味します。
Q2. 代名詞を目的語にする文として、本文の規則に合うものは?
- I turned down it.
- I turned off it.
- I turned it down.
- I looked them after.
答えを見る
正解: C. I turned it down.
分離可能な句動詞で代名詞が目的語の場合、軽い代名詞を動詞と不変化詞の間に挟む必要があります。
Q3. 書類の「特定の空欄1箇所」に氏名を書く表現はどれですか?
答えを見る
正解: B. fill in your name
書類全体を埋める場合はfill out、特定の空欄1箇所に記入する場合はfill inを使います。
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よくある質問
- Q. 句動詞と熟語の違いは何ですか?
- 熟語(イディオム)は「複数の単語が合わさって固有の意味を持つ表現全体」を指す広い概念です。句動詞はその一種で、特に「基本動詞+副詞または前置詞」で組み立てられたものに限定されます。
- Q. ビジネス論文で句動詞は禁止?
- 絶対禁止ではありませんが、学術論文や厳格な契約書では避けるのが通例です。句動詞は多義的で曖昧さが生じやすいため、明確で誤読の余地がないラテン語由来の1語動詞(investigate等)が好まれます。
- Q. find outに努力の意味はある?
- 一般的には偶然知る、または人から聞いて知る受動的なニュアンスが主です。自ら調査して突き止める場合にも使えますが、頭を絞って論理的に解決策を導く文脈では figure out が選ばれます。
- Q. 句動詞の暗記が苦手な時は?
- 動詞ではなく前置詞・副詞(up, off, out等)のコアイメージから整理してください。核となる空間感覚を掴むと、動詞が変わっても大まかな意味の方向性が類推できるようになり、暗記負担が減ります。
2026年10月9日更新・モチタン辞典編集部
figure out
find out
call off
put off
turn off
run out of