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repertoryとrepertoireの違いと使い分け
日常会話で「料理のレパートリー」や「持ち歌・得意分野」と言いたいときは、repertoireを使うのが標準的です。一方のrepertoryは、主に演劇や歌劇における「上演目録」や「劇団の興行形態(repertory theatre)」を指す文脈で使われます。
どちらも語源は同じラテン語ですが、個人のスキルや持ち芸を指す現代英語ではrepertoireが圧倒的に一般的です。
一目でわかる1秒判定ルール
英語で「レパートリー」と表現したいとき、どちらの単語を選べばよいのか迷った場合は、対象が「個人のスキル」か「劇場・団体の演目システム」かで判断します。
- 個人の能力・持ちネタ・得意料理・演奏曲を表すとき → repertoire(日常会話ではほぼこちら)
- 劇団・歌劇団の上演演目・劇場システム(repertory theatre)を表すとき → repertory
日常会話やビジネスシーンにおいて、私たちが日本語の感覚で使う「レパートリー」の大部分はrepertoireに該当します。スペルが似ているためスペルミスと誤解されることもありますが、現代英語では明確に住み分けがなされています。
repertoire
- 個人の能力や持ちネタを指す
- 得意料理や演奏曲に使う
- 日常会話ではほぼこちらを使う
repertory
- 劇団・歌劇団の上演演目を指す
- 劇場システム(repertory theatre)を指す
- 演劇・舞台芸術の専門文脈で使う
対象が個人のスキルか劇場のシステムかで単語を選び分けます。
repertoryとrepertoireの比較対照表
二つの単語の意味、使用される文脈、頻度、発音の違いを整理しました。
| 項目 | repertoire | repertory |
|---|---|---|
| 主な意味 | 個人の演奏可能曲、得意料理、保有する技能・知識の一覧 | 劇団の上演可能演目群、定期公演システム、演目一覧 |
| 日常会話での使用頻度 | 極めて高い(日常会話のレパートリーはこちら) | 低い(演劇・舞台芸術の専門文脈が中心) |
| 主な使用文脈 | 個人の料理、楽器演奏、持ち歌、仕事のスキルセット | 劇場(repertory theatre)、劇団、クラシック興行 |
| 発音記号(米) | /ˈrep.ɚ.twɑːr/ | /ˈrep.ɚ.tɔːr.i/ |
| 語尾の音 | 「トワール」に近い響き | 「トリー」に近い響き |
| 語源の伝来ルート | フランス語を経由して借用 | ラテン語から直接借用 |
日常で使うrepertoireの意味と用法
repertoireは、個人や小規模なグループが「実際に披露・実践できる技術や演目の全体」を指す名詞です。日本語の「レパートリー」の語源となった形ですが、英語での用途は多岐にわたります。
音楽・演奏・持ち歌
演奏家が暗譜して演奏できる楽曲や、歌手が歌える持ち歌を指します。
The pianist has an extensive repertoire of classical pieces.
そのピアニストはクラシック曲の幅広いレパートリーを持っています。
What songs are in your karaoke repertoire?
あなたのカラオケのレパートリーにはどんな曲がありますか。
料理・家庭料理
自身がレシピを見ずに作れる料理や、日常的に作り慣れている料理の種類を指します。
Italian food is not in my cooking repertoire.
イタリア料理は私の料理のレパートリーに入っていません。
I want to add a few simple dishes to my repertoire.
自分のレパートリーに簡単な料理をいくつか加えたいです。
ビジネス・個人のスキル
ビジネスの文脈では、問題解決の手法、保有しているスキルセット、営業の交渉術などを比喩的に表す際によく使われます。
She expanded her professional repertoire by learning data analysis.
彼女はデータ分析を学ぶことで、仕事上のスキル・レパートリーを広げました。
Negotiation skills are an essential part of a manager's repertoire.
交渉技術は、管理職のスキルセットに欠かせない要素です。
暗譜しているクラシック曲やカラオケの持ち歌
レシピを見ずに作れる料理や作り慣れた得意料理
データ分析など業務スキルセットや営業の交渉術
repertoireは個人が実践できる技術の全体を指し、幅広い場面で使われます。
次の疑問レパートリーを披露する前段階として「準備する」と言いたいときは、prepareとreadyの違いと使い分けを押さえておくと便利です。
repertoryの意味と劇場用語としての使われ方
repertoryは、主に演劇界において「劇団が常時上演できる状態に保っている複数の演目」、または「日替わりや週替わりで異なる演目を交代で上演する興行システム」を指します。
演劇用語としてのrepertory
現代の演劇界では、ひとつの作品を長期間ロングラン上演するブロードウェイのような方式とは異なり、同一の劇団員が複数の演目を交互に上演する形態を「レパートリー・システム(repertory system)」と呼びます。
The company is performing three plays in repertory this season.
その劇団は今シーズン、3つの劇を日替わり交代(レパートリー方式)で上演しています。
The Royal Shakespeare Company operates on a repertory system.
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーはレパートリー制度で運営されています。
略称「rep」と劇場の呼び名
イギリスをはじめとする英語圏では、こうした地方の公立常設劇団や劇場をrepertory theatre(またはrepertory company)と呼び、業界内や日常会話では親しみを込めてrepと略すことが一般的です。
Many famous British actors started their careers in rep.
多くの著名なイギリスの俳優は、地方のレパートリー劇団(rep)でそのキャリアを始めました。
He spent two years working at a weekly rep company.
彼は週替わりで演目を上演するレパートリー劇団で2年間働きました。

語源と歴史:なぜ同じ意味の単語が2つあるのか
repertoryとrepertoireは、語源学において「二重語(doublet)」と呼ばれる関係にあります。二重語とは、同じ語源を持つ単語が、異なる時代や異なる経路を経て一つの言語の中に定着した結果、二つの形として共存している現象です。
共通の語源はラテン語「repertorium」
両単語のルーツは、後期ラテン語のrepertorium(目録、一覧表、発見されたものの記録)にあります。この語は「発見する」「見つけ出す」を意味する動詞reperireから派生したものです。
直接入ったrepertoryと、フランス語経由のrepertoire
16世紀頃、学術用語やラテン語の文献から直接英語に取り入れられたのがrepertoryでした。当時は書物の索引や目録、情報の集積場所を指していました。
一方、19世紀中頃になって、フランス語化したrépertoireが、舞台芸術や音楽の上演演目リストを指す洗練された表現として英語に借用されました。
これがrepertoireです。英語圏ではフランス語由来の語彙が芸術や文化、料理などの洗練された領域で好まれる傾向があり、個人のスキルや音楽の持ち曲を指す表現としてrepertoireが定着していきました。
16世紀に直接借用
- repertory
- 書物の索引や目録
- 演劇の興行システムへ
19世紀に仏語経由で借用
- repertoire
- 舞台や音楽の演目リスト
- 個人のスキルや持ち曲へ
同じラテン語を起源としながら、異なる時代と経路で英語に定着しました。
次の疑問同じ語源から派生した似た名詞と動詞の使い分けなら、repeatとrepetitionの違いも参考になります。
通じる発音とアクセントの注意点
カタカナの「レパートリー」をそのまま英語圏で話しても、ネイティブスピーカーには伝わらないことがよくあります。その主な理由は、アクセントの位置と語尾の音節が根本的に異なるためです。
第1音節に強いアクセントを置く
カタカナでは「パー」の部分を伸ばして強調しがちですが、英語のrepertoireもrepertoryも、強勢は最初の音節rep-(レプ)にあります。
- repertoire: /ˈrep.ɚ.twɑːr/(レパートワールに近い)
- repertory: /ˈrep.ɚ.tɔːr.i/(レパートリーに近い)
語尾の音の決定的な違い
私たちが日常で使いたいrepertoireの語尾は「トリー」ではなく、フランス語由来の「トワール(-toire)」に近い音になります。アメリカ英語では語尾のrの音をしっかり響かせ、イギリス英語では「トワー」のように母音を伸ばします。
カタカナに近い「トリー」と発音してしまうと、聞き手は劇場用語のrepertoryとして認識してしまい、「料理」や「カラオケ」の話をしている文脈と噛み合わずに混乱が生じます。個人の持ちネタを話す際は、「レパトワール」と意識して発音することが通じる英語への第一歩です。
「レパートリー」を使った自然な英語コロケーション
repertoireを用いる際、ネイティブスピーカーがよく使う動詞や形容詞の組み合わせ(コロケーション)を身につけると、表現の幅が広がります。
レパートリーが広い/狭い
日本語では「多い/少ない」と言いますが、英語では範囲の広狭を表す形容詞(wide, broad, extensive, limited)を使うのが自然です。
| 日本語 | 英語表現 | 例文 |
|---|---|---|
| レパートリーが広い | have a wide repertoire have an extensive repertoire | He has a wide repertoire of jazz standards. 彼はジャズのスタンダード曲の幅広いレパートリーを持っています。 |
| レパートリーが狭い・限られている | have a limited repertoire have a small repertoire | I have a fairly limited cooking repertoire. 私の料理のレパートリーはかなり限られています。 |
レパートリーを増やす/広げる
レパートリーを増やすときは、expand、broaden、build、add toなどの動詞を用います。
| 日本語 | 英語表現 | 例文 |
|---|---|---|
| レパートリーを広げる | expand one's repertoire broaden one's repertoire | Reading widely helped her expand her vocabulary repertoire. 幅広く読書をしたことで、彼女は語彙の引き出しを広げることができました。 |
| レパートリーを増やす・構築する | build one's repertoire add to one's repertoire | She is trying to add more vegan recipes to her repertoire. 彼女は自分のレパートリーにヴィーガン料理をもっと加えようとしています。 |
repertoireを使わない、より自然な口語の言い換え
repertoireは適切な名詞ですが、カジュアルな普段の会話で「料理のレパートリーが少なくて」「歌える曲があまりない」と言いたいとき、ネイティブスピーカーはより平易な動詞や節を使って表現することがよくあります。
料理のレパートリーが少ないとき
日常会話で「料理のレパートリーが少ない」と伝える場合、repertoireという硬めの単語を使わずに、次のように表現すると自然です。
I don't have many dishes I can cook.
私が作れる料理の数は多くありません。
I only know how to make a few simple things.
私は簡単なものを数種類しか作れません。
I keep cooking the same three meals every week.
私は毎週同じ3つの料理ばかり作っています。
持ち歌・演奏曲が少ないとき
カラオケや楽器演奏でも、節を使った表現が好まれます。
There aren't many songs I can sing well.
私が上手に歌える曲はあまり多くありません。
I only know a couple of chords on the guitar.
私はギターのコードを2、3個しか弾けません。
会話の相手や場面に応じて、格式張ったrepertoireと平易な口語表現を使い分けると、よりこなれた英語になります。
I don't have many dishes I can cook.
I only know how to make a few simple things.
There aren't many songs I can sing well.
硬い単語を避け、平易な動詞や節を使って表現する言い換え例です。
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理解度チェック
Q1. 個人の料理や演奏曲の「レパートリー」を表す英単語は?
答えを見る
正解: B. repertoire
個人の能力や得意料理、持ち曲を表す場合はrepertoireを使います。repertoryは劇団の上演演目や劇場システムを指します。
Q2. 「料理のレパートリーに入っていない」を表す英文は?
- Italian food is not in my cooking repertoire.
- Italian food is not in my cooking repertory.
- Italian food is out of my repertory system.
- Italian food has not my repertoire theatre.
答えを見る
正解: A. Italian food is not in my cooking repertoire.
個人の料理のレパートリーにはrepertoireを用います。本文でも「Italian food is not in my cooking repertoire.」と紹介されています。
Q3. 英語のrepertoireの発音に関する説明で正しいものは?
- 語尾を「トリー」と発音する
- カタカナ通り「パー」を最も強く読む
- 強勢は最初の音節「rep-」に置く
- 語尾にアクセントを置いて発音する
答えを見る
正解: C. 強勢は最初の音節「rep-」に置く
repertoireもrepertoryも、強勢は最初の音節「rep-」に置かれます。語尾は「トリー」ではなく「トワール」に近い響きになります。
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よくある質問
- Q. カタカナの「レパートリー」はどちらのスペル?
- 語源の観点ではフランス語のrepertoireに由来しますが、発音の響きはイギリス英語のrepertory(レパートリー)に近くなっています。しかし個人の持ち芸を表す英語としてはrepertoireが正解です。
- Q. 日常会話でrepertoryを使うと誤りですか?
- 厳密な文法違反とまでは言えませんが、個人の料理や持ち歌に対してrepertoryを使うと不自然に聞こえます。現代の英語母語話者はほぼ例外なくrepertoireを選択します。
- Q. repertoireの複数形はどう表記しますか?
- 規則変化でrepertoiresとなります。ただし、一人ひとりが持つ演目やスキルの集合体そのものを指す集合的な意味合いが強いため、単数形で用いられることが一般的です。
- Q. フランス語のアクサン記号(é)は英語で必要?
- 現代英語ではアクサン記号を省略したrepertoireという表記が標準的です。フランス語の雰囲気を残す文脈でrépertoireと書かれることもありますが、記号なしで全く問題ありません。
- Q. ビジネスでスキルを言う時repertoireは硬い?
- 硬すぎることはなく、職務経歴書や面接などで「幅広いスキルセット」を洗練されたニュアンスで表現する際にa wide repertoire of skillsのように好んで使われます。
2026年10月8日更新・モチタン辞典編集部