モチタン辞典 › 読みもの › 英語の違い・文化 › 小中高の英語一貫カリキュラム

小中高英語教育の変化と対策のすべて

小中高英語教育の変化と対策のすべて

現行の学習指導要領により、小中高英語教育は「単語数の大幅増」「文法指導の前倒し」「発信力重視」へと大きく舵を切りました。小学校で600〜700語、中学校で1,600〜1,800語、高校で1,800〜2,500語を学び、高校卒業までに計4,000〜5,000語程度を扱う体系へ移行しています。

小学校中学校高校英語の変化まとめ比較表

現行の学習指導要領は、小学校で2020年度、中学校で2021年度、高校で2022年度入学生から年次進行で全面実施されました。従来の英語教育と比べ、取り扱う語彙数が増加し、文法項目の前倒しが行われた点が大きな特徴です。

まずは、小学校・中学校・高校の12年間における授業形態、習得単語数、文法の範囲、到達目標の違いを一覧表で整理します。

表は横にスクロールできます →

校種・学年授業形態・時間数習得単語数文法・学習領域到達目標(英検・CEFR)
小学校(3・4年)外国語活動(年間35単位時間)—音声・リズム・挨拶・身近な表現英語に親しむ素地づくり
小学校(5・6年)教科「外国語」(年間70単位時間・数値評価)600〜700語文字(アルファベット)、簡単な文構造、過去形などの表現簡単な日常会話・自己表現(CEFR A1未満〜A1入門)
中学校(1〜3年)英語(年間140単位時間・原則英語で授業)1,600〜1,800語(小学校含む)以前は高校内容だった現在完了進行形、仮定法(基礎)、原形不定詞など英検3級〜準2級相当以上(CEFR A1〜A2)
高校(1〜3年)英語コミュニケーション、論理・表現(単位制)1,800〜2,500語(小中高累計4,000〜5,000語)高度な構文、抽象概念を扱う長文読解、ディベート・ディスカッション英検準2級〜2級相当以上(CEFR A2〜B1)

小学校での学びが中学校の前提知識として扱われるため、早い段階で基礎的な定着を図ることが不可欠となっています。

次の疑問カリキュラム改訂の背景や国の狙いを詳しく知りたい方は、文部科学省の英語教育改革方針も確認してみてください。

小学校英語の特徴と評価方法

小学校における英語教育は、中学年(3・4年生)の「外国語活動」と、高学年(5・6年生)の教科「外国語」に明確に分かれています。

小学3・4年生:外国語活動(体験と音声への親しみ)

小学3年生および4年生では、年間35単位時間(週1コマ相当)の外国語活動が行われます。ここでの主眼は、音声を通じて英語の音やリズムに慣れ親しむことです。

文字の読み書きは本格的には行わず、ジェスチャー、歌、ゲーム、簡単な挨拶などを通じた体験的な活動が中心となります。数値による成績評価は行われず、通知表には学習状況や意欲が文章で記述されます。

小学5・6年生:教科「外国語」(文字の導入と成績評価)

小学5年生および6年生では、年間70単位時間(週2コマ相当)に倍増し、国語や算数と同様に数値による成績評価(通知表での観点別評価・評定)が行われる正式な教科となります。学習内容は音声中心から「読むこと」「書くこと」へと広がり、600〜700語程度の語彙に触れます。

小学校高学年で扱う具体的な言語活動の例は次の通りです。

小学校卒業までに、簡単な文構造(助動詞 can、疑問詞 what / where / when、過去形 went / enjoyed など)を用いた表現に触れることが求められます。ただし、体系的な文法規則を理論として暗記させるのではなく、状況や文脈の中で表現として慣れ親しむ指導が行われます。

小学校英語の学年別違い

小学3・4年(外国語活動)

  • 年間35単位時間(週1コマ)
  • 音声やリズムに親しむ活動中心
  • 文字の読み書きは本格化しない
  • 数値評価なし(文章で記述)

小学5・6年(教科 外国語)

  • 年間70単位時間(週2コマ)
  • 600〜700語の語彙に触れる
  • 読むこと・書くことへ拡大
  • 数値による成績評価を実施

中学年と高学年での授業形態・時間数・評価方法の違いを比較した図です。

中学高校英語の難化と授業実態

中学校および高校の英語教育は、前回の改訂によって要求水準が一段階引き上げられました。小中高英語教育改革のなかでも、特に生徒が難しさを感じやすいのがこの中学・高校段階です。

中学校:原則英語による授業と高校文法項目の移行

中学校英語の指導要領では、授業は原則として「英語で行うこと」を基本とする方針が明記されています。教師の指示(教室英語)だけでなく、生徒同士のやり取りや要約活動も英語で行うことが求められます。

語彙数は、小学校で学習した600〜700語を前提とした上で、中学校で新たに1,600〜1,800語を学習します。これにより、中学校卒業時点での語彙量は以前の学習指導要領(約1,200語)から大幅に増加しました。

文法面では、かつて高校英語で扱われていた複数の重要文法項目が中学校に前倒しされました。主な移行項目は以下の通りです。

これらを中学3年間で消化する必要があるため、授業の進度は従来よりも速くなっています。

高校:科目再編と発信型授業への転換

高校英語では、従来の科目構成が大きく見直され、主に「英語コミュニケーション(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)」と「論理・表現(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)」の2系統に再編されました。

新科目群主な学習内容と狙い
英語コミュニケーション(Ⅰ〜Ⅲ)多様なトピックの英文を読み解き、内容を理解・要約し、自分の意見を発表する4技能総合科目。
論理・表現(Ⅰ〜Ⅲ)スピーチ、プレゼンテーション、ディベート、ディスカッション、論理的なエッセイライティングを行う発信型科目。

語彙数は高校単独で1,800〜2,500語が設定され、高校卒業までに小中高累計で4,000〜5,000語程度を習得する計画となっています。単に英文を日本語に訳す授業から、英語で論理的な意見を述べる授業への移行が進んでいます。

高校で学ぶ内容や入試対策を俯瞰して整理したいときは、高校英語のまとめ(単語・文法・入試・勉強法)が役立ちます。

次の疑問高校進学後に授業の難易度がどう変わるか気になる方は、中学英語と高校英語の違いをあらかじめ知っておくと安心です。

高校入試と大学共通テストの最新動向

小中高英語教育の変化に伴い、入学者選抜における出題形式や評価方法も変容しています。

高校入試における変化

公立高校入試を中心に、長文読解問題の単語数が増加し、情報処理の速さが求められるようになっています。グラフや表、メール文を読み取って答える実用的・複合的な問題が定番化しています。

また、自由英作文の配点比率が高まる傾向にあり、「あるテーマについて、理由を2点挙げて30語以上で書きなさい」といった条件付き英作文が頻出です。一部の自治体ではスピーキングテストの導入や評価への活用も進められており、話すことへの対策が軽視できない状況になっています。

大学入学共通テストにおける英語評価

大学入学共通テストの英語では、従来のセンター試験に存在した独立した発音・アクセント問題や語句整序問題が姿を消し、すべて長文読解およびリスニング問題で構成されています。

国の目標指標である「高校卒業時に英検準2級〜2級相当以上(CEFR A2〜B1レベル)」は、共通テストや一般入試で平均以上の得点を確保するための実質的な前提水準となっています。

小中高の英語一貫カリキュラムのイメージ

小中接続ギャップと中1ショックの原因

小学校で英語教育が拡充されたにもかかわらず、中学校進学直後の1学期定期テストで平均点が急落したり、英語嫌いになったりする現象が各地で起きています。これはいわゆる「中1ショック」と呼ばれる小中接続のギャップです。その構造的な原因は次の3点に集約されます。

原因1:「音声・慣れ親しみ」から「文字・文法規則」への急激な転換

小学校の外国語活動・教科外国語では、「聞く」「話す(やり取り)」が中心であり、正確なスペリングや文法規則の体系的な指導は限定的です。一方、中学校の定期テストでは、単語を正確にアルファベットで書くことや、主語による動詞の語尾変化(三人称単数現在形の -s など)の正確な使い分けが点数に直結します。

「話せば通じる」段階から「1文字のスペルミスで減点される」段階への変化に、生徒が戸惑うケースが目立ちます。

原因2:小学校既習単語(600〜700語)の定着不足

中学校の教科書は、小学校で習った600〜700語を「読めて書ける前提」で編集されています。そのため、中学校1年生の序盤から、これらの語彙についての詳しい導入を行わずに長文や対話文が登場します。

小学校時代に音声として耳にしたことがあっても、文字と意味が結びついていない生徒は、入学早々から語彙不足に陥ります。

原因3:「授業でのオールイングリッシュ」と「ペーパーテスト」の乖離

授業内では英語でコミュニケーションを取りながら楽しく進んでいるように見えても、家庭学習で文法の構造整理やスペルの反復練習を行っていなければ、筆記テストで点数を取ることができません。この「教室内の感覚」と「客観的評価」のギャップが生徒の自信を奪う大きな要因です。

中1ショックの3大原因
📝指導内容の転換

音声中心から、スペルや文法規則の正確さを問われるテスト形式へ急変する。

📚既習語の定着不足

小学校の600〜700語を読めて書ける前提で中学の授業が進んでしまう。

📉授業とテストの乖離

英語のみの楽しい授業に対し、家庭学習不足だと筆記テストで点が取れない。

小学校から中学校への進学時に英語でつまずく構造的な原因をまとめています。

中学生全体のつまずき傾向や指導の課題については、中学生の英語力と課題も参考になります。

小中ギャップを防ぐ家庭学習ロードマップ

小中高英語教育の段差を乗り越え、安定した英語力を身につけるためには、学年ごとの段階的な家庭学習サポートが効果的です。以下のロードマップを参考に、家庭での対策を進めてください。

小学3・4年生:音声インプットとフォニックス

この時期は、英語の音に対する抵抗感をなくすことが最優先です。文字と音の規則性を学ぶ「フォニックス」の基礎を取り入れることで、将来のスペル書き取りや単語暗記の負担を大幅に軽減できます。

小学5・6年生:文字定着と英検5級への挑戦

教科化される高学年では、「音声で言える言葉を文字で書けるようにする」橋渡しを行います。

中学校1・2年生:文法の論理的整理と音読筆写

中学校に入学した後は、学校の授業進行に合わせて家庭で論理的な文法整理を行います。

家庭学習の段階ロードマップ
1小3・4年

音声のかけ流しやフォニックスで英語の音に親しみ、抵抗感をなくす

2小5・6年

小文字の正確な筆記と頻出単語を練習し、小6秋以降に英検5級に挑戦

3中1・2年

品詞などの文法整理と教科書の音読筆写を習慣化し、英検3級〜準2級を目指す

小中接続ギャップを防ぐための学年別の家庭学習ステップを示しています。

我が子の英語つまずき度セルフチェック

子どもが英語教育の変化についていけているかどうかを早期に把握するためのチェックシートです。該当する項目が多い場合は、前学年や小学校の基礎段階まで戻って復習を行う必要があります。

つまずき度チェックリスト(全10項目)

チェックが3個以上ついた場合は、単語のスペリングと主語・動詞の関係という英語の基本構造に対する理解があいまいになっている可能性があります。教科書の音読と、四線ノートを使った基本例文の書き取りからやり直すことを推奨します。

指導者が意識すべき校種間の接続ポイント

小中高英語教育を一貫した学びにするためには、小学校教員・中学校教員・高校教員が前後の校種の指導実態を理解し、適切にバトンタッチを行う姿勢が求められます。

小学校教員が意識すべき「中学校への橋渡し」

小学校段階では、「楽しさ」を重視するあまり、文字指導を後回しにしすぎない配慮が必要です。

中学校教員が意識すべき「小学校の学びの活用」

中学校教員は、生徒が「ゼロから英語を始めるわけではない」という前提と、「文字や文法は体系的に習っていない」という両面を正しく認識する必要があります。

続けて読む

英語の違い・文化の疑問をすべて見る

理解度チェック

Q1. 以前は高校内容だったが中学校に前倒しされた文法項目は?

  1. 助動詞のcan
  2. 疑問詞のwhat
  3. 動詞の規則的な過去形
  4. 原形不定詞を含む構文
答えを見る

正解: D. 原形不定詞を含む構文
助動詞can、疑問詞what、過去形は小学校で触れますが、原形不定詞を含む使役・知覚構文などは高校から中学校へ移行しました。

Q2. 高校英語の「論理・表現」で主に行われる学習内容はどれ?

  1. アルファベットの書き写し
  2. 歌やゲームによる音声体験
  3. ディベートやエッセイ作成
  4. 四線を使った小文字練習
答えを見る

正解: C. ディベートやエッセイ作成
論理・表現は、スピーチ、ディベート、ディスカッション、論理的なエッセイライティングなどを行う発信型科目です。

Q3. 本文で中学に前倒しされた「仮定法の基礎」の例として挙がる英文は?

  1. I wish I could speak French.
  2. I want to visit Australia.
  3. I enjoyed summer vacation.
  4. He is kind.
答えを見る

正解: A. I wish I could speak French.
本文では、中学校へ前倒しされた仮定法の基礎的な表現の例として「I wish I could speak French.」が挙げられています。

モチベア単語と例文をアプリで定着させるなら、単語アプリ「モチタン」単語アプリ「モチタン」なら、ゲームで覚えられます。まちがえた単語は苦手単語帳にまとまります。無料で試す

よくある質問

Q. 小中高英語の総単語数は何語?
現行の学習指導要領では、小学校で600〜700語、中学校で1,600〜1,800語、高校で1,800〜2,500語を学習し、高校卒業までに累計で4,000〜5,000語程度を扱います。
Q. 中1ショックを防ぐには小6で何をすべき?
アルファベット小文字の確実な書き取り、小学校教科書に出てくる基本単語のスペル練習、フォニックスによる発音と文字の規則性理解、そして英検5級程度の文構造の確認が有効です。
Q. 中学校の英語授業はすべて英語で行われる?
原則として英語で行うこととされていますが、文法規則の詳細な説明や生徒の理解が不十分な場面では、指導効果を高めるために適宜日本語も併用して指導が行われています。
Q. 高校英語の到達目標は英検何級レベル?
国の教育目標指標として、高校卒業時に英検準2級〜2級相当以上(CEFR A2〜B1レベル)の英語力を習得することが掲げられています。
Q. 小学校の英語の成績はどうやってつく?
小3・4の外国語活動は数値評価がなく記述式です。小5・6の教科外国語は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3観点で数値による成績評価がつきます。

2026年9月25日更新・モチタン辞典編集部