モチタン辞典 › 読みもの › 英語の違い・文化 › 英語とローマ字の違いと読み方

英語とローマ字の違いとは?読み方やアルファベットとの関係
英語とローマ字の最大の違いは、英語が「独自の語彙と文法を持つ外国の言語」であるのに対し、ローマ字は「日本語の発音をアルファベットで表した表記ルール」に過ぎない点です。アルファベットは両者で共有される「文字という道具(26文字)」を指します。
英語・ローマ字・アルファベットの根本的な違い
「英語」「ローマ字」「アルファベット」の3つは、どれもラテン文字の「A, B, C」を使うため混同されがちですが、その役割と本質はまったく異なります。
一言で整理すると、アルファベットは「文字という道具(部品)」、ローマ字は「日本語を書き表すための表記法」、英語は「独自の文法や語彙を持つ自然言語」です。
3者の役割と関係を整理した比較表
まずは以下の比較表で、それぞれの定義と使われる対象、具体例を確認してください。
表は横にスクロールできます →
| 項目 | アルファベット | ローマ字 | 英語 |
|---|---|---|---|
| 本質・定義 | 文字の体系(A〜Zの26文字) | 日本語の音を文字で表した表記法 | 単語や文法を持つ自然言語 |
| 表す言語 | 特定の言語に限定されない文字道具 | 日本語(五十音の音声) | 英語(English) |
| 「犬」を表す例 | I, N, U や D, O, G(文字そのもの) | inu(日本語の音) | dog(英語の単語) |
| 「魚」を表す例 | S, A, K, A, N, A | sakana(日本語の音) | fish(英語の単語) |
| 学校教育での教科 | 英語・国語の基礎 | 国語(小学校3年など) | 外国語活動・英語科 |
| 海外の人への通じ方 | 文字の形として認識される | そのまま読まれても意味は通じない | 英語話者に意味が通じる |
具体例で見る「表記」と「言語」の違い
日本語の「さかな」を伝える場合を考えてみましょう。アルファベットという文字部品を使って日本語の音を書き写すと sakana になります。これが「ローマ字」です。
しかし、英語を母語とする人に「This is a sakana.」と言っても、相手は日本の魚の名前をあらかじめ知っていない限り、何のことか理解できません。
英語という言語では魚を fish と呼ぶ文法・語彙の規則があるため、英語で伝えるには「This is a fish.」と言わなければなりません。
同様に、「いぬ」を文字で転写した inu はローマ字であり、英語圏の読者にとっては未知の音の並びに過ぎません。英語という言語体系において「犬」という概念に結びつけられた単語は dog です。
ローマ字は「日本語の話し言葉をアルファベットで代筆したもの」であり、英語そのものではないという点をまず理解することが大切です。
単語と例文をアプリで定着させるなら、単語アプリ「モチタン」単語アプリ「モチタン」なら、ゲームで覚えられます。まちがえた単語は苦手単語帳にまとまります。無料で試す
子どもに英語とローマ字の違いを聞かれた時の説明法
小学校でローマ字を習い始めた子どもから、「ローマ字と英語って何が違うの? どっちも同じ文字なのにどうして違う読み方をするの?」と質問されて返答に困る保護者の方は少なくありません。小学生に説明する際は、身近な文房具やひらがなに例えると直感的に理解できます。
鉛筆と絵の具に例える1分フレーズ
子どもに手短に伝える場合は、次のような比喩が役立ちます。
「アルファベットは『黒い鉛筆』だよ。その鉛筆を使って日本語を書いたのが『ローマ字』で、アメリカやイギリスの言葉を書いたのが『英語』なんだよ。同じ鉛筆を使っていても、日本語の日記を書くのと、英語の手紙を書くのでは、言葉そのものが違うよね。」
そのまま読み聞かせられる親子の会話スクリプト
子どもが納得しやすい会話の流れをまとめました。家庭での学習時にそのまま声に出して活用してください。
子ども:「お母さん、英語とローマ字って何が違うの? 学校で inu って書いたら犬って習ったのに、英語の本には dog って書いてあるよ!」
保護者:「いいところに気づいたね! アルファベットの『A, B, C』はね、積み木みたいな『文字の形』なんだよ。
」
子ども:「積み木?」
保護者:「そう。その積み木を使って、私たちが話している日本語の音をそのまま並べたのが『ローマ字』だよ。『い・ぬ』の音を積み木で組み立てると i-n-u になるよね。
これは日本語をアルファベットで書いただけだから、日本語が分からない外国の人に見せても意味は伝わらないの。」
子ども:「じゃあ、英語の dog は?」
保護者:「英語は、外国の人たちが昔から使っている別の言葉なんだ。
英語を話す人たちは、犬のことを『いぬ』じゃなくて『dog』って呼ぶ約束になっているの。同じ積み木(アルファベット)を使っていても、作っている言葉が日本語か英語かで全然違うんだよ。
」
子ども:「なるほど! 同じ文字を使っていても、日本語を書いているのがローマ字で、外国の言葉を書いているのが英語なんだね。」
アルファベット
- 文字の形や道具(黒い鉛筆・積み木)
- A, B, Cなどの文字体系そのもの
- 単体では特定の言葉を表さない
ローマ字
- 鉛筆で日本語の日記を書くこと
- 日本語の音を文字で並べた表記(inuなど)
- 日本語を知らない外国人には通じない
英語
- 鉛筆で外国語の手紙を書くこと
- 外国で使われている言葉そのもの(dogなど)
- 独自の語彙の約束で意味が伝わる
共通の文字部品を使っていても表す言葉の種類が異なります
次の疑問お子さんに日本語の音と英語の音の並びを視覚的に見せたいときは、英語のあいうえお表とフォニックスの対応を活用してみてください。
英単語をローマ字読みしてしまう原因と仕組み
中学生や英語初心者が英単語を覚える際、つづりをそのまま「ローマ字読み」してしまう現象が頻繁に起きます。例えば、name を「ナメ」、like を「リケ」、bus を「ブス」と心の中で読んでしまい、正しい発音とつづりが結びつかなくなるケースです。なぜこのような現象が起きるのでしょうか。
ローマ字は「子音+母音」の1対1対応で音が固定されている
日本語の五十音は、基本的に「子音(k, s, t...)+母音(a, i, u, e, o)」の組み合わせで成り立っています。ローマ字はこの日本語の音を忠実に転写するために作られた表記体系であるため、母音の読み方は常に「ア・イ・ウ・エ・オ」の5種類にほぼ固定されています。
そのため、小学校の国語でローマ字を先に学んだ日本人は、「a=ア」「i=イ」「u=ウ」「e=エ」「o=オ」という固定された音声パターンを脳内に強固に刷り込まれます。その結果、アルファベットの並びを見た瞬間に、無意識にローマ字のルールを適用して読んでしまうのです。
英語は「文字」と「発音」が1対1で対応しない
一方、英語という言語では、同じアルファベットでも前後の文字の組み合わせや位置によって発音が大きく変化します。例えば、同じ母音「a」であっても、単語によって発音が全く異なります。
- cat の a: 口を横に広げて「ア」と「エ」の中間のような音(短母音)
- name の a: アルファベットの文字の名前通り「エイ」と発音(二重母音・長母音)
- father の a: 口を大きく開けた深い「アー」の音
- about の a: 力を抜いて弱く発音される曖昧母音(シュワ音)
このように、英語は「文字をそのまま読む」言語ではなく、単語全体のつづりの構造から「どの音で発音するかを判断する」言語です。この根本的な仕組みの違いを理解しないまま文字だけを追おうとするために、ローマ字読みの混同が発生します。
短母音
- cat(アとエの中間)
二重母音・長母音
- name(名前通りのエイ)
深い長音
- father(口を開けたアー)
曖昧母音
- about(弱いシュワ音)
ローマ字と違い英語の母音は単語の位置や構造で音が変化します
英語ローマ字読み方を脱出するフォニックスと法則
ローマ字読みの癖を抜け出し、初見の英単語を自力で正しく発音できるようになるための鍵が「フォニックス(Phonics)」です。フォニックスとは、英語の「文字(つづり)」と「音」の間にある規則性を学ぶ学習法です。
文字の名前と文字の音を区別する
アルファベットには「名前」と「音」の2種類があります。例えば、文字「B」の名前は「ビー」ですが、単語の中で使われる時の音は「ブッ」という破裂音です。文字「C」の名前は「シー」ですが、多くの場合は「クッ」という音になります。まずはこの「文字の音」を覚えることが脱ローマ字読みの第一歩です。
サイレントe(マジックe)の規則
英語特有の非常に重要かつ頻出のルールが「サイレントe(別名:マジックe)」です。このルールを理解するだけで、中学生がつまずきやすい母音の読み分けが一気に解決します。
【サイレントeの規則】
単語の語尾が「母音 + 子音 + e」の並びになっているとき、最後の e は発音せず(サイレント)、その直前にある母音を「アルファベットの名前通り(エイ・アイ・ユゥ・イー・オウ)」に長く発音します。
- cap(キャップ:帽子)に e がつくと → cape(ケイプ:岬・マント)
- hop(ホップ:跳ぶ)に e がつくと → hope(ホウプ:希望する)
- cut(カット:切る)に e がつくと → cute(キュート:かわいい)
語尾の e を「エ」とローマ字読みしてしまうミス(make を「マケ」、time を「タイムではなくチメ」など)は、このサイレントeのルールを知ることで完全に防ぐことができます。
cap・hop・cutなどの母音+子音
末尾にeがつき「母音+子音+e」の並びになる
最後のeは「エ」と発音せず無音になる
cape(エイ)・hope(オウ)・cute(ユゥ)
語尾のeを読まず直前の母音を文字の名前通りに長く発音します

ローマ字読みで間違いやすい英単語の対比一覧表
学校の英語の授業やテストで、ローマ字読みの癖が原因で誤読しやすい代表的な英単語をまとめました。誤った読み方と正しい発音のカタカナ近似、そして発音のポイントを対比しています。
表は横にスクロールできます →
| 英単語 | ローマ字読み(誤り) | 正しい発音(目安) | 発音と構造のポイント |
|---|---|---|---|
| name | ナメ | ネイム | サイレントeの働きで、母音 a を「エイ」と発音する |
| make | マケ | メイク | 語尾の e は発音せず、直前の a を「エイ」と読む |
| take | タケ | テイク | 日本語の「竹」ではなく、二重母音「エイ」を発音する |
| like | リケ | ライク | サイレントeにより、母音 i をアルファベット読みの「アイ」にする |
| time | チメ / ティメ | タイム | 語尾の e は無音。母音 i は「アイ」と読む |
| bus | ブス | バス | 英語の短母音 u は口を軽く開けた「ア」に近い音になる |
| cup | クプ | カップ | ローマ字のように「ウ」ではなく、短い「ア」の音で発音する |
| cute | クテ | キュート | サイレントeにより、母音 u を「ユゥ」と長く伸ばす |
| home | ホメ | ホウム | 語尾の e を読まず、母音 o を「オウ」と発音する |
| note | ノテ | ノート / ノウト | 日本語の「のて」ではなく、サイレントeで o を「オウ」と読む |
単語を暗記するときは、頭の中でローマ字読みをしてつづりだけを丸暗記するのではなく、必ず「音読しながら正しい発音と文字の規則をセットで覚える」習慣をつけることが大切です。
訓令式とヘボン式の違いとパスポート表記の注意点
ローマ字には主に「訓令式(くんれいしき)」と「ヘボン式」という2つの主要な体系が存在します。この2つの違いを把握していないと、学校のテストや公的書類の記入で混乱を招く原因になります。
訓令式とヘボン式の役割の違い
訓令式は、日本の五十音図の規則性を重視して1954年の内閣告示で定められた方式です。規則正しい子音と母音の組み合わせになっているため、小学校の国語科で日本語の音韻構造を学習する目的で教えられています。
一方、ヘボン式は、英語を母語とするアメリカ人宣教師ジェームス・カーティス・ヘボンが考案した方式です。英語話者が読んだときに最も自然な日本語の発音に近くなるよう配慮されており、パスポート、駅の看板、道路標識、クレジットカードの名義などで世界標準として広く採用されています。
表は横にスクロールできます →
| 五十音 | 訓令式(小学校の国語) | ヘボン式(パスポート・駅名) | 英語話者にとっての聞こえ方 |
|---|---|---|---|
| し | si | shi | si は英語で「スィ」、shi は「シ」に近い |
| ち | ti | chi | ti は英語で「ティ」、chi は「チ」に近い |
| つ | tu | tsu | tu は英語で「トゥ」、tsu は「ツ」に近い |
| ふ | hu | fu | hu は英語で「ヒュ」、fu は下唇を使う「フ」に近い |
| じ | zi | ji | zi は英語で「ズィ」、ji は「ジ」に近い |
パスポート申請や名刺で失敗しないヘボン式の重要ルール
パスポートの名義やビジネス用名刺、国際的な登録書類では、外務省の定めるヘボン式ローマ字表記が原則として義務づけられています。特に間違いやすいのが「長音(伸ばす音)」と「撥音(ん)」の扱いです。
- 長音の表記(原則として伸ばす符号は書かない): 「サトウ」は SATOU ではなく SATO、「オオノ」は OONO ではなく ONO と表記するのが標準原則です。ただし、近年は希望により「大野」を OHNO と表記する長音表記(非ヘボン式表記)も事前に申し出ることで認められる場合があります。
- 撥音(ん)の表記(B・M・Pの前はM): 撥音の「ん」は通常 N で表しますが、後ろに B, M, P が続く場合は M を使います。例えば「難波(なんば)」は NAMBA、「本間(ほんま)」は HOMMA、「三瓶(さんぺい)」は SAMPEI と表記します。これは唇を閉じて発音する英語の音の規則に合わせているためです。
- 促音(っ)の表記: 通常は子音を重ねます(例:「服部」→ HATTORI)。ただし、後ろに CH が続く場合は T を置きます(例:「八丁堀」→ HATCHOBORI)。
パソコン入力と英語学習で混乱しないための注意点
現代の子どもたちは小学校のICT教育やプログラミング学習でパソコンやタブレット端末のキーボード入力(タイピング)を学びます。キーボードで日本語を入力する際、多くの学校や家庭ではローマ字入力が使われますが、ここに英語学習上の大きな落とし穴があります。
タイピングのローマ字は「文字を出すための近道」に過ぎない
パソコンのローマ字入力では、キーの打鍵数を減らすために訓令式や特殊な入力規則が広く許容されています。例えば、「し」を入力する際に shi(3打鍵)ではなく si(2打鍵)と打ったり、「つ」を入力する際に tsu ではなく tu と打つ方が速く入力できます。
しかし、タイピングで si や tu の入力に慣れ親しんでしまうと、英語の授業で英単語を書くときに「sit(座る)」と「shit」を混同したり、英語の発音規則とキーボード操作の記憶が衝突して混乱する原因になります。
タイピングと英語スペリングを脳内で切り替える工夫
パソコン入力が得意な学習者が英語のスペリングで混乱しないためには、以下の2点を明確に分けて意識することが重要です。
- タイピングは機械操作の記号入力と割り切る: キーボードで日本語を打つ作業は、単に日本語のひらがなを画面に出すためのスイッチ操作であり、語学としての表記ではないと認識させます。
- 英単語を書くときは「音」を出しながら書く: パソコンの画面を見ながらアルファベットをただ写すのではなく、英単語のスペリングを学ぶ際は「b-a-g, bag(バッグ)」のように、文字の音を実際に口に出しながら手書きする練習を取り入れると、ローマ字入力の影響を受けずに正確なつづりを定着させることができます。
文字を出すための近道スイッチであり語学表記ではないと認識する
画面を写すだけでなく「b-a-g, bag」と口に出しながら書く
パソコン入力の癖を英語学習に持ち込まないための2大ポイントです
パソコン入力での混同を防ぐには、ヘボン式タイピング練習の進め方を確認しておくと役立ちます。
理解度チェック
Q1. 英語・ローマ字・アルファベットの関係として正しい説明はどれ?
- ローマ字は英語を正しく発音するための表記法である
- アルファベットは特定の言語に限定されない文字道具である
- 英語は日本語の五十音の音声を文字で表した自然言語である
- アルファベットは日本語のみを書き表すための表記体系である
答えを見る
正解: B. アルファベットは特定の言語に限定されない文字道具である
アルファベットは「特定の言語に限定されない文字道具(部品)」であり、ローマ字は日本語の表記法、英語は独自の文法や語彙を持つ自然言語です。
Q2. 英語で「魚」であることを相手に伝える正しい文はどれ?
- This is a sakana.
- This is a fish.
- Here is inu.
- That is SAKANA.
答えを見る
正解: B. This is a fish.
sakanaは日本語の音を写したローマ字であり、英語圏の読者には通じません。英語の語彙規則に従って「This is a fish.」と伝えます。
Q3. 「サイレントe」の規則についての説明として正しいものはどれ?
- 語尾のeを「エ」とローマ字読みして強く発音する
- 語尾の直前にある子音をアルファベットの名前通りに読む
- 語尾のeは発音せず、直前の母音を文字の名前通りに発音する
- 単語の最後につくeを発音し、その直前の母音を無音にする
答えを見る
正解: C. 語尾のeは発音せず、直前の母音を文字の名前通りに発音する
「母音+子音+e」の並びのとき、最後のeは発音せず、直前にある母音を「アルファベットの名前通り(エイ・アイなど)」に長く発音します。
よくある質問
- Q. なぜローマ字は英語ではなく国語で習うのですか?
- ローマ字は「日本語の発音をアルファベットで表すための表記法」であり、国語の音韻体系や五十音の理解を深める学習の一環として、小学校の国語科で扱われています。
- Q. パスポートの名前は訓令式とヘボン式のどちらですか?
- パスポートは国際基準に準拠するため、外務省の旅券規程によりヘボン式での表記が原則です。「し」は SHI、「つ」は TSU を使用します。
- Q. ローマ字を先に学ぶと英語の発音に悪影響が出ますか?
- 日本語の母音(アイウエオ)と文字を固定して結びつけてしまう傾向があります。英語を学び始める際にフォニックスを取り入れ、両者の読み方の違いを区別することが大切です。
- Q. クレジットカードのサインはローマ字と英語のどちら?
- カード券面の刻印名はヘボン式ローマ字が一般的ですが、裏面の自筆サインは漢字・ひらがな・ローマ字・筆記体の英語など、本人が登録したものならどの表記でも問題ありません。
- Q. 「し」は si と shi のどちらで教えるべきですか?
- 小学校の国語のテストでは文部科学省の学習指導要領に基づく訓令式(si)が正解とされることが多いですが、英語学習や社会実用ではヘボン式(shi)が推奨されます。
2026年10月2日更新・モチタン辞典編集部